6月15日(水) 2011 J1リーグ戦 第15節
大宮 0 - 5 川崎F (19:03/NACK/7,003人)
得点者:41' 田坂祐介(川崎F)、44' 井川祐輔(川崎F)、64' 小林悠(川崎F)、71' 矢島卓郎(川崎F)、78' 山瀬功治(川崎F)
スカパー!再放送 Ch185 6/16(木)後01:30〜
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一度ずれた歯車は、最後まで噛み合うことがなかった。序盤の決定機を逃した大宮の代償は、あまりに大きかった。
ホームでの今季初勝利を狙う大宮は、試合開始直後から川崎Fを攻め立てた。まずは1分の場面。左からのボールを藤本主税が競り、このこぼれ球を李天秀がフリーでシュート。しかし、枠を捉えられない。川崎Fが胸をなでおろしたその2分後には、左サイドのラファエルからのクロスに再び李天秀が合わせるが、今度はGK安藤駿介が体を張ってセーブ。大宮はこの決定機で得点を奪うことができなかった。
大宮はその後、10分過ぎ頃から川崎Fにペースを握られ、そのまま沈黙の時間が続くこととなる。試合を振り返った時、結果的にこの2本の決定機が得点につながらなかったことが、試合の行方を大きく左右していたのである。
そもそも大宮はU−22日本代表として東慶悟を送り出しており、この穴をどう埋めるのかがこの試合のポイントとなっていた。鈴木淳監督が出した答えは、渡邉大剛である。その渡邉について鈴木監督は「今年はそれ(レギュラー選手の不在)を補えるだけの戦力がある」と評し、信頼してピッチに送り出していた。
その一方で、川崎Fも負傷の中村憲剛が控えのメンバーからも外れる中、田坂祐介が先発のピッチを踏んでいた。同じように重要な選手を失っていた両チームは、その穴を埋める選手の働きに注目が集まっていたのである。
前述の通り、大宮は立ち上がりの決定機を逃しペースを奪われていた。それでも34分には川崎Fの一瞬の隙を突き、李天秀がGKとの1対1の場面を作り出す。しかし、この場面でもゴールは決まらず、大宮の歯車はかみ合わないままだった。
川崎Fの田坂はこれらピンチについて「プレスがはまらない時間帯もありましたが、相手がチャンスを2本外した時点で自分たちのチャンスだと思いました」と話し、決定的なピンチを無失点でやり過ごせたことが、彼らに与えていた希望について言及していた。
悪いことは続くもので、攻められながらも守れていた大宮は、前半も残り5分を切っていた41分に1失点目を喫してしまう。稲本潤一からのパスを受けた山瀬功治がファーサイドに走りこんだ田坂に合わせたものだった。この失点により集中力が切れてしまったのか、失点のわずか3分後となる前半44分に田坂のCKからのこぼれを、井川祐輔が押しこんで2失点目を喫することとなる。
鈴木監督はこの時間帯について「まだ0−1で終われればよかったんですが立て続けに失点をして、あのへんが集中力がないという印象を受けました」と振り返っている。場合によっては3−0でリードの試合展開もありえた試合が、0−1になってしまったことの影響は大きかったといえる。
2点を追いかける後半の頭から、大宮の鈴木監督は藤本主税に代えて石原直樹を投入。点を取り返すのだとの意思を示し、選手たちの奮起を促す。しかし前半の2失点の痛手は、チーム内に深く蔓延してしまっていた。
川崎Fにしてみれば2点のリードがセーフティーなものではないことを自覚しており、気を抜くことなく試合を進めていた。川崎Fは守りに入ることなく攻撃的な姿勢を貫くのである。後半は立ち上がりから攻めこまれた大宮は、次第に中盤の運動量が落ち、スペースが出始めていく。そんな64分のこと。
「ボールを持った時に、シュートを打とうと思っていました。前を向けて、相手DFもそんなに詰めてなかった」と話すのは強烈なミドルシュートを放った山瀬。GK北野貴之はこのミドルシュートを一度は弾くが、このこぼれ球に小林悠が詰めており、川崎Fが決定的とも言える3点目を手にする。
鈴木監督がこの試合で見せた交代采配は、前述のハーフタイムの石原の投入に加え、54分の渡邉大剛から村上和弘、67分の坪内秀介から杉山新への交代と、それぞれに攻撃的な意思を持つものだった。しかし、これらの交代はチームとしての攻撃への意識を強めはしたが、それと同時に大宮の攻守のバランスを崩してしまうのである。結果的に大宮はその後2点を追加されてしまった。
アウェイで今季未勝利の川崎Fを相手に、過去、川崎Fを相手に負けていないNACK5スタジアムで、ホームでの今季初勝利を狙った大宮ではあったが、逆に5失点の大敗を喫してしまうこととなった。この結果、大宮の今季ホーム未勝利記録は5試合に伸びる結果に。
試合後の鈴木監督はこの試合を受け「連戦ですが、気持ちのところで切り替えをしっかりして、次のゲームに臨みたいと思います」と述べて、アウェイでの名古屋戦に視線を切り替えていた。
一方、アウェイでの待望の今季初勝利を手にした川崎Fは試合終盤の大宮の圧力による緊迫感の影響か相馬直樹監督が「冷静さを失っていた」と会見で述べる一方、ゴールも決めた矢島卓郎が「結果的に0で抑え、5点を取れましたが、内容は完璧ではなかったですし、先に取られていてもおかしくはなかった」と話し、運も味方した薄氷の勝利だったとの認識を示している。
冒頭にも記したが、思わぬ大差がついたこの試合は、試合序盤の大宮の決定機が1つでも決まっていれば、どう転んでいたのか全くわからない、そんな試合だったと言えそうだ。
以上
2011.06.16 Reported by 江藤高志















