10月下旬、草津の練習取材のためグラウンドへ到着すると、なにやらいつもと雰囲気が違っていた。グラウンド横の見学用ベンチにズラリと高校生が座っていたのだ。まるで修学旅行の記念撮影でも撮るかのような光景だった。

クラブ関係者に尋ねてみると、どうやら地元の高校生が練習見学に来ているらしい。男の子にまじって女の子もいて、選手たちにまぶしい視線を送っている。普段の平日は午前練習が多いため、高校生が見学に来ることはほとんどない。高校生の来訪は、選手たちにも良い刺激を与えているようだった。

グラウンドに来ていたのは群馬県立西邑楽高校の１年生38人。進路見学会と題した授業の一環で、ザスパ草津の練習を見学していた。引率の先生によると、国会や大学などいくつかの見学コースがあり、グラウンドにいた生徒はザスパ草津と群馬銀行バレー部の２つのクラブ見学コースを希望したという。彼らは、国会見学よりもザスパ草津を選んでくれたのだ！

生徒たちの多くはサッカー部や野球部、女子バレー部に所属しているため、ザスパ草津というプロスポーツクラブの練習に興味津々。「プロクラブの練習を見ることはほとんどないので勉強になる」「プレー精度が高くプロのレベルを実感できた」などといった声が聞かれた。

多くの高校生が見守る中で、下手なプレーは見せられない。選手たちは普段に増して正確かつダイナミックなプレーを披露、ピッチ内外でプロらしい振る舞いを見せていた。副島博志監督は「こんなに多くの学生に見てもらったら手は抜けない。今後は、学校の希望を募ってどんどん見学してもらってもいいんじゃないか（笑）。プロは見られてナンボの世界だから」と練習見学を推進していた。

長いシーズンも残すところ、あと１か月。これからの季節は寒さの影響で練習見学者の数は減りがちだが、選手たちは１つでも順位を上げるべく必死でトレーニングを続けている。練習場の活気は、ゲームの活気につながる。サポーターの皆さんには時間の許す限り練習場に通って選手たちにエールを送ってほしいと思う。選手たちは、サポーターの思いに結果で応えてくれるはずだ。
　
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2010.11.05 Reported by 伊藤寿学