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【J1:第24節 広島 vs 新潟】プレビュー:広島で暮らす被災地の方々を招待する特別な試合。「被災者の家族」高萩洋次郎にとってもまた、特別な試合。(11.08.27)

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8月27日(土)J1 第24節 広島 vs 新潟(19:00KICK OFF/広島ビチケット販売はこちらリアルタイムスコアボード
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全ての人の人生において、逆風は必ず存在する。その逆風に耐え、悔しさ、歯痒さ、辛さを跳ね返した時、人は初めて心からの満足を得られる。逆風との戦いこそ、人生そのものと言っていい。
しかし巨大すぎる逆風に見舞われた時、人はそれでも、闘う気力を生み出せるものなのだろうか。3月11日、東日本大震災。巨大な地震、そして津波。誰も予測しえない大災害は、数えきれないほどたくさんの犠牲者を生み出した。家を潰され、街が崩壊し、瓦礫が積み重なった故郷の街。そんな荒涼たる風景を見て、明日の暮らしすらどうなるか不安ばかりの時間。そんな逆風をバネにできるほど、人間は強くない。

高萩洋次郎の家族もまた、被災者だ。4月上旬、福島県いわき市の「自宅」を訪れた彼は、その場所にただ、立ち尽くすしかなかった。
「ショックを通り越した。本当に真っ白。何を探していいか、何を見つければいいのか。わからない。何もできない」
高萩が生まれ育ったその家は1階が吹き飛ばされ、庭もなくなり、隣の家が自分の家に突っ込み、冷蔵庫は逆さまになって、裏側には車が突き刺さっていた。家はあるのに、ガラスはない。ピアノも流されたのに、その上に置いてあった写真は残っている。そこに何が起きていたのか、高萩はその状況を把握することが、できなかった。絶望だけが、彼を包んだ。

その時、高萩を突き動かしたのは、「おまえが頑張る姿を見られるよう、俺たちも頑張るわ」という故郷の仲間たちの言葉。「みんなが苦しんでいるのに、サッカーをやっていていいのか」という疑問を振り払い、ピッチに立ち続けることができた源泉は、想像を絶する逆風と闘っている人たちの励ましだった。
「全ての練習も試合も、被災地のために」と掲げた。「ゴールに絡めばメディアに取り上げられる。福島出身の高萩が頑張っていることを伝えられる」と、結果にこだわった。当初はその気持ちが空回りしてしまったが、夏場に来て持ち前の創造性が強い気持ちとリンクし、決定的なプレーができるようになった。それでも、彼は考える。
もっと、何かできるのでは。現地に行けない僕らができることが、きっとあるのでは。

仙台で10年間、青春時代を過ごした中島浩司と共に、高萩は模索した。その気持ちを結実させたのが「東北人魂広島プロジェクト」。広島で避難生活を送っている被災者の方々に、自分たちのプレーを見てもらおう。楽しんでもらおう。そこから、始めよう。

試合招待のための予算づくりのために販売したTシャツは、ほとんど広告を打てなかったにも関わらず、4000枚以上の予約が殺到。想定の4倍以上の反響に、高萩も中島も気持ちを引き締めた。「とにかく勝ちたい。いい試合がしたい。そこから、何かを感じてくれれば」。決意を強くした。

明日、広島ビッグアーチで行われる広島対新潟戦には「東北人魂広島プロジェクト」が招待した被災者の方々が、やってくる。このプロジェクトが始動した時、高萩と中島は皆さんの下を訪れ、「ぜひ、試合に来てください」と呼びかけた。その時、思いもかけない言葉が、二人に投げかけられる。

「頑張ってください」

励ましたいのに、逆に励まされた。これ以上ない人生の逆風を浴びた人たちが示してくれた強さが、二人に勇気を与えた。この日以降、二人のコンディションは右肩上がりの曲線を描いている。

8月以降の新潟は1勝1分2敗という戦績。決して好調とは言えない。ミシェウ、アンデルソン、ブルーノ ロペス、チョ ヨンチョルとそろった攻撃陣は間違いなく能力を持っているが、それが勝利へとつながってこない歯痒さはある。とはいえ、ビッグスワンでの対戦では終了間際に佐藤寿人の決勝点を叩き込まれて惜敗した悔しさを、新潟は忘れてはいまい。その執念を弾き返すのは、広島にとっては並大抵のことではない。

だが、わずかに残るACL出場権獲得の可能性を追うためには、大型連勝が必要となる。「この連戦と長期遠征もあり、選手たちの身体はボロボロ。頭もかなり疲れている。誰が新潟戦のピッチに立てるか、わからない」とペトロヴィッチ監督は嘆くほどのチーム状態だが「歯を食いしばってやり抜くしかない」という森崎和幸の言葉こそ、選手たちの気概だ。

この3試合で得点1とゴール欠乏症に陥ってはいるが、チャンスは創造できている。あとは決めるだけだ。決めて、勝って、被災地の方々に喜んでいただくだけだ。それが、高萩と中島、二人の純情に仲間たちが応えられる唯一にして最高の友情の証である。

以上

2011.08.26 Reported by 中野和也
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