11月14日（日） 2010 J1リーグ戦 第30節
新潟 1 - 1 神戸　（19:33／東北電ス／19,152人）
得点者：26' マルシオリシャルデス（新潟）、79' 朴康造（神戸）
スカパー！再放送 Ch185 11/15（月）後05:30〜
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新潟と神戸は1-1で引き分けた。前半26分、新潟がマルシオ・リシャルデスのゴールで先制すると、神戸は後半34分に朴康造のゴールで同点に追い付いた。
新潟にとっては目標のACL出場圏内の3位以内が遠のく手痛いドロー。神戸は残留に向けて最低限必要な成果は得たものの、欲しい白星は逃す結果になった。

一瞬静まり返ったビッグスワン。直後に神戸の選手たちの叫び声と、神戸サポーターの歓声が響いた。その後、悲壮感を漂わせた新潟サポーターのアルビレックスコールが続いた。

喜びと屈辱が入り交じる中、新潟のGK東口順昭とDF酒井高徳は、ゴール前でピッチに倒れ込んだまましばらく動けなかった。
後半34分、神戸・ポポが左サイドから直接FK。それをクリアした東口だが、はじき返したボールを朴に押し込まれた。「余裕があってはじき返した。だからこそ悔しい」。その無念さはチームの全員が持っていた。勝点1を確保したのではなく、勝点「2」を取りこぼした内容。試合後は敗戦直後のような重苦しいムードがチームを覆った。

前半26分、マルシオ・リシャルデスがペナルティーエリア内に進入し、相手のブロックを打ち破るように先制点を挙げた。だが、このリードを守り切れなかった。新潟は前節磐田戦、後半ロスタイムに追い付かれた。第27節F東京戦でも1-0とリードした後半に追い付かれている。名古屋、鹿島といった上位に快勝しながら、残留争いや、自分たちよりも下位のチームに勝ち切れない。「集中力を高めるしかない」。黒崎久志監督は同じような形の失点が続く現実に、厳しい表情を見せた。

キャプテンの本間勲は「何が何でも勝つ、という神戸の気迫に対して少し受けに回ってしまったかもしれない」。指揮官同様、土壇場でこらえ切れないメンタル力の弱さを要因に挙げた。
この日は立ち上がりから神戸のプレスに苦戦した。ボールを持っても、プレッシャーの前に苦し紛れのパスが増えた。それを中盤でカットされ、カウンターを食らう。

そんな相手の流れの中で奪った先制点だけに、勢いを取り戻してもおかしくなかった。ただ、この日は攻勢に出ても最後の詰めを欠いた。ゴール前に運んでもラストパスで呼吸が合わない。クロスに飛び込むが体に当てるだけ。「最後の場面でパワーやアイデアがないと」。FW大島秀夫はもどかしい展開に唇をかんだ。

ACL出場圏内の3位G大阪との勝点差は9に開いた。この試合に限らず、取り切れなかった勝点の蓄積は多い。自滅に近い試合の影響で目標が遠ざかってしまった。

神戸も満足した結果ではない。残留争いで並走するF東京が勝ち星を挙げたため、勝点2差で16位になった。ただ、和田昌裕監督が「大きい勝点1」というように、敗色濃厚の流れから追い付いたことで、ムードは保った。

立ち上がりから鋭い出足で新潟のボールの動きを止めた。特に永田充、千葉和彦のセンターバックに対し、吉田孝行、ポポがプレッシャーをかけ、自由にビルドアップさせなかった。それが功を奏し、高い位置でボールを奪い、ゴールに迫った。後半34分の同点ゴールもボールを奪ってカウンターを仕掛けた結果、相手DFのファウルを誘ってFKを得たところから。やるべきプレーは貫いた。

ただ、それでも奪った得点は1。チャンスをつくりながら焦ってミドルレンジからのシュートを連発。守備体系のできていない相手を助けてしまうケースも目だった。

新潟、神戸ともに目標に到達するには勝点の積み重ねが必要。この日の勝点1には、お互いの課題が含まれていた。それを克服できるかどうかが、残り4試合で試される。

以上

2010.11.15 Reported by 斎藤慎一郎（ニューズ・ライン）