6月15日(水) 2011 J1リーグ戦 第15節
神戸 0 - 0 福岡 (19:04/ホームズ/6,151人)
スカパー!再放送 Ch180 6/16(木)後05:00〜
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試合終了のホイッスルがスタジアムに響く。神戸の茂木弘人は“ダメだ”と言わんばかりに首を2・3回左右に振り、頭を垂れた。福岡の選手たちは握手をし、ポンと仲間の肩を叩いて労をねぎらった。そして、神戸サポーターはブーイングをピッチへと投げ入れた。
結果はスコアレスドロー。福岡が今季初の勝点を挙げた。だが、試合後の光景はまるで神戸が大敗したような雰囲気に包まれていた。
前半の立ち上がりから、流れは福岡が握っていた。両チームともミスパスが多く、ボールが落ち着かない状況で、福岡はゴール前へ何本かロビングボールを入れ、城後寿や松浦拓弥、重松健太郎らが身体を張って競った。結果的に、このパワープレー気味の攻撃が神戸のディフェンスラインを下げさせ、福岡の積極的な前線のプレスへとつながっていく。そして前半28分頃には、福岡の松浦がスピードに乗ったドリブルで神戸DF陣を3人ほど抜き去り、決定的なシーンを演出。じわじわと福岡がポゼッションを高めていった。
この状況を打開するため、神戸ベンチが動く。37分頃にシステムを4−4−2から4−2−3−1に変更し、左の大久保嘉人を右へ、右の朴康造を中央へ、トップのホジェリーニョを左へ配した。1トップにはポポ。中央の朴がワンタッチパスなどでリズムを作り始めると、神戸に連動性が生まれる。だが、それでもゴールは遠く、両チームとも決め手に欠き、0−0で前半を折り返した。
後半。神戸は再び4−4−2に戻し、ホジェリーニョに替えてFW有田光希を投入した。56分過ぎには、ボッティのピンポイントクロスを有田が頭で合わせるなど、選手交代が効果となって表れた。続く59分過ぎには、田中英雄のコーナーキックを北本久仁衛が競り、そのこぼれ球を河本裕之が頭で中央へ折り返し、大久保がバイシクルキック気味に合わせた。ボールは惜しくもバーを直撃して外れたが、ゴールの気配が漂い始める。63分過ぎには田中、大久保、田中、有田とつなぐ神戸らしいカウンターも見られた。
一方、この劣勢を打開すべく福岡は、70分に鈴木惇を成岡翔に、75分には松浦を高橋泰に代えて流れを引き戻そうと試みる。すると、フレッシュな選手を続けてピッチへ送ったことで再び福岡に前線のアグレッシブなプレスが戻る。そして終盤の猛攻へとつなげていった。
だが、両チームとも最後まで得点することができず、無情の笛が鳴る。その後の光景は冒頭で述べた通りである。
試合後、神戸の和田昌裕監督は「不甲斐ない試合をお詫びしたい」と語った。逆に、福岡の篠田善之監督は「勝ちはしなかったが、半歩前進」と前向きにコメント。この違いだけでも、どちらが優勢だったかは想像がつくだろう。試合後のミックスゾーンでも同じように、福岡と神戸の選手の表情は対照的だった。特に神戸の大久保は「もう、今日は負け試合」と険しい顔で捲し立てた。“負けに等しい”ではなく、“負け試合”と言い切ったことからも、悔しさの度合い、いや怒りの度合いが伝わってくる。そういうゲーム内容だった。
なぜ、こういう展開になったのか。この試合にかける気持ちがそもそも違ったのかもしれないし、福岡に今季初勝利を与えるチームになりたくないという気持ちが神戸に重圧としてのしかかったのかもしれない。神戸が“らしさ”を出せなかったのか、福岡が“らしさ”を出したのかは賛否両論あるだろうが、一つだけはっきりしているのは福岡の方がハードワークしていた点だろう。今までの神戸は試合終了の笛と同時に何人もの選手がピッチに倒れ込んでいた。力を出し切った証拠だが、今日は……。神戸サポーターのブーイングの理由も、この辺りにあるのかもしれない。
ただ、神戸の選手が下を向く必要はない。試合に負けてはいないし、無失点に抑えてもいる。この悔しさを次節へ生かせばそれでいい。
以上
2011.06.16 Reported by 白井邦彦















