★J’s GOAL「バトル オブ 九州2011特集」 /jsgoal_archive/special/2011kyushu/
■波乱の開幕後中断から、ここまでの戦いを振り返る
井芹貴志(熊本担当)「まずは、福岡が抜けても九州は元気だぞってところを見せる上でも、ここまでの各クラブの戦いぶりについて話しましょうか。
熊本は、エジミウソンの加入もあって守備は昨季以上に安定していますよ。一方で攻撃面では得点が少なくて、ここまでも内容的に勝てたゲームで引き分けたというのも何試合かあるんですよね。これが終盤の僅差の争い、得失点差の争いになったときにどう影響するか。ただ、相手によってシステムや先発を変えているのも、結果につながっています」
柚野真也(大分担当)「大分は、徐々に田坂監督らしさが出つつある感じです。目指すサッカーにブレがないので、長い目で温かく見守りたいですね」
サカクラゲン(鳥栖担当)「鳥栖も尹晶煥監督の采配が冴えています。変幻自在にシステムを変更して開幕ダッシュに成功! このまま最終節まで行くのは難しいかもしれませんが、ここまでは予想以上の健闘ぶり。試合の流れに合わせて、いろいろな戦術に対応できる選手が揃っているというのは大きいと思います。でも、今季上向きと言えば、何と言っても北九州でしょう。すでに昨季の勝利数を上回っていますからね(笑)」
柚野「そうですよ。お陰で大分がバトキュー(バトル オブ 九州)最下位になってるじゃないですか」
上田真之介(北九州担当)「いや〜、手放しで喜んでいます(笑)。今季の北九州はITサッカーなんですよ。コーチ陣がベンチにパソコンを持ち込んでいるし、ITを駆使したスカウティングがうまくいっていると思います」
井芹「クラブとして具体的に目標の数字を掲げているんですか?」
上田「勝点56です。今のペースで行ければ…という感じでしょうか。熊本には、目標の数字はあるんですか?」
井芹「数字じゃないですけど、高木琢也監督は開幕前、選手に優勝を目指そうと言ったそうです」
サカクラ「そういう具体的な数字や目標を監督が言うのはいいよね。ファンやサポーターにもわかりやすい。大分も田坂監督を中心にまとまっていそうな気がするなあ」
柚野「スタッフも含めて、雰囲気がいいんですよ。選手間も仲がいいし、田坂監督はその辺の雰囲気作りはうまいかも。監督がやろうとしていることを曲げないので、それに選手がフィットするようにやっているし、田坂監督がいれば夢が見られそうな感じはしますね」
上田「三浦泰年監督は、選手たちのやる気も起用のポイント。昨季から練習内容も劇的に変わって、さらに結果が付いてきていることで選手が監督を信用しているというムードが感じられます」
サカクラ「尹監督は、オーラがあるんですよ。尹監督の高いサッカー観に選手が応えようと努力しているし、できるようになってきているんです。だから、今まで見た中で一番というくらい、鳥栖は選手たちがひとつになっていると思いますね」
柚野「韓国人の監督にはそんなところがありますよね。選手は自分たちでも何とかしようと一体感が出るんです。大分も昨季はそうだった。熊本はどんな感じですか?」
井芹「鳥栖の尹監督の話が出ましたけど、高木監督にもオーラがありますね。熊本は今季、自主性っていうことを1つのテーマにしている。監督は、選手とは意図的に距離を保ちながら、ポイントで声をかけている感じはします。囲み取材で時々冗談を言ったりはするけど、基本はピリっとしてますね」
■昇格のキーマンは誰だ!? 今季注目の選手たち
井芹「リーグ戦も約4分の1を終えたところですが、各クラブの今季の注目選手も挙げてもらいましょう」
柚野「クラブ唯一のベテランで、代えのきかない宮沢正史。これまではきれいなプレーを好んでいたように思えるけど、最近は泥臭くて闘志むき出しのプレーでチームを引っ張っている。あと、田坂監督と菅原大介コーチの『お前を輝かせたい』という愛に満ちあふれた指導で、森島康仁と前田俊介の2人が再生しつつありますね」
上田「北九州は木村祐志と森村昂太ですね。木村は今年24歳。大ベテランの桑原裕義と同じポジションでプレーすることもあって、いい方向に影響して大化けするかも。森村も今年23歳と若いけど冷静。これからが楽しみな選手です。あと、今年はレオ(レオナルド)が持っているんですよ。相手が疲れてきたところで途中出場っていう交代策がここまで効果的ですね」
サカクラ「レオは連係が取れるようになったら、もっとよくなると思う。今はまだ、ボールを持つとゴールしか見えてないけど(笑)」
井芹「熊本は長沢駿に仲間隼斗、武富孝介と攻撃陣の若い選手がいいです。あとはやっぱりエジミウソンが効いている」
柚野「エジはキャラが際立っていませんか?」
井芹「まだそこまでは至ってないかなあ」
柚野「大分時代もそうだったので、きっと馴染めばすごいムードメーカーになるし、キャラが伴ってくると、たぶん力も10割発揮しますよ(笑)」
井芹「その辺は、まだ出てないかもしれないですね。熊本から移籍した西弘則はどうですか?」
柚野「まだ爆発はしてないけど、重宝してると思います。トップ下に入れたりサイドに入れたり、2トップの一角で使ったり、西でフォーメーションを決めたりしている。鳥栖は、早坂良太がいいじゃないですか」
サカクラ「早坂は上昇志向も強いし、技術的にもボールを失わないし賢い、それが全てですよ」
柚野「顔に力がありますもんね、上にいくぞっていう(笑)」
サカクラ「最近、何か良いことがあったらしいし(笑)」
井芹「それ、詳しく書いていいですか?」
サカクラ「ダメダメ、それは本人に怒られます(笑)」
後編につづく
座談会実施:5月27日
構成:井芹貴志
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■次回のバトル オブ 九州
★6月12日(日)J2 第16節 北九州 vs 鳥栖(15:00KICK OFF/本城)
★6月19日(日)J2 第17節 大分 vs 熊本(19:00KICK OFF/大銀ド)
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