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【J2:第18節 熊本 vs 愛媛】レポート:長沢の2発で4試合ぶりの勝利!課題は残しつつも、堅い愛媛に勝ちきって熊本が再浮上。(11.06.26)

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6月25日(土) 2011 J2リーグ戦 第18節
熊本 2 - 1 愛媛 (19:03/熊本/3,877人)
得点者:13' 長沢駿(熊本)、32' 長沢駿(熊本)、65' 齋藤学(愛媛)
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試合終了を告げる笛がまさしく歓喜の合図となった。昼過ぎから降り始めた雨の影響もあってか観客数は4,000人に満たなかったが、その時を待つように音量を増していたスタンドの声は、笛が鳴ると同時にさらに大きく響きわたる。4試合ぶりの勝利で好調の愛媛をくだした熊本は暫定で6位に浮上。日曜の試合で草津が勝てば7位となる可能性はあるものの、上位陣との勝点差を詰めることに成功した。

この日1人めのヒーローは、ここまでの数試合で幾度もビッグチャンスを迎えながらことごとく決められずに苦しい時間を送ってきた長沢駿である。まずは13分、3試合ぶりに先発出場した武富孝介からのシュートぎみのクロスに対し、「少し角度を変えれば入る」と、DFの間からうまく抜けだして頭で流しこむ。さらに32分には、愛媛DF高杉亮太のハンドで得たPKを落ち着いて、しかしこれまでの鬱憤を晴らすかのように思い切り、右足でゴール中央上部に叩き込んだ。
そして2人めは、先制のアシストに加えPKにつながるクロスと2点に絡んだ武富だ。高木琢也監督は「今日の試合ではあまりできなかった」と話したが、「トップよりも少し下りて、相手のアプローチを迷わすポジションを取ったり」(高木監督)することで愛媛の守備陣を翻弄。13分の先制点はコーナーキックからの流れだったが、このコーナーキックも武富の仕掛けから得たものだ。
さらに、試合を通して献身的な守備とカバーリングを見せたエジミウソンをはじめ、中盤の守備も効いていた。先制に至る場面では、武富のコーナーとその後のクロス、合わせて3度跳ね返されているが、エジミウソンやファビオ、根占真伍がそのこぼれ球をしっかりと拾って波状攻撃につなげた。アシストをつけた武富がボールを受けてフリーに近い状態でターンできているのも、片山奨典が縦に動いてDFをひきつけていたからである。
もとよりこの試合、高木監督は「穴がない」と評した愛媛を「どう切り崩すか考えた」末に、前節今季初ゴールを挙げた松橋章太をあえて外し武富を起用。しかもその武富は2トップの1枚としてプレーするのではなく、前線は長沢を頂点にした形を取っている。高木監督はその詳細な狙いについては明かさなかったが、試合の2日前に市村篤司らDF陣も口にしていたように、「網にはまらないよう」(高木監督)立ち上がりから意図的にロングボールを多用。中央で待つのではなく、長沢がサイドに流れて高杉と池田昇平のセンターバックを左右へ開かせる一方、そのスペースに武富やファビオが顔を出すことで、愛媛の中盤に対して守備に比重を置かせることにつながったと捉えることもできるだろう。

さて、2点先行した熊本にとっては、前節の大分戦と同じ轍を踏まないことが次の課題となった。しかし愛媛のバルバリッチ監督も動き、後半に入って内田健太と越智亮介の2枚を同時にピッチへ送ると徐々に前への勢いを増す。熊本も60分ごろまでは凌いでいたが、65分、自陣からの渡邊一仁のグラウンダーの縦パスを齋藤学がワンタッチでつなぎ、それを受けたジョジマールが左に開きながら運んで中央へ。この折り返しに入り込んだ齋藤は、熊本DFの対応を見て動きなおし、フリーになった状態を作って左足でシュート。ゴール右隅に決めて1点差とした。
その後は愛媛がペースを掴む中、熊本もカウンターで応酬し、68分にはファビオのヘッド、83分には片山がドライブ気味のミドルを狙うなど形を作るが得点には至らず。逆に愛媛も、アディショナルタイムには越智が決定的な場面を迎えるなど同点に追いつくチャンスはあったが、前半のファインセーブも含めて南雄太が2点目を許さず、熊本がしたたかに勝ちきった。
愛媛にしてみれば、2失点目はアンラッキーなPKだったとは言え、やはり前半から主導権を握るような戦い方が今後の課題となるだろう。しかしながら齋藤が話しているように、攻撃の形はできているのも事実。無敗は5試合で止まったが、個の力でもチャンスを作れるからこそ、組織としての攻撃を充実させていきたい。

熊本は何より、結果を手にしたことがいちばんの収穫だ。もちろん、1失点に留めたとは言え、南の幾度かのセーブがなければ追いつかれかねない形を作らせてしまったこと、また例えば後半立ち上がりに長沢と片山で作った2対1の状況など、早い時間にもチャンスがありながら3点目を奪ってゲームを決められなかったこと、そして高木監督が触れている「ボールを動かすことができなかった」ことなど、修正すべき点も多数ある。
それでも、勝ちきれなかった最近の3試合で欠けていた要素を自らの手で再び取り戻したことは、今後に向けての起爆剤となりうる。特にここまであまり出場機会のなかった西森正明や筑城和人ら、短い時間の中で交代選手もそれぞれが役割を自覚してプレーし、そのための準備を怠らなかった。「ベンチに座っている選手、メンバー外の選手も、日々の練習からスタメンを追い抜こうという気持ちでやる」(筑城)ことが、チームの一体感や士気を高め、さらには勝負強さを身につけることにつながるはずだ。
中3日で迎える京都戦は、13試合目だが2節。初心に帰った熊本が、初めて乗り込む西京極から再スタートをきる。

以上


2011.06.26 Reported by 井芹貴志
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