高木和正選手の負傷離脱後、河原和寿選手と栃木SCの攻撃陣をリードしているのが水沼宏太選手。チーム最年少の末っ子ながら、臆することなく先輩に接している姿は頼もしい限り。例えば、練習中に鴨志田誉選手がシュートを決めると、「タカシ、タカシィ〜」なんて、いじり方も。とにかく元気ハツラツ。「笑顔でプレーすること」が今季の目標だけに、練習中から笑顔が絶えません。
そんな水沼選手のもうひとつの目標、というよりも願いに近いのが、グリスタを満員にして、満員のグリスタで「県民の歌」を聞くこと。ホーム開幕2連勝中の栃木は、試合後に選手とサポーターがゴール裏で「県民の歌」を歌うことが、恒例行事になりつつあります。
試合前に「県民の歌」を歌うことは広く知られる、栃木が世界に誇るサッカー文化ですが、試合後には特別な勝利を挙げた時にしか歌われなかっただけに少し違和感がありました。
一体、誰発信で始まったのか。なかなか真相が掴めずにいたので、もしかして水沼選手では?と思って話を聞いてみると、「選手会?オチさん(キャプテン落合正幸選手)じゃないですか。上の人がスタジアムを盛り上げるなら、勝った時に『県民の歌』を皆で歌う方がいいと言って、歌い始めたと思いますよ」。試合で勝つことはもちろん、プラスαでスタジアムを盛り上げたい、とは常々、落合キャプテンから聞いていたので、なんて素敵な提案なのだろうと、思わず唸ってしまいました。
「今年は『県民の歌』を皆で歌えるように勝ちを増やしたいし、ホームで勝てばお客さんも一杯入ってくれると思います。せっかく調子がいい時に3000人とかだと悲しい。ゴールデンウイーク最後なので、たくさんの方にスタジアムに来てもらって、しっかり勝って終わりたいですね」(水沼選手)
前節、岡山がアディショナルタイムで同点に追い付けた一因に、7000人以上で埋められたKankoスタジアムの雰囲気が挙がると個人的には思っています。今季の栃木が掲げた平均入場数は、ちょうど7000人。開幕2戦の草津戦6144人、京都戦4473人と、まだ一度も7000人を越えていません。選手達はピッチで結果を出し続け、クラブも「グリスタを黄色に染める」、日本語としてはちょっとおかしな、しかし大事なことを達成するために奔走しなければなりません。少しずつでも観衆が増え、リーグ終盤戦には前回の岡山がそうだったように、サポーターが対戦相手を威圧できれば、昇格に向けて必ず優位に働くはずです。
まずは今週の横浜FC戦から。皆でグリスタを黄色に染め、歌いましょう「県民の歌」を。
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2011.05.07 Reported by 大塚秀毅













