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【J2:第8節 水戸 vs 徳島】レポート:ライジングサン水戸。復興を期す町に明るい光を灯す劇的な逆転勝利!(11.04.24)

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4月23日(土) 2011 J2リーグ戦 第8節
水戸 2 - 1 徳島 (13:05/Ksスタ/1,273人)
得点者:12' 島田裕介(徳島)、61' 岡本達也(水戸)、90'+4 常盤聡(水戸)
スカパー!再放送 Ch186 4/25(月)前07:30〜
totoリーグ中断期間を振り返るJ2編
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「チームのためというより、水戸の町のために戦った」(本間幸司)。選手たちのその思いが、常盤聡の左足に乗り移った。90'+4分、村田翔からの縦パスを受けた常盤がドリブルシュート。豪快に放たれたボールは水しぶきをあげながらゴール左隅に突き刺さった。劇的なる逆転勝利。震災の被害に遭った水戸の町に、精いっぱいの勇気と希望を送ってみせた。

震災後初の練習となる3月28日の練習前、柱谷哲二監督は選手たちにこう投げかけた。
「我々が明るく元気に、茨城・水戸を引っ張って行こうじゃないか。そのためには我々が立ち止まっていてはダメだ。前に進んでいかないといけないんだ。その証明は練習ではなく、試合で証明しないといけない」。
当初、「この状況の中でサッカーをやっていいのか」という声が選手たちからよく聞かれた。水戸の町を見渡せば、被害の痕があちらこちらに残っており、また、毎年シーズン前のトレーニングでお世話になっている大洗町の港は甚大の被害を受けていた。さらに福島第一原発の事故により農業が大打撃を受けるなど茨城県内では暗いニュースばかりが耳に入ってきた。「自分たちだけサッカーをやっていいのか」と思うのも無理ではない状況であった。そこで選手同士でミーティングを行い、「僕らが町のためにやれることはサッカーだけ。いいプレーをすることで町を元気にしていきたい」(岡本達也)という意識を確認し合い、そして監督の言葉もあり、「水戸の町のために戦う」――それが3月28日以降、水戸の合言葉となったのだ。

そして迎えたリーグ再開日。水戸はホームでの開催となっただけに、「ただの1試合ではない」(本間)という思いでゲームに挑むこととなった。しかし、前半はその思いが裏目に出た。風下だったこともあったが、それ以上に「やらなくちゃいけないという思いが強すぎて硬くなってしまった」(遠藤敬佑)。序盤から水戸は後手に回り、徳島のパスワークに翻弄され、守勢の展開を招いてしまった。そして12分に島田裕介にFKを決められ、先制点を許してしまう。その後も徳島ペースで試合は進んだ。だが、復興を期す水戸の町のために戦うと決めた者として、そこで下を向くわけにはいかなかった。それが勝利への導火線となった。

ハーフタイム、「自分たちの生命線である前線からのプレスをしっかりやろうと」(柱谷監督)確認し合った水戸は、前半とは別のチームのように躍動感溢れるプレーを見せた。前線から激しくプレスをかけて徳島のビルドアップを遮断し、ボールを奪ってから果敢に縦パスを入れ、2トップが攻撃の起点として機能。そこに2列目の選手が絡み、サイド攻撃を誘発していきながら厚みのある攻撃を繰り出していった。そして61分、右サイドから中に切り込んだ遠藤の左足のクロスを、うまくDFの間に走り込んだ岡本が頭で叩き込み、同点に追いつく。その後、けが明けの村田翔が投入されると、さらに攻撃の切れ味が増していった。攻めて攻めて攻め抜いた水戸。そして90'+4分、Ksスタに歓喜が訪れることとなったのだ。それはこの日詰めかけた1273人だけでなく、震災の被害に苦しむ多くの人に一筋の希望を抱かせる勝利であった。

「この1試合にかける思いは強かった」と遠藤は言う。茨城復興への第一歩ということで選手たちは並々ならぬ気合いが入っており、それが劇的な逆転勝利への原動力となったことは間違いない。しかし、決して“気持ち”だけでつかんだ勝利ではないということを声を大にして言いたい。

チーム始動から柱谷監督のもと、チーム全体が一つの方向を向いて進んできている。戦術、技術、フィジカル、すべてをレベルアップさせようと監督は選手たちを鍛え、そして選手たちもそれに応えようと厳しいトレーニングに必死に食らいつこうとしてきた。その結果、チームは日々成長を遂げており、2連勝という結果を手にすることができたのだ。
また、現役時代“闘将”と呼ばれていた柱谷監督は選手たちに「勝者のメンタリティー」を説き続けてきた。「最初の頃、選手たちは自分でサイドブレーキを引いていたのですが、徐々に目いっぱいやるようになってきて、自分に対してチャレンジできるようになってきたことで、殻を少し破れたような気がしますね」という柱谷監督の言葉が示すように、徐々に選手たちはたくましさを身につけている。だからこそ、最後まで勝つことを信じて戦い、逆転勝利を手にすることができたのである。柱谷監督のチーム作りの成果として得た勝利であり、「必然の勝利」と言っても過言ではない。

この日スタジアムに駆け付けた水戸に携わるすべての人が「希望」を目の当たりにしたはずだ。「勝つことで水戸の町に勇気を与えたい」(岡本)。その思いが結実しての勝利。やればできる――被災に苦しむ人にメッセージを贈ることができた。今日はその最初の一歩。柱谷監督のもと、もっともっと水戸は強くなり、もっともっと多くの希望の光を放つはず。復興に向かう水戸の町に、でっかい太陽が昇ろうとしている。

徳島にとっては悔しい逆転負けとなってしまった。「水戸の勝ちたい気持ちが上回ったと思われるかもしれないけど、そんなことではなくて、自分たちもこの一戦にかけていた」と美濃部直彦監督が言うように、徳島の前半の力強い戦いぶりに水戸は手も足も出すことができなかった。タイトな守備で水戸に攻撃の起点を作らせず、丁寧なポゼッションで再三チャンスを作り出した。

しかし、後半動きの質が落ちてしまったことが悔やまれる。「早く点を取って消極的になってしまった」と美濃部監督が振り返るように、後半は逆転を目指して勢いよく戦いに挑んできた水戸に対して後手に回る展開を招いてしまった。そして、相手の勢いに押されてしまい、逆転を許すことに。開幕2連勝を挙げることはできなかった。
「入りはよかったが、90分しっかり守備をしないといけない」と柿谷曜一朗が言うように、前半のサッカーを90分間続けることが今後の課題と言えるだろう。次節千葉戦は今後を左右する大きな一戦となりそうだ。

以上

2011.04.24 Reported by 佐藤拓也
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