スカパー!生中継 Ch363 後03:00〜
☆totoリーグ
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深淵の闇を彷徨い、光を見出せずにいる。厚く、重い暗雲が垂れ込めている。名古屋戦の快勝で波に乗るかと思いきや、その後は3連敗と不振に喘いでいる。
特に前節の柏戦では厳しい現実を突きつけられた。ペトロヴィッチ監督は「本日はまっとうな理由でレイソルが試合に勝った。非常に恥ずかしい試合を見せてしまった」と顔を強ばらせ、質疑応答を拒否するほど悲壮感を漂わせていた。「今日は結果も内容も負けて、動きの質、パスの正確性も向こうが上だった」と永田充も完敗を認めていた。浦和は今、もがき苦しんでいる。
戦っていないわけでは決してない。選手たちは最後まで奮闘していた。0−3で迎えた後半アディショナルタイムに原口元気が1点を返したが、あれはあきらめて足を止めていた者には訪れないゴールだった。誰もが何とかしようとあがいていた。
気持ちが入っていなかったのが理由であれば、あるいはまだよかったのかもしれない。戦っていないだけだったなら、気を引き締めればいい。指揮官が喝を入れれば、それで済む。状況はより深刻だ。「原因がわかっていたらもっとよくなると思うが、誰もが中途半端な感じでいる。よくわからない」。試合直後に柏木陽介が漏らした言葉が重く響く。
今はもう一度、最初から積み上げていくしかない。今週の練習ではDFラインからビルドアップしていく流れを確認するメニューがあったが、そのなかでコーチからセンターバックに対して「縦が空いていたらボランチに入れる。無理だったらサイドに回す」という指示が飛んでいた。非常にシンプルだ。基本過ぎるくらい基本的なことだ。しかし、今はそういったところから始めなければいけないほど全てが噛み合っていない。
ただ単につなぐだけの場面でも、つまらないミスが多いのが現状だ。「パス&コントロールをずっと練習している割にミスが続出している。あれだけミスをしていたら、できることもできない」と永田は語る。狂った歯車を元に戻すためには、一から見直していくしかない。
12日には2時間を超えるトレーニングをこなし、約10分×3本の紅白戦も行った。主力組は0−2と完敗を喫したが、スコア以上に気がかりだったのは主力組がほとんどチャンスらしいチャンスを作れなかったこと。柏戦後、永田が「3試合やって決定機がゼロなのは問題がある。このままじゃ同じことの繰り返しになる可能性がある」と危機感を募らせていたが、改善の兆しはなかなか見えてこない。練習後には、小雨の降る中で選手たちが約15分間のミーティングを開き、互いの意見をぶつけ合った。なんとか浮上のきっかけをつかもうと、誰もが必死になっている。
今から約1年前、現在の浦和と同じように苦境に立たされながら奇跡を起こしたチームがある。窮地に追い込まれた彼らは選手間ミーティングを経て1つにまとまり、そして南アフリカの地で躍進した。俗に言う『ザースフェーの夜』が日本代表の逆襲につながった。危機感は現状を打破する大きな力となり得る。
一方、対戦相手となるC大阪もここまで3分1敗と苦しんでいる。家長昭博、アドリアーノといった重要な戦力が抜けてしまったことがやはり大きく響いている。主力が複数抜けた今でも、乾貴士、清武弘嗣など優れた個の技量を持つ選手は多いが、C大阪は個人のスキルと選手間のコンビネーションが高度に融合した仕掛けが大きな武器だっただけに、連携の再構築を強いられている現状では苦戦が続いている。
C大阪は新戦力のホドリゴ ピンパォンを1トップに置き、昨年の4−2−3−1を継続してここまで戦ってきた。ピンパォンは技術の高い選手で、引いてボールをもらいにくる傾向が強い。うまくはまった時は乾、清武ら中盤との細かいパス交換でC大阪らしい華麗なサッカーが見られるが、彼が下がると相手DFもついてきてしまうので、ただでさえ狭いバイタルエリアが一層小さくなって交通渋滞を起こすことも多い。
だが、ここにきて光明が差し込んできている。10日に行われたACLの山東魯能(中国)戦では、解決策の糸口をつかんだように見えた。C大阪はこの一戦で小松塁をスタメン起用すると、これが当たった。小松は190cmを越える選手だが、足元は柔らく、スピードもある。長身の割にヘディングそのものはあまり得意には見えないが、大柄な体格を生かしてボールを収めることができる。その小松がトップの位置で体を張って起点になったり、裏を狙う動きを見せたりしたことで、相手はDFラインを下げざるを得ず、バイタルエリアにスペースが生まれた。
そうなると、C大阪は強い。3月の対戦では敗れた山東魯能に4─0と圧勝。内容でも相手を凌駕していた。「起点ができたのが一番良かった。塁くんが前でキープできるので、そのときに自分がどう絡んでいけるかを考えてやった」。乾は小松を組み込んだユニットに手応えを感じ、ピンパォンも「もう1枚FWがいるということで、自分の突破が少しやりやすくなった」と好感触を得ていた。「技術、戦術、そしてフィジカル、すべてにおいて、最高のパフォーマンスを選手たちが見せてくれた」と指揮官も語っていただけに、浦和戦ではACLの戦い方を踏襲する可能性がある。
C大阪は“ボールを持つ”チームなので、今の浦和にとっては過去3戦の相手よりも戦いやすい側面はあるかもしれないが、彼らの破壊力は仙台、横浜FM、柏を上回る。いまだ闇の中で苦しんでいる浦和は厳しい戦いを強いられるかもしれない。
しかし、明けない夜はない。止まない雨もない。柏木は言う。「レッズに試練が与えられている。乗り越えられたらいいチームになる」。今は夜明けを信じ、晴れることを信じ、前に進んでいくだけだ。
以上
2011.05.14 Reported by 神谷正明













