5月14日(土) 2011 J1リーグ戦 第11節
山形 0 - 1 大宮 (13:04/NDスタ/7,435人)
得点者:29' 東慶悟(大宮)
スカパー!再放送 Ch182 5/16(月)後04:00〜
☆totoリーグ
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互いに集中力が高く、守備への切り換えが早い中盤の主導権争いは、手に汗を握るものだった。そして、20分過ぎから一気に決定機を増やしていったのはホームの山形だった。
23分には左サイドの小林亮からのスローインで一気にスペースをえぐった秋葉勝がシュートを放つと、25分には秋葉の落としから宮沢克行が早いタイミングで入れたクロスに、今季初先発の廣瀬智靖がポストをかすめるヘディングシュート。さらにその2分後にも、李天秀へのパスをカットした石井秀典が一気に前線の長谷川悠に当て、セットしたボールにまたも廣瀬がシュートを打ったが、これも左にそれた。次々に決定機をつくり出す山形。しかし、この直後に揺れたゴールネットは山形側のものだった。
大宮が左から押し込むと、左サイドに大きく開いた金英權が縦にフィードを入れる。李がファーへ流れてディフェンターを引きつけると、スペースが空いたニアサイドに、藤本主税がボカしたポジションから一気に飛びこんだ。対応した西河翔吾は食い下がるもののなかなかプレーを切ることができず、キープするうちにボールはサポートに来た李へ、そして最後は東慶悟が仕留めた。このシュートにはディフェンダー2人とGK植草裕樹が反応していたが、いずれも股を抜かれる珍しいシーンで大宮が先制。そしてこれが決勝点となった。
「去年も負けるときには、いい形をつくって、ちょっと前がかりになったところで1本のボールでやられてしまう、ラインが高くなってやられてしまうというのが何回かあったので、それと同じ」と小林が指摘する。攻撃で前がかったときこそリスク管理が必要であることは、痛い経験もし、頭では理解している。にもかかわらず、この試合でも繰り返してしまった。スペースを埋め、攻撃への色気も出さなければこうした失点は防げていたかもしれない。しかし、この試合の山形は思いきったプレスからパスカットを繰り返し、奪ったあとも積極的にボールを前に運ぶことで、ようやく決定機をつくるまでに至っていた。
そして1点を追う後半、それと表裏の問題が露呈する。ターゲットとして機能していた長谷川悠が厳しい表情で答えた。「収まったあとに崩すとき、もうちょっと向きを変えて、ワンタッチとか裏に抜けたりとか、そういうのをやっていかないと。このままだと点が取れないですよね、崩れないから」。この点は小林伸二監督も会見で「ある部分、持ち出したときのシンプルさというのがなくて、最後まで細かくつないで結局シュートを打てない、クロスも上げられない状態で取られて、カウンターじゃないんですけど守備をしなくちゃいけないというところがちょっともったいない」と言及している。これまで試合の流れを劇的に変えてきた伊東俊も、後半頭から起用されたこの試合では58分にスペースへ潜り込んで小林にマイナスのクロスを入れたシーン以外には効果が見られなかった。
押しても失点し、引いても失点する現状に、小林監督も頭を悩ませる。攻撃の精度をより高めるトレーニングは地道に続けてはいるが、「そこに少しずつ入りたいんですけど、なかなか詰まったり、そこへいくと今度失点を食らったりというところ。今、そういうところの繰り返しかもしれない」と一進一退の状態だ。点が取れないのは攻撃だけの問題ではない。カウンターを受けても守りきれる環境が整わなければ、この先も進歩は得られない。多くの課題を抱えたまま、次節はみちのくダービーを迎える。
そして先制点は、リードした大宮の意識にも少なからぬ影響を与えていた。大宮はここまで攻撃が十分に機能していなかったことで、この試合ではこれまでの4-4-2から4-2-3-1にシステムを変更。押し込んでから縦にボールを入れて、選手が絡むチャレンジを続けていた。山形の集中した守備によってパスがカットされるシーンも多かったが、運動量を確保したことで先制点につながった。しかし、「後半に入って、ボールポゼッションはするものの、なかなかそこから前線に入っていけない場面がありました。選手間の距離が短かったりとか、全体のバランスがあまりよくなくて、ボールが効果的に動かない時間が多かった」(鈴木淳監督)。68分に渡邉大剛を投入後、右サイドを起点に何度か決定機をつくったが、追加点を奪うことはできなかった。
しかし、安定したゲーム運びができるからこそ、勝負どころで差しきる勝ち方も可能になる。山形の長谷川に入るロングボールに競り勝つ機会は少なかったが、セカンドボールの対応では上田康太と青木拓矢がしっかりとポジションを取り、「ボールを奪うまではいかなかったですけど、1回でターンされてシュートまで行かれるような場面はなかった」(上田)と相手の二の矢を封じていた。鈴木監督も「最後のところもよく体を張ってましたし、守備のところでは非常に集中してた」と評価した。大宮にとってはようやく手にした2勝目。試合内容の評価こそが結果に結びつくとの信念は、着実にチームを成長させている。
以上
2011.05.15 Reported by 佐藤円













