8月24日(水) 2011 J1リーグ戦 第23節
浦和 1 - 1 広島 (19:04/埼玉/27,947人)
得点者:54' 原口元気(浦和)、58' 李忠成(広島)
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「サッカーの神様が我々を見て、ラッキーを少しだけ与えてくれればとたびたび思う」。1−1の引き分けに終わった試合後、広島のペトロヴィッチ監督は肩を落としていたが、そう嘆くのも無理はない。試合の内容を考えれば広島は勝利にふさわしいサッカーをし、浦和は引き分けで御の字というパフォーマンスだった。浦和のペトロヴィッチ監督が「内容を見れば納得のいく結果」と言っていることからも、どちらのチームが優勢だったか窺える。
広島は前半から試合を支配していた。後方から丁寧にビルドアップし、ボランチとシャドー、両ワイドがリズミカルに絡んで小気味良くパスを紡いでいく。出し手はゼロコンマ何秒後には選手の足元に入ると確信したパスをスペースに出し、そのイメージを共有する受け手はタイミングよくスペースに顔を出してパスを受ける。止まっている選手の足元ではなく動いている選手の足元へ——その究極がバルセロナのパス回し——ボールをつなぎ、優位に試合を進めていった。
ただ、そういう展開になるのは当然の帰結でもあった。この試合、浦和は広島対策として柏木陽介、山田暢久の両ボランチが広島の2シャドー、高萩洋次郎と森崎浩司をマンマークしていた。一方の広島は「相手がマークについてくることはわかっていたので、できるだけ動き回って、スペースをあけて、みんなで崩すという感じでやっていた」と高萩が語ったように、2シャドーが動き回って浦和のDFラインの辺りまで頻繁に飛び込んだ。するとどうなるかと言えば、当然2シャドーをマンツーマンで見ているボランチ2枚はその動きに合わせて下がらざるを得ない。4バックは相手の両ウィングバックと1トップを見ているので、形としてはシャドー1枚がDFラインの高さまでアタックすれば5バック、2枚が行けば6バックになる。
これで中盤の真ん中にポッカリと穴が空き、残っているのは浦和の選手が4人、広島は5人。ただでさえ広島のバックラインと両ボランチは厳しいプレスを受けてもボールを回すことに長けているのに、数的優位の状況が確保されている。浦和が相手のミスを除けば高い位置でボールを取れる可能性は低く、広島は中島浩司や森崎和幸が起点になる得意のつなぎでボールを運び、空いている中盤のスペースにいろんな選手が顔を出して攻撃を組み立てていった。
浦和は守勢を強いられる時間が長く、広島ほどパスワークに長けているわけでもないのでボールをうまく運び出すこともなかなかできなかった。かくして浦和は広島に試合を支配される展開を強いられることになったわけだが、一方でその流れは想定内と言えば想定内ではあった。
「シャドーにマンツーマンでついて、後ろは引いて、前は4人で攻めるというのがあったので、監督のやりたいことはやれていたと思う。今日は前にいくというよりも、後ろにいくという話だったし、攻めている時も相手の前の選手を6人で見て潰すという形だった」(山田直輝)
この試合、浦和のペトロヴィッチ監督は自分たちが主導権を握ることよりも、広島の攻撃を抑えることに力点を置いていた。「ボランチがほとんどマンツー気味で、陽介とヤマさんをつけて、6バック気味になってもいいと言われていた」「あれはあれで守れていた。戦術なので問題はなかった」と永田充も語っている。
これまでたびたび「Jリーグは守備的なチームが多いが、我々は攻撃的なサッカーをする」と語っていた指揮官にとっては苦渋の決断だったかもしれないが、甲府戦で見せた守備対応の拙さ、広島との成熟度の差を受け入れた上での現実的な選択だったのだろう。
浦和は広島に何度かチャンスを作られながらも前半をゼロでしのぐことができた。そして54分には原口元気がこぼれ球を拾い、得意の左45度から右足を一閃して先制点をマーク。浦和はこれ以上は望めないという形でリードを奪い、前半無失点で後半勝負の勝ちパターンにもっていった。
だが、その喜びも長くは続かなかった。浦和は得点からわずか4分後に失点する。森崎和幸のロングフィードからミキッチがクロス、途中出場の李忠成がマーカーの山田暢久をかわしてヘッド。見事と言うほかない鮮やかな攻撃で広島が同点に追いついた。
そして試合を振り出しに戻した広島ベンチは動きを見せる。佐藤寿人に代えてムジリを投入。意外性に富む背番号10をシャドーの位置に送り出し、李を1トップに置いて逆転を狙いにいった。ただ、結果から言えば、この采配は奏功しなかった。ムジリは監督からすれば非常に使い方の難しい選手だ。ボールを持てばスーパープレーも期待できるが、ボールがなければ重荷になることもある。「フランサ(横浜FC)のような選手」と言えばイメージしやすいかもしれない。攻撃でプラスが出る代わりに、守備でマイナスを背負う諸刃の剣だ。
実際、この試合でも負の面が顔を覗かせた。守備時に相手選手をしっかりとケアしなかったことで結果的に後方の味方に負担をかけ、決定機を作られたシーンがあった。その直後、李がシャドーの位置に下がり、ムジリは守備の負担がほとんどない1トップに入った。李に話を聞くと、このポジションチェンジは監督の指示だったという。攻撃面ではさすがと思わせるプレーも見せたが、回数は多くなかった。試合終盤こそ何度か惜しいチャンスを作ったが、ムジリ投入による好転を感じさせるほどのインパクトはなかった。ただ、ベンチには他に攻撃のカードはなく、ペトロヴィッチ監督が交代の理由を「連戦による疲労を考慮した」と語っていたことを考えると、あれが今できる最善の策だったのであろう。
試合は1−1の引き分けに終わった。「最低限の結果は取れた」とは田中達也の弁だが、試合内容から見れば浦和が勝点1を獲得できたのは上々の結果と言っていいだろう。かつて日本代表を率いたフィリップ・トルシエ監督はサンドニの惨敗を受け、次のスペイン戦では極端な守備的戦術を敷いて守備の再構築を図った。甲府戦で守備の破綻が見られた浦和が、広島戦の守備的な戦い方を受けてどう変わっていくのか。今後どうやって戦っていくのか整理しておく必要があるだろう。
以上
2011.08.25 Reported by 神谷正明
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