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【第90回天皇杯4回戦 川崎F vs 山形】レポート:ホームチームの執念を見せた川崎Fも、山形の走力を振りきれず。延長後半終了間際に同点に追いついた山形が、PK戦を制す。(10.11.18)

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11月17日(水) 第90回天皇杯4回戦
川崎F 3 - 3(PK 4 - 5)山形 (19:00/等々力/4,780人)
得点者:27' 田代 有三(山形)、45'+1 寺田 周平(川崎F)、54' 増田 誓志(山形)、79' ヴィトール・ジュニオール(川崎F)、93' 楠神 順平(川崎F)、118' 西河 翔吾(山形)
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降雨の影響もあり、気温は10度を切っていた。寒い季節のサッカーが始まったのだとの覚悟を促すような、そんな気候だった。

身を刺す寒さの中、けが人に悩まされ続けた川崎Fにまたもや災難がふりかかる。前半17分。右サイドを森勇介が得意のスピードを生かして仕掛けた直後のことだった。プレーを終えた森が右太ももを気にし、そして自らベンチにバツサインを送る。ベンチは寺田周平との交代を決意し、19分にピッチに送り出す。森という武器を失い、前半の早いタイミングで交代カードを1枚使わざるを得なかった川崎Fに、このアクシデントが重くのしかかった。
試合開始から、ペースを握っていたのは川崎Fだった。しかし山形の守備は十分に固く、川崎Fが付け入る隙はなかなか見つからなかった。だからこそ、森の突破は効果的だった。山形の中盤に君臨し、危険な芽を摘み続けた下村東美はトーナメントの難しさと共に森を失った川崎Fについて「リーグ戦だともっとリスクを冒してくると思ったし、森選手が抜けたのもポイントだったと思う。そこは川崎Fは痛かったと思う」と振り返っていた。

悪いことは続くもので、前半27分には交代出場の寺田のミスをキッカケに川崎Fの右サイドを突破され、田代有三に先制点を奪われてしまった。挽回が必要な川崎Fは、ここからペースを上げざるを得ず、それによって前半はほぼ川崎Fのワンサイドゲームになっていたと言っていい。体力を消耗するに至る下地が出来ていたのである。
ミスした寺田が、自ら挽回して同点に追いついたのが、前半の45+1分の事。イーブンになった事で、この試合はオープンな殴り合いになる。54分に増田誓志がFKを直接決めると、川崎Fは79分にヴィトール・ジュニオールが技ありのループシュートを決めて同点に追いつくのがやっと。後半のシュート数は、川崎Fが6本にとどまったのに対して山形は9本に上った。戦略的な選手交代に制限が付いていた川崎Fに、体力面での消耗が影響を与え始める。徐々に足の差が出始めていた。

延長前半3分の楠神順平のゴールがオフサイドではないのかと小林伸二監督が猛抗議し退席処分になってから、山形は眼の色を変えて猛攻撃に出る。後半70分にすでに3枚の交代カードを切り終えていた川崎Fは、その後矢島卓郎、ジュニーニョ、楠神順平が足を痛めて苦しむが、すでに打てる手はなかった。

2度のリードを守りきれず、延長に入り先行された山形は、まずは同点に追いつかねばならない。そのゴールへの思いと、体力を消耗した川崎Fのコンディションの悪さとが相まって延長後半の15分だけで6本のシュートを浴びせた。対する川崎Fは、自陣に張り付いて守るのが精一杯で、屈辱のシュート0に終わる。
試合終了間際の西河翔吾の同点ゴールを受け、寺田は「最後を守れなかったのは、反省が残ります」と悔しさをかみしめたが、延長後半ロスタイムに下村が放ったシュートがクロスバーを叩き、同点のまま120分を終えられただけでもよかったのかもしれない。そう思わざるをえないほどに、山形の試合終盤の攻勢は凄まじかった。

PK戦は時の運。2人目で出た谷口博之が外した事について、誰も文句は言えないし、言ってもいない。そうなる前に、試合を決めなければならなかっただけの話である。蹴った5人が5人とも決めた山形が、川崎Fを下した。

120分の戦いと、それを落として無冠に終わった事実をチームはどう消化するのか。F東京とのアウェイでの多摩川クラシコ(11/21 @味スタ)は、2日のインターバルの後に行われる。ACLへの出場権というモチベーションが残されている川崎Fにとって苦しい日程が続く。
一方の山形は、J1残留に向けてこの勝利を糧にしたいところ。試合後の選手の表情は当然のごとく明るく「連戦だが、勢いを持続させるには、次が大事だと思います」と北村知隆がリーグ戦の残り4試合を見据える一方、途中交代出場の長谷川悠も「ビックチャンスはありましたが、入らなかった。ただ、体調はよかった。次、すぐに試合があるので頑張りたい。このまま勝って行きたいと思います」と力強かった。
ACL出場権と、J1残留と、それぞれに目標とするものは違っているが、リーグ戦残り4試合に向けて両チームにそれぞれに課題や手応えを残した、そんな試合だった。

以上

2010.11.18 Reported by 江藤高志
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