6月5日（日）からの2011Jリーグヤマザキナビスコカップ開幕を記念して、これまでにサッカーマガジン、サッカーダイジェスト、エルゴラッソ、などで掲載された「My First Story」をJ's GOALでもご紹介します！
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プロとしての自信をつかんだ初スタメン、初ゴール

どんな名手にも、キャリアの第一歩となる記録はあるが、この大会で、「初＝First」を記録した選手たちは少なくない。今回は、神戸のエースに君臨する大久保嘉人の「初」に迫る。

2001年Jリーグヤマザキナビスコカップ1回戦、磐田戦での“プロ初先発”の記憶は、その試合で決めた開始6分の“プロ初ゴール”以上に、当時、最強軍団と言われた磐田の名波浩に対して与えられた役割のほうが、色濃く脳裏に刻まれている。
「あの時代のジュビロは、名波さんからすべての攻撃が始まっていましたからね。ルーキーで国見出身の僕には体力があると思われていたらしく（笑）、とにかく名波さんにどこまでもついて行って、そこから出てくるパスを徹底して潰せ、という指示が出ていました。最初はかなりビビっていたんですけど、試合が始まったら、名波さんについていくのが大変で、ビビるのも忘れて無心で追いかけ回していましたね。途中、一度名波さんにタックルした時に、他の選手に囲まれたりもしたんですけど、若さゆえに、関係ねぇって。一方で、名波さんはと言えば、特になにかを言うでもなく……。僕みたいな小僧のことなんて、相手にしていなかったんでしょうね」

一方で、初ゴールについては、「どんなふうに決めたのかも忘れた」というほど記憶は曖昧だ。ただ、この年にプロとしてのサッカー人生を歩み始めた大久保にとって、「とにかく1試合でも早く先発出場をすること」が、最初の目標だった。それを実現した試合で、FWとして結果を残せたことは、のちのキャリアを積んでいくうえで、大きな自信になったと振り返る。
「その前のJリーグで、2試合続けて途中出場のチャンスをもらいながら、結果を残せなかった。そういうなかでの先発出場で、しかも相手が、当時、敵なしの強さを誇っていたジュビロ。僕にとって間違いなく大きなチャンスだったけど、結果が残せなければ、意味がない。だからこそ、マジで気合いが入っていたし、得点も狙っていた。ＦＷとして、ゴールという結果を残せたのは嬉しかったし、これでプロとしてやっていけるという自信を持てました」

当時からあった、プロとして、結果にこだわる姿勢は今も変わっていない。昨年同様、今季もFWのみならず、中盤で起用されることも多いが、どのポジションであろうと、ゴールへの欲求は強く、それが自身の存在価値を証明する唯一の手段だという自覚もある。
だからこそ、今年のJリーグヤマザキナビスコカップの舞台でも当然、ゴールをどん欲に狙いにいく。

日本代表では、2003年5月の日韓戦でデビューを飾った大久保だが、初ゴールを決めるまで苦労した。あまりのプレッシャーに「本気でサッカーを辞めようと思った」と後のインタビューでも胸の内を吐露。待望の初ゴールは、デビューから20試合目、2007年10月のエジプト戦だった。

文●高村美砂（フリーライター）

週刊サッカーダイジェスト　5月24日発売号

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■プロフィール■
PROFILE　おおくぼ・よしと／1982年6月9日生まれ、福岡県出身。170cm・73kg。
国見高ーC大阪ーマジョルカ（SPA）ーC大阪ー神戸ーヴォルフスブルク（GER）。
J1通算191試合79得点。J2通算29試合18得点。今季6試合3得点（11節終了現在）。
昨年はワールドカップ出場を果たし、攻守に渡る活躍を見せた。
今季は2列目のアタッカーとして起用され、3ゴールと好調をアピール。
研ぎ澄まされた得点感覚はいまだ健在だ。

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