6月4日(土) 震災復興チャリティーイベント SMILE AGAIN
ANTLERS LEGENDS 3 - 0 WITH HOPE UNITED (14:00/カシマ/23,048人)
得点者:24' ジーコ(ANTLERS LEGENDS)、40' 石井 正忠(ANTLERS LEGENDS)、50' オウンゴール(ANTLERS LEGENDS)
☆試合写真などはこちら!
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3.11の震災以降、試合を開催することができなかった茨城県立カシマサッカースタジアムにようやく歓声がこだました。さらにスタジアムの周辺ではメロンなど地元の特産品や名産品が売られ、コンコースにはあちこち目移りしてしまう充実のスタジアムグルメ。スタンドには数々のダン幕やフラッグが翻り、サポーターが声援を送る。それを受けたピッチの上の選手たちは、気持ちよさそうにプレーする。
「最高だよ。一回でもこれを味わうとやめられないよね」
秋田豊はそう形容した。あれから3ヶ月弱。本当の意味でのホーム、カシマスタジアムが戻ってきた。
「SMILE AGAIN 〜YELL FROM KASHIMA〜」と銘打たれた今回のチャリティーイベント。さまざまな趣向を凝らしたイベントが開催された。
まず第1部は「SMILE AGAIN for Children」。
北茨城で津波や地震で被災した小学生100が招待され、鹿島の5人の選手(小笠原満男、新井場徹、野沢拓也、遠藤康、八木直生)とサッカーを楽しんだ。小学生たちは全員裸足でピッチの上を駆け回る。途中、アフロヘアーのカツラをかぶった名良橋晃さんの乱入もあり、笑顔にあふれた交流だった。
そして、第2部が「ANTLERS LEGENDS vs WITH HOPE UNITED」 。
アントラーズの歴史を彩るジーコ、アルシンド、トニーニョ・セレーゾ、古川昌明、長谷川祥之、本田泰人、秋田豊といったメンバーと、Jリーグで数々の名勝負を生んできたラモス瑠偉、北沢豪、長谷川健太、山口素弘、エムボマといった豪華な面々が相対した。
体型がずいぶんと変わってしまった選手も多かったが、そのなかで一際輝きを見せたのは、やはりジーコだった。
24分、アルシンドの息子であり、今回は"助っ人"としてANTLERS LEGENDSに参戦していたイゴールが右サイドを突破。そのままシュートを打つかと思われたが、マイナス方向へパスを出す。そこに走り込んできたのがジーコ。右足で合わせたシュートはキーパーの届かないコースに見事にコントロールされ先制点をあげた。「あそこでパスを出さないのはあり得ない」とイゴール。見事なアシストでジーコの得点を演出した。
その後も、40分、50分に追加点をあげたANTLERS LEGENDSが勝利をあげる。若い選手が多いWITH HOPE UNITEDをうまく封じて追加点をあげるところなどは、じつに鹿島らしい試合運びだった。
「どうだ。良い演出だっただろ」
毎回、この手のイベントがあるときは監督代行として選手の交代を司ってきた鈴木満強化部長も笑顔を見せる。
「でも、いろいろ考えるのが大変なんだよ。みんな最初はあまり出られないと言ってたのに、いざ始まるともっと出せと言ってくる。アルシンドなんか俺の隣に来て『あれだけなのか?』と言ってくるし」
93年ファーストステージでアントラーズを優勝に導いたジーコとアルシンドの師弟コンビ。あれから18年が経とうとしているが、さすがに息の合ったところを見せていた。そして、抜群の巧さを見せていたのがトニーニョ・セレーゾ。監督時代も選手よりキックが上手いことで周囲を唸らせたが、まったく錆び付いていなかった。プロ選手としての経験が無いオズワルド・オリヴェイラ監督も、日頃の走り込みの成果を発揮して、まずまずのプレーを見せていた。
「日本人のことはよく知っています。日本人はこれまでも苦難を乗り越えてきました。少しの時間でも笑って下さい」
試合後、全員を代表して挨拶に立ったジーコは、そう呼びかけた。
まさに"SMILE AGAIN"。笑顔が戻るすばらしいイベントだった。
以上
2011.06.05 Reported by 田中滋
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