7月30日(土) 2011 J1リーグ戦 第19節
広島 4 - 0 清水 (19:04/広島ビ/16,816人)
得点者:4' 李忠成(広島)、39' オウンゴ−ル(広島)、86' ムジリ(広島)、90'+2 李忠成(広島)
スカパー!再放送 Ch185 8/2(火)前05:00〜
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1998年から昨年までの13年間、広島の左サイドの先発は「服部公太」という名前が常に刻み込まれていた。だが、昨年10月13日の天皇杯対福岡戦で負傷(右足第五中足骨骨折)して離脱して以降、状況は変わる。
広島の左サイドには、ナビスコカップ決勝でもゴールを決めた山岸智が君臨。レギュラーの座を滑り落ちた服部は、リーグ再開初戦のG大阪戦から5試合連続、ベンチからも外れた。J1で126試合連続フルタイム出場(フィールドプレーヤー史上最高)を達成した鉄人は、もう浮上できないのか。そんなイメージを植え付けた序盤戦だった。
しかし、彼はその苦境にあっても、今までと全く変わらないプロとしての振る舞いを見せつけた。慣れないサテライトの試合や練習で常に全力を尽くし、腐ることもなく笑顔を見せてチームの雰囲気を和らげた。いつもどおり食事もコントロールし、コンディション向上に向けて全ての生活をデザインし、チャンスを待った。そして7月の勝利がわずかに1、パスサッカーも鳴りを潜めていたチームの危機を救ったのは、選手生活最大の苦境を迎えたベテランの反発力だった。
39分、「公太さんには、特別な信頼を置いている」という高萩洋次郎から、「洋次郎からは、走れば質の高いパスが出てくる」と信じて走る服部公太へ以心伝心のパスが通る。フリーだ。「速くて鋭いボールを」。彼のイメージ通りのクロスが、ニアに走った佐藤寿人の頭に少し触れ、ボスナーのプレー精度を狂わせる。胸に触ったボールはゴールネットの中へ。オウンゴールだ。
広島が流れの中で「2点差」をつけたのは、5月14日の対横浜FM戦以来13試合ぶり。先制しても追いつかれて逆転を許した広島にとっては、「宿願」といっていい追加点が生まれた。先制しても決して腰を引かず攻撃的な姿勢を貫いたチームとしての意思と、左サイドで運動量を発揮し高精度クロスを連発した33歳のベテランの存在があればこそ、試合の趨勢を決める「2点差」を達成できたのだ。
服部の勢いを抑えるべく、清水の指揮官=ゴトビ監督はCBに岩下敬輔を投入、平岡康裕を右サイドバックにスライドさせる。同時に「君たちにはプロのプライドがあるだろう!」と檄を飛ばし、反撃の機運を盛り上げた。
その熱情が結実しそうなシーンもあった。51分、ペナルティエリアの中でボールを奪った高木俊幸からのパスを小野伸二が受け、鋭い反転でマークを外した。この試合初の、ビッグチャンスだ。だがシュートの瞬間、西川周作が猛烈なスピードで間合いを詰め、決定的なシュートを弾き飛ばしたのだ。
もしこの時間帯で清水にゴールが生まれれば、「試合はどうなったか、わからなかったはずだ」(ゴトビ監督)。しかし、勝負に「たら、れば」はない。現実は、清水にとって厳しい方向へと動いていく。特にオレンジの指揮官にとっての誤算は、後半も服部の輝きを抑えられなかったことだ。
63分、高萩とのホットラインから佐藤寿人の決定的なシュートを演出した紫の17番は、70分には森脇良太が後ろから飛び込んでくる献身を見逃さず、そこに決定的なクロスを供給。動きがほとんど衰えない服部の前に、平岡はほとんど攻撃に参加できず、右ウイングの大前元紀も守備に追われた。
86分、広島のカウンター。中央にポジションをとった服部から李忠成に絶妙の縦パスが通った。身体を寄せて反転を防ぐ清水守備陣。しかし李は落ち着いて左にパス。そこにいたのは、オフサイドギリギリに飛び出したムジリだ。一瞬のタメをつくってGKのタイミングをずらし、ゆったりと流し込む心憎いシュートで3点目をゲット。さらにアディショナルタイム、またも高萩→服部のラインからビッグチャンスを創造して李が得点王ランクトップに並ぶ9点目を決めた。
今季初の4点差をつけた完封劇で、広島はここまでの閉塞感を一掃。一方の清水は、完敗の上に岩下が2枚の警告を受けて退場する付録付きの惨敗で、広島まで応援に駆けつけたサポーターを落胆させた。「みんな疲れていた」とゴトビ監督が指摘したように、選手たちの動きは確かに重い。2試合連続の0−4という大敗という負の連鎖を断ち切るには、まず体調を取り戻すことが最優先だろう。
90分間、攻守にわたってサイドを支配した服部公太の活躍だけでなく、佐藤・李・高萩のコンビネーションも復活、中盤の支配率が高まったことも、広島には大きな収穫。ただ佐藤寿人は「これを続けないと。次も勝って波に乗る」と言い放つ。その想いは、屈辱にまみれた1ヶ月を過ごした選手・サポーター、共通の感情だろう。
■この試合のHOT BALLER:服部公太(広島)
以上
2011.07.31 Reported by 中野和也















