☆ヤマザキナビスコカップ特集ページ
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去年のJ2仲間の柏サポーターはFCWCのバルセロナ対策を進めているそうで、その楽しそうな雰囲気が羨ましい。J2優勝の柏は強いとは思っていたが現在はJ1でも首位。2位だった甲府は、見た目は13位だが、ACL組の鹿島(現在16位)は2試合、C大阪(現在・15位)は1試合未消化だし、14位の浦和は地力があるし大型補強が可能なビッグクラブ。つまり、甲府は18位の福岡、17位の山形と3トップを組んでいるというのが現実だろう。しかし、このまま3トップを組んでいるつもりはないし、残留する力がないとは思っていない。加部未蘭が練習試合で5試合連続ゴールを決めるなど、サブやベンチ外の選手で熱く燃えている選手や熱く萌えている選手が多い。ナビスコカップの試合数が減ってしまったことは残念だが、清水との対戦ではサブやベンチ外選手にチャンスが与えられ、彼らがレギュラーに刺激を与えるようなプレーをしてくれることに期待したい。
と、3日前にここまで書いたものの甲府はナビスコカップで経験を積ませるというような考えはないのが試合前日の現状。三浦俊也監督は「若手を使うというよりも少し(先発の)ポジションを替えるなどして今後のリーグ戦を見据えた戦いになる。もちろん、勝つことを意識して戦う」と話す。「ドラッカーの『マネジメント』は読んだことがないが、『バカでも年収1000万円』という本が出版社から勝手に送られてきたよ(笑)」という三浦監督が勝点を稼ぐために今週マネジメントしたのはボランチとサイド。簡単に言えば、1点打線を2点打線にマネジメントしたいのだ。先発メンバーは試合当日に最終的に判断をすることになるが、ボランチでは伊東輝悦のパートナーがポイント。伊東のパートナーは玉の輿ではないが、養父雄仁、保坂一成、掘米勇輝にダニエルと希望者や試したい選手は少なくない。ハーフナー・マイクと阿部吉朗のツートップで1点は取れるが勝つための2点目を取るにはボランチの機能向上は欠かせない。ボランチでタメを作ってサイドハーフが2点目に絡めるようにならなければ勝利は90分間の夢。このサイドハーフでも永里源気、内田智也、片桐淳至、柏好文、掘米勇輝とカードは揃っている。問題はどう組み合わせ、どう交代のカードを切るか。これは当日の三浦監督の判断と采配を楽しみに待ちたい。
清水とは甲府がJ1に昇格することが自転車で月に行くような夢の時代から付き合いがあり、観光名所の「エスパルスドリームプラザ」が練習着のスポンサーになってくれたり、清水の選手が甲府にレンタル移籍したりと社長同士が電話で話すことも多かった。甲府がJ1に昇格してからはそういう付き合いがなくなったが、その代わりに0勝1分4敗(天皇杯含む)と、「J1で優勝を狙っているチームは強いんだよ」と、厳しい授業をしていただいた。新潟にもJ1では1回も勝っていないので「オレンジに弱い甲府(大宮にはJ1で2勝しているが、都合が悪いので無視)」ということになっている。しかし、清水でずっとレギュラーだった選手が甲府でプレーする時代が来ることは予想外だった。
今年の清水は監督が替わり、主力級の半数がチームを去り、そのなかから伊東、市川大祐が甲府に移籍。伊東に「清水との対戦で特別な思いはある?」と聞くと、「清水で現役を終わろうと思っていたわけではないし、どこでプレーしていても元気でやっていることを見せることが出来ればいい。(特別な感じになるのは)アウェーで、アウスタでプレーするときだろうね。あそこは独特な雰囲気があるし、アウェーのロッカーに入ったこともないからね」と意外と淡々。市川は「『勝ちたい、負けたくない』という気持ちだけど、気負いすぎても駄目。試合が始まれば気持ちが入るところに入ると思う。清水時代から応援してくれている人たちには甲府でプレーする姿を見てほしい。新しいチームで頑張ることが恩返しになると思う」と言う。彼らの親族はオレンジのレプリカを箪笥に仕舞い、青赤のレプリカを車に積んで52号線を北上するのだろう。
清水の熱いサポーターに永く愛されてきた2人だけに口に出さない思いが沢山あると思う。リーグをイタリアに置き換えれば、ASローマのトッティがバーリあたりに移籍するようなもんだろうか。上手くイメージできないが、確実に大事だ。少なくとも新鮮な魚が簡単に手に入らないことは残念に思っているはず。でも、今は彼らは甲府の大事な選手。山梨名物の「鮑の煮貝」や「フルーツ」を好きになってもらい、1年でも長くプレーして欲しい。
今節の清水は2代目・アレックスがオーストラリア代表で不在、他にも何人か先発が入れ替わりそうな雰囲気。伊藤翔が先発するのか、高原直泰が先発するのか分からないが、小野伸二もいて甲府から見れば相変わらず有名どころが少なくない。ただ、新しいチームになってまだ波があり12位という順位。去年までの清水は大崩れすることがなかったが、今年はシステマチックになっているものの安定感は足りない。甲府はそこを突いて過去の対戦データを覆す結果を手にしたい。今年の甲府は初のJ1を戦った06、07年より強い。あのときの熱いムードには達していないがいつまでも「オレンジに弱い甲府」ではないところを見せたい。
以上
2011.06.04 Reported by 松尾潤













