6月4日（土） 2011 J2リーグ戦 第15節
草津 3 - 1 千葉　（16:04／正田スタ／6,054人）
得点者：50' アレックス（草津）、80' ラフィーニャ（草津）、90' 萬代宏樹（草津）、90'+2 深井正樹（千葉）
スカパー！再放送 Ch185 6/5（日）後11:30〜
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スタジアムにはパワーが漲っていた。首位千葉をホーム正田スタへ迎えた草津はゲーム序盤から、気迫漲る白熱のフットボールを披露。後半に怒涛の３ゴールを叩き込んで、身長２０４センチのオーロイを擁し首位を突っ走る千葉を撃破してみせた。今季５勝目を挙げた草津は、昇格戦線へ突き進む資格が十分にあることを高らかに示した。

２０４センチ、１９２センチ・・・Ｊリーグ規格外のプレーヤーが並ぶ千葉の高さへの対策として、草津はメンバーを変更してゲームへ挑んだ。５月上旬の岡山戦で額を１６針も縫うケガを負った中村英之が傷口の痛みを堪えて４試合ぶりに先発へ復帰、さらに前線には萬代宏樹を起用。それでもオーロイとは20センチ以上の差があるが、草津の選手たちは対策を頭に叩き込んでピッチへ立った。

草津は前半からチーム戦術を貫いていた。オーロイに対しては中村英之が体を寄せて自由を与えず、オーロイの裏へと走り込む２列目のプレーヤーを松下裕樹、櫻田和樹がケア。オーロイを孤立させることで落ち着きを得ていく。またオーロイを狙ったセットプレーに対しては、１９４センチのＪ２最長ＧＫ北一真が果敢な飛び出しで手を伸ばした。「オレの手が届かなかったら他の選手は絶対に競り勝てないので攻撃的な守備をしようと思った」（北）。草津は、チーム一丸となったアグレッシブな守備でボールを奪うと、速攻と遅攻を使い分けてリズムを引き寄せていく。

前半をスコアレスで折り返した草津は、後半開始早々の50分に衝撃のゴールを決めてみせる。パワフルなドルブルで左サイドを突破したラフィーニャがゴール前へクロスを浮かせる。そのボールを、後方から走り込んだアレックスが全身全霊のヘッドで豪快にネットへと突き刺し、貴重な先制ゴールをむしり取る。だが前節２点を逆転した千葉相手に１点のリードでは心もとない。

「守り抜くのではなく攻める」（副島博志監督）。この日の草津には攻め抜く覚悟がはっきりと見られた。右サイドの古林将太が荒削りなプレーでピッチを駆け上がれば、普段は黒子役に徹するボランチ櫻田和樹もドリブルで守備陣をかわしてシュートを放っていく。「チーム全体がゴールへ向かって一つになり始める。「コンパクトな陣形を保つことができたので攻撃にも人数がかけられていた」（松下）。そして、そんな攻撃的な姿勢が次なるゴールを呼んでいく。

ラフィーニャ、萬代のポストプレーから右サイドへ展開した草津は永田拓也が左サイドから絶妙なクロスを送り込む。そして一気にゴール前へと駆け上がったラフィーニャが自慢の左足で蹴り込む。草津は、カウンターの理想形ともいえる美しいゴールで千葉を突き放すと、さらに終了間際の９０分には、櫻田のパスを受けた萬代宏樹がＧＫをもかわして、角度のない位置から無人のゴールへと流し込みゲームを決めた。


千葉はアディショナルタイムに途中出場の久保裕一がＰＫを獲得、それを深井正樹が決めて１点を返したが、１対３というスコアで６試合ぶりとなる今季２敗目を喫した。ドワイト監督は「逆転できた大分戦はリードされながらもリズムは出来ていた。だが今日はうちが主導権を握るゲームではなかった」と敗因を語った。「相手がセカンドを２、３人で潰しに来ていて難しいゲームになった」（米倉恒貴）。オーロイというストロングポイントを消され、セカンド争いで屈した千葉は、ゴールへの別ルートを探すことができず痛い黒星となった。「負けたことは残念だが引きずってはいけない。チームは前へ進むしかない」（深井）。千葉は、この敗戦を成長の糧として次節のホーム戦へ向かう。


ＦＷ陣による怒涛の３ゴールで爆勝した草津は、ホームでＦＣ東京に続いて千葉をも撃破することとなった。ピッチに立った選手全員がそれぞれの役割を忠実に果たした結果が、価値ある勝点３を導いた。ゴールに絡んだラフィーニャ、アレックスら攻撃陣だけがヒーローではない。額の痛みを堪えてオーロイと対峙した中村、バイタルエリアの番人となった松下、成長著しい永田・・・、全員がマン・オブ・ザ・マッチだった。千葉ドワイト監督は「今日はうちが主導権を握った試合ではなかった」と振り返ったが、草津の勝利はアップセット（番狂わせ）ではなかった。今季の草津には凄まじい力が宿り始めた。この力を安定して発揮することができれば本気で「上」が狙える。

以上

2011.06.05 Reported by 伊藤寿学