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【J1:第18節 名古屋 vs 浦和】レポート:勝利を目前にした名古屋に思わぬ落とし穴。土壇場のPK獲得で浦和がドローに持ち込み、“98分”の死闘は勝点1を分け合う結果に。(11.06.26)

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6月25日(土) 2011 J1リーグ戦 第18節
名古屋 1 - 1 浦和 (19:03/豊田ス/28,515人)
得点者:45'+1 磯村亮太(名古屋)、90'+8 マゾーラ(浦和)
スカパー!再放送 Ch181 6/27(月)深02:00〜
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名古屋が磯村亮太の3試合連続ゴールで浦和にリベンジ!と謳われるはずだったゲームは、試合終了間際に暗転した。浦和の同点ゴールの時間は実に90+8分。名古屋は前週の大宮戦さながらに、土壇場で勝点2を逃した。

環境からして厳しい試合だった。日中は気温30℃をゆうに超えた名古屋は、夕方になっても気温がそれほど下がらなかった。公式記録によれば気温は27.7℃。さらには試合直前に激しいにわか雨が降り、湿度は86%まで上昇した。まるでサウナのようなピッチは、連戦の疲労を抱えた選手たちにとっては地獄のような環境だったに違いない。ともにアグレッシブさが売りのチームだが、運動量が今一つ上がっていかない。やや間延びしたフォーメーションのぶつかり合いは、ゴール前の迫力にも欠けた。

その中で主導権を握ったのは名古屋だった。その要因はストイコビッチ監督の秘策である。秘策とは、田中マルクス闘莉王のアンカー起用。今節はダニルソンが出場停止のため、その代役を誰が務めるかに注目が集まっていた。2試合連続ゴール中の磯村か、三都主アレサンドロか、はたまたダブルボランチか。しかしメンバー表には次の名前が書かれていた。GK楢崎正剛、DF千代反田充、闘莉王、増川隆洋、MF田中隼磨、小川佳純、磯村亮太、藤本淳吾、阿部翔平、そしてFWにケネディ、玉田圭司。並びだけを見れば3−5−2のフォーメーションで、それに対応するだけのメンバーが揃っている。しかし、これはかりそめの布陣だった。キックオフこそ3−5−2の形でスタートした名古屋だったが、8分を経過した頃から闘莉王がポジションをひとつ上げ、田中隼と阿部が最終ラインに下がることで、従来の4−3−3を形成。これがものの見事にはまった。もともと中長距離のパスを駆使したゲームメイク力に定評ある闘莉王だが、アンカーの位置はその能力を発揮するに最適といってもいいポジションだった。この日の名古屋は闘莉王のゲームメイクとケネディのキープ力で連戦の疲労を見事にカバー。試合の中で、常に優位に立って戦うことができた。

この日最初のアクシデントが起きたのは、23分だった。クロスに飛び込んだマルシオ・リシャルデスが千代反田と交錯。両者は頭を強く打ち、千代反田は流血、リシャルデスはそのまま負傷退場してしまった。浦和は代役としてクウェートから帰国したその足で合流した原口元気を投入。原口は移動疲れを感じさせないキレのある動きを披露したが、それでもリーグ屈指のゲームメイカーを失った浦和は、攻撃が単調になっていった。

運動量の上がらない戦いはその後やや弛緩したものに。だが、前半終了間際に名古屋の背番号33が魅せた。ペナルティエリア前のケネディにくさびのパスを打ちこむと、マークを連れた小川とクロスするように右サイドへスライド。ケネディからのワンツーをダイレクトで、冷静にゴール右隅へと流し込んだ。3試合連続となるゴールは、磯村の意地が詰まった一撃だ。2008年の全日本ユース選手権決勝で、名古屋U18は浦和ユースに1−9の大敗を喫した。その当時のメンバーが、名古屋では磯村であり、浦和では原口、高橋、そして山田直輝らだったのである。「浦和レッズはU18時代に全国大会の決勝で大敗した相手でした。今日も相手に3人の選手がいましたが、自分がプロになって浦和にリベンジし、ユース時代を共に戦った仲間と節目を迎えたかった」と語る20歳の強い気持ちが、名古屋に待望の先制点をもたらした。

後半はさらに両チームの運動量が落ち、オープンなゲーム展開となった。51分に浦和が直接FKからチャンスを迎えると、返す刀で名古屋も直接FKから闘莉王が強烈なシュートを浴びせる。その後も56分、57分と名古屋が決定機を作ると、浦和は鈴木啓太に代えてマゾーラを投入。山田直をボランチとする攻めの一手で打って出た。すると、ここでまたアクシデントが起きてしまう。63分、マゾーラが左サイドを突破しGKとDFに間に速いクロスを送ると、原一樹が飛び込みフリーで合わせる。これをGK楢崎が神がかり的な反応で弾いたが、その際に左手小指を負傷してしまった。1mにも満たないであろう至近距離のセービングには闘莉王も「やっぱりあの人は日本一。あの止め方はナラさんじゃないとできない」と手放しで称賛したが、守護神の退場は名古屋にとっては大問題。状態は翌日の精密検査まで不明だが、関係者の話では骨折とも脱臼とも言われ、数週間の離脱は避けられない情勢だった。

そして、冒頭の場面はやってくる。楢崎の負傷もあり、追加タイムは6分が表示された。名古屋はアディショナルタイムに入ってから三都主を投入し、闘莉王をDFラインに組み込む5バックで、スピラノビッチを前線に上げる浦和のパワープレーに対抗していた。時計の針が6分を回ったところでストイコビッチ監督が口笛を吹き、試合終了をアピール。しかしその次の瞬間に悲劇は起こった。高橋の放り込みに闘莉王が競り合い、流れたボールがスピラノビッチと千代反田の間へ。この際、千代反田が手で処理したとして主審がPKを宣告したのである。浦和はこれをマゾーラが度胸満点のループシュートで沈め、試合は1−1の引き分けで終了。実に98分にも渡った激戦は、名古屋にとっては後味の悪すぎる幕切れとなった。

快進撃の6月を勝利で締められなかった名古屋だが、5試合で3勝2分、勝点11獲得は上々の成績と言っていい。試合数の少ないAFCチャンピオンズリーグ組の中ではダントツの6位という順位も、悪くない数字だ。チーム状態を好転させ、1ヵ月を無敗で切り抜けた自信は、今後の戦いにもプラスに作用するはず。「HOT6」と銘打たれた7月の試合は6戦中4戦がアウェイとなるが、相手がベタ引きすることが少ない敵地での戦いは、名古屋が得意とするところでもある。復活の6月から首位追撃の7月へ。名古屋にめげている暇はない。

以上

2011.06.26 Reported by 今井雄一朗
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