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【J1:第8節 名古屋 vs 川崎F】レポート:決定力が結果を分けた一戦。玉田の復帰戦での2ゴールを守りきった名古屋が、ようやく今季リーグ戦初勝利(11.04.30)

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4月29日(金) 2011 J1リーグ戦 第8節
名古屋 2 - 0 川崎F (19:04/瑞穂陸/14,556人)
得点者:34' 玉田圭司(名古屋)、82' 玉田圭司(名古屋)
スカパー!再放送 Ch308 5/2(月)後00:00〜
totoリーグ中断期間を振り返るJ1編
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まるで、前週に行われたAFCチャンピオンズリーグの再現を見るようだった。持ち前のポゼッションを発揮できず、主導権を握られながらもしぶとく勝利する。FCソウルと川崎Fが、ともにゲームの支配力で名古屋を上回りながら、フィニッシュに課題を残すチームだったことまで酷似していた。結果は個人能力を生かした守備で相手を完封し、数少ないチャンスを確実にものにした名古屋が勝つ。ポゼッションサッカーを志向する王者が持つ別の一面が、今季のリーグ戦初勝利を呼び込んだ。

名古屋のスタメンにはまさかの名前が書かれていた。玉田圭司である。右ひざの負傷で1カ月近く戦列を離れていたエースを、「痛みがなかったことが、いい情報だった」と指揮官はいきなりスタメンで起用した。ポジションは入れ替わるように負傷離脱した金崎夢生が務めていた4−4−2のサイドハーフ。試合でのコンディションも不確かなFWの選手に、同ポジションの経験があるとはいえ守備のタスクまで背負わせるところに、ストイコビッチ監督の玉田への信頼感は見て取れる。

さらに名古屋はポジションにもサプライズを用意してきた。この日の4人の中盤の顔ぶれは、小川佳純と藤本淳吾、中村直志に玉田である。ここ数試合の起用法と選手の特徴を鑑みれば、小川と中村を中盤の底に、藤本と玉田をサイドハーフに配するのが自然だった。しかしピッチ上の並びを見ると、背番号10(小川)がサイドに、背番号8(藤本)が中央に陣取っている。小川のサイドハーフは新人王を獲った2008年に代表される得意なポジションだが、攻撃的MF、昨季はFWとして飛躍した藤本のボランチ起用は意外な一手だった。藤本自身、試合前のミーティングで告げられ「びっくりしました」と明かしている。

それに比べれば、川崎Fのスタメンの選抜基準は明快だった。今季の開幕戦からスタメンを張るメンバーを選び、ただ一点のみ修正を加えた。名古屋のケネディに対抗しうる選手として、センターバックを横山知伸から菊地光将に入れ替えたのだ。菊地のケネディとの“対戦成績”は上々で、昨季も高い身体能力を生かして12cmの身長差を跳ね返していた。「できるだけケネディをゴールの近くでプレーさせるな」。相馬直樹監督のDF陣への指示もまた、明快だった。

試合開始から主導権を握ったのは川崎Fのほうだった。統制のとれたアグレッシブな守備組織で先手を取り、一気に試合の流れを引き寄せる。名古屋がビルドアップに着手すれば、11人が自陣に引きながらもコンパクトな布陣でパスを通すスペースを与えない。そして相手がDFラインにボールを戻すと、すぐさまプレッシングを前線から展開する。緻密な戦術家である相馬監督らしい見事な守備システムの前に、名古屋は完全にはめられていた。名古屋の1本目のシュートは10分に小川が強引に放ったミドルシュートだったが、川崎Fはそれまでに2度の決定機を含む4本のシュートを放っている。16分には川崎Fの稲本潤一が負傷で交代するアクシデントがあったが、名古屋も28分に田中マルクス闘莉王が負傷交代。どちらもチームの根幹を担う重要な選手だが、より痛手だったのは名古屋であることは明らかだ。事実上のピッチ上のリーダーを失ったのだから。それ以降、川崎Fはさらに支配力を強めていくことになる。

しかし先制したのは名古屋だった。川崎Fの素早いカウンターとパスサッカーに翻弄されながらも、なんとか水際でしのぐ展開の中、チャンピオンチームが誇る前線の二枚看板が決定力を見せつけた。34分、千代反田のフィードをケネディがゴール前でヘディングを交えてキープ。マークを引き付けて落とした先に走り込んだのは玉田だ。利き足ではない右足で叩いたボレーシュートはDFの足元をすり抜けてゴール右隅へ。復帰戦でのスタメン起用に応える一撃で、難局にあったチームに貴重な先制点をもたらした。

後半は一進一退の攻防となった。名古屋の時間帯もあれば、川崎Fの時間帯もある。名古屋のチャンスは主にケネディを起点に作られ、川崎Fのチャンスは速攻とパスワーク、そして前線のドリブラーたちの個人技によって作られた。名古屋は27分にフォーメーションを4−3−3へ変更。ケネディ、玉田、永井謙佑の3トップの後ろにアンカーの中村、インサイドハーフの小川、藤本を並べる形とし、反撃へのアクセントをつけた。川崎Fは後半頭から名古屋戦11試合11得点の“名古屋キラー”ジュニーニョという切り札を投入してもいた。

双方譲らぬ展開に終止符が打たれたのは82分のことだ。またも仕事をしたのはケネディと玉田である。川崎Fの攻撃を食い止めた直後、楢崎正剛が田中隼磨にスローでボールを渡したところから、見事な速攻が始まった。田中隼から前線右サイドの永井に縦パスが入ると、逆サイドにいたケネディへサイドチェンジ。一度はトラップをミスしたケネディだったが、DF2人を相手にボールをキープすると、走り込んだ玉田へヒールキックでスルーパスを送った。抜け出した玉田は冷静に切り替えしてスライディングしてきたDFをかわすと、またも右足でゴール右隅へ流し込む。これぞ王者の決定力。ゴール前での力の差を見せつけた名古屋が、ようやくリーグ戦での今季初勝利を手にした。

決定力の差。端的に言えば勝敗を分けたのはその一点だった。内容からすれば、試合の大部分は川崎Fが主導権を握り、攻守に名古屋を圧倒していたからだ。「危険なシーンはそれほど多くなかったが、そこで決められた」と川崎Fの相馬監督は疲れた表情で語った。昨季までは攻める名古屋、カウンターを狙う川崎Fという図式で後者が相性の良さを見せつけてきたが、今季はその戦い方が逆転し、結果までもが逆転した形だ。少ない決定機をものにし、個人能力を軸とした守備で相手をシャットアウトする戦い方は、昨季の栄冠を勝ち取ったチームの大きな強みのひとつでもある。決して連敗しないという“反発力”も存分に発揮した名古屋が、リーグ戦でも徐々に本来の姿を見せ始めてきた。

以上


2011.04.30 Reported by 今井雄一朗
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