6月15日(水) 2011 J1リーグ戦 第15節
仙台 2 - 1 G大阪 (14:03/ユアスタ/14,519人)
得点者:53' 菅井直樹(仙台)、65' アドリアーノ(G大阪)、86' 赤嶺真吾(仙台)
スカパー!再放送 Ch180 6/16(木)後08:00〜
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まず試合の前に、このことには触れておく必要があるだろう。
入場者数、14,519人。ナイトゲームで行われた他の8会場を上回り、震災による照明灯の破損により平日デイゲームという営業面でも困難が予想される事態を余儀なくされたはずの仙台が、今節最も多くの観衆を集めた。「営業スタッフも本当に頑張ってくれたけど、この数字には僕自身、本当に驚いています」と、試合後の白幡洋一・ベガルタ仙台社長はくしゃくしゃの笑顔を見せていた。
もちろん社長だけではない。手倉森誠監督が「ここに集まってくれる今日のサポーターは、自分のサラリーよりもベガルタに対して生き甲斐を感じてくれる人。自分達がいなければベガルタは勝てないと支えてくれる人たちだ」という言い回しで試合前に選手を送り出したと語り、会見場の笑いを誘えば、決勝弾の赤嶺真吾も「たくさんの方が来られて、試合も勝つことができたので、すごく良かったと思います。いつもそうですけど、感謝しています」と話す。
戦前には様々な不安もあったが、その全てはまず、多くのサポーターで埋まったスタンドが吹き飛ばしてくれた、そんな気すらする、素晴らしい光景だった。
そして、その観衆に応えるべく、仙台も素晴らしい戦いを披露した。自らが手にした持ち味を存分に見せつけての真昼の完勝劇として、この日の勝利は駆けつけたサポーターだけでなく、来られなかったサポーターにも、見逃した悔しさとともに刻まれるのではないだろうか。
豪華な攻撃陣と、それを巧みに動かす魅惑の中盤を持つG大阪を迎え撃つにあたり、この日の仙台の意思統一は素晴らしかった。割り切って自陣でブロックを形成、G大阪に簡単に入り込ませないことを念頭に、慎重な戦いを立ち上がりから推し進めた。G大阪が最終ラインでボールを持つ分には、無理にチェックに行かず、そこからの縦パスだけはしっかりとケア(それでも内田達也からのボールに抜け出した宇佐美貴史が、一瞬の速さで曹秉局、さらに飛び出したGK林卓人に先んじてボールに触れた時はヒヤッとしたが)。この状況をまずいと感じたのか、G大阪も、明神智和がピッチを左右狭しと動き回ってボールを引き出してリズムを作ることで、前半の半ば過ぎからは、ようやく中央の遠藤保仁、二川孝広あたりにボールが入り出す。だが入ったところで、仙台はボランチの富田晋伍が嗅覚良くG大阪のこれらキーマンに襲いかかり、自由を奪い続けた。
さらに、ゲームコントロールの面でも、仙台は様々な事象を徹底。例えば、普段はほとんど長いボールを蹴るのみだったGK林卓人からのゴールキックや球出しが、この試合では受けられるのであれば近くのDFへ出し、自陣でのパス回しに繋げる場面が多く見られた。ボールを持つ時間を増やすことで、ゲームがなし崩し的にG大阪ペースになることを防ぐ。この点でも仙台は、狙い通りに試合を進めていたと言える。
こうして互いに無得点ながら、手応えを掴みつつ前半を終えた仙台。遂に掴んだ最初の歓喜は53分だった。
立ち上がりから連続して得た後半2本目のCK。梁勇基が放った左コーナーからのキックはファーへと伸びるが、ここで菅井直樹が密集の中競り勝った。高さで勝つというより、絶妙のポジショニングで合わせる点の獲り方が多かった菅井だが、今回は文字どおり頭一つ抜けた高いヘッド。セットプレーの守備に弱さがあったG大阪から、仙台はしっかりと自分たちの武器で先制弾を奪った。
G大阪も、一旦は試合を振り出しに戻す。守りの要、曹がセットプレーで足を痛めて退き、渡辺広大がDFラインに入った直後の65分。後半は宇佐美が1列上がり4-4-2となった布陣の左サイドに陣取った二川が、プレスのかかりづらい浅い位置まで降りてきた後、仙台のDFライン裏へ絶妙なボール。まだ完全にフィットしていなかったDFラインを尻目に抜け出したアドリアーノが、カバーに追った鎌田次郎をはじき飛ばし、飛び出した林もかわしてゲット。ただこのゴールで必要以上に気落ちするほど、今日の仙台はスタンドの空気も含め、柔な存在ではなかった。実際、失点は喫したものの、G大阪の攻撃は恐れていた連動性が思っていたほどには感じられず、前線のアドリアーノへの活きたボールも以降は続かなかった。
さらに試合が終盤に入ると、明らかに差が目立ち始める両チームの運動量。前節神戸戦の反省、さらに先ほどの失点後の立て直しも上手く行き、終盤でも組織だった守備を乱さずに保ちつつ、しかしカウンターで前へ出る馬力がみなぎっていた仙台に対し、G大阪は完全に足が止まる。カウンターで抜け出しかけた菅井を遠藤が警告覚悟のファールで止めざるを得なかった75分の場面など、全ての光景が、仙台の勇気と確信に繋がっていく。
この空気の中、手倉森誠監督がとった最後の交代策が、見事なとどめとなった。柳沢敦が83分、仙台の選手として初めてピッチに登場。
その直後だった。86分、G大阪はアドリアーノにボールを入れるが、左サイドで受けたアドリアーノは厳しく寄せた角田誠のチェックを受けながらズルズルと下がってしまった上、ハーフウェイ付近まで戻ったところでバックパスをミス。相手の柳沢に渡してしまう。ここで柳沢が、見入ってしまう素晴らしいキープから、勢いをつけて右サイドを駆け上がった角田へ完璧なポストプレー。ゴール前まで迫った角田が守備を引きつけた後にグラウンダーでセンタリングを送ると、フリーで飛び込んできたのは赤嶺真吾。この日前後半それぞれで1本ずつ、大きな決定機をものにできなかった赤嶺だったが、チームの総力で掴んだ最後のチャンスは確実に決めた。これが決勝点に。
アドリアーノは6試合連続得点でゴール数を9と伸ばしたものの、チーム全体で連動した攻めを思うようにできなかったG大阪を尻目に、慎重かつ洗練されたゲームプランを遂行しきった仙台。シュート数も14−4と圧倒。
仙台は今、本当に、次のステップに進もうとしているのでは…そう期待を抱いてしまう、充実の勝利だった。
以上















