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【J1:第23節 川崎F vs 名古屋】レポート:退場者を出した川崎Fはリードを守れず、首位戦線で戦う名古屋に敗戦。川崎Fの6連敗はチームワースト記録を更新(11.08.25)

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8月24日(水) 2011 J1リーグ戦 第23節
川崎F 1 - 2 名古屋 (19:03/等々力/19,754人)
得点者:66' 楠神順平(川崎F)、75' ケネディ(名古屋)、78' ケネディ(名古屋)
スカパー!再放送 Ch183 8/25(木)後11:00〜
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会見で述べた相馬直樹監督の判定に関する考え方に100%同意するところである。すなわち「ゲームの流れが変わったジャッジがありましたが、サッカーにおいてはそれも含んでのサッカーだと思っています。長くサッカーに携わってきたものですから、そう思っています。ですからこのチームを率いてからは一度もジャッジのせいに、前節の件についても選手にもするなと言って参りました」というもの。

サッカーの特徴を言い表す言葉の中に「ミスのスポーツ」というものがある。これはサッカーが、手とは違い、自由にコントロールすることのできない足を使うスポーツである事を端的に示している。ミスが起きることを前提にしたスポーツであるという共通した認識があり、だからこそ、ミスジャッジに対しても寛容にさせる土壌が一定の水準であるのだろう。少なくはない監督がミスジャッジ、もしくはチームにとって不利に見える判定を受け入れて、判定は長い目で見れば結局はイーブンなのだとの言い方をする場面を何度も見てきた。だから、相馬監督のジャッジに対する見解もよく理解できた。

ただ、そんな相馬監督をして「ですが、さすがになんと選手に声をかけてあげていいのか、正直、わからない結果になったと思っています」と言わしめてしまった。それくらいに川崎Fの現状は厳しいと言えるのかもしれない。前節の敗戦により更新した連敗のチームワースト記録をさらに1つ増やした試合結果を受ければ、それは致し方ない事なのだろうと思う。
だから相馬監督は主審を批判することで、その敗戦の理由を説明することも可能だった。しかし、彼はそうすることをしなかった。相馬監督は上記の言葉に続き「その中でも戦わなければならないですし、ドロー、勝ちというものに持って行きたかったんですが、選手たちは最後までよく戦ってくれたと思っています」と、改めてあらゆるジャッジを受け入れる考えを表明し、最後まで勝点3を目指した選手たちをねぎらった。

不利に見える判定を受け入れ、この敗戦の理由を75分の田中裕介の、手を使った得点機会阻止とされる一発レッドカードとそれによるPKでの同点ゴールに求めないのであれば、どこに視点を置くべきなのか。おそらくそれは、71分にピッチに立った名古屋の2選手への対応になるべきなのだろうと考える。

川崎Fは、66分に楠神順平が相手選手をひとりかわし、先制ゴールを決める。動いた試合に対応すべく、名古屋のストイコビッチ監督はこの失点の5分後に永井謙佑と藤本淳吾の2選手を同時に投入する。そしてこの交代采配が、この試合にさらなる変化をもたらした。

田中裕介の、レッドカードであると判定されたプレーに関しては、その前段階で永井にサイドを突破されている。この日がプロ入り後初先発となった田中雄大は、それまでにも守備に軸足を置きつつピッチを駆け回っており、フレッシュな永井との1対1に持ち込まれる事はできるだけ避けねばならなかった。そしてもしそうなったとしても、サイドを突破された後の事を想定した対応が必要だった。つまり、田中雄大に競り勝った永井からのクロスに反応したケネディへの守備もそう。また、もし仮にケネディにボールを触らせたとしても、そのケネディからのラストパスをシュートしたブルザノビッチをケアする必要があった。そこまで遡って判断すると、やはりPKの判定を下される前に対応のしようはあったのだろうと思う。

同点に追いつかれた後の78分に、ケネディが逆転ゴールを叩き込むが、このクロスを上げたのが藤本だったという点も示唆的である。10人という難しい状況ではあったが、藤本がボランチのポジションから動き出し、サイドのエリアでボールをもらうという場面は十分に想定できた。そしてその藤本をケアすべき右サイドバックの田中裕介が退場していたということが、川崎Fの対応を後手に回らせたという考え方は可能である。ただ、それにしても、サッカーはいつどこで誰がどんな理由でピッチを後にするかわからないスポーツである。刻々と変化する状況を、ピッチ上で臨機応変に対応するということが必要だったのだろうと思う。全てのジャッジを受け入れるのだという前提に立てば、という事になるが。

いずれにしても、苦戦した前半を0−0で乗り切り、先発での起用に応えた楠神の先制ゴールによって川崎Fは試合を有利に進めていた。相手がそれまでと同じ戦い方をしているのであれば、川崎Fは同じペースで戦えばいいだけのこと。しかし試合には相手がいて、そして実際にストイコビッチ監督は「0−1(というスコアの変化)が私の背を押してくれた」と藤本と永井の交代を説明している。相手が動いたときにどう反応すべきなのか、それをピッチ上で即座に完結できなかった川崎Fに改善の余地があるとも言えるのである。

もちろん、川崎Fはけが人の続発により、メンバーを固定して戦えていないという事情があった。今の苦境がそこに端を発するのであれば、そしてケガが癒えるまでの時間に差がある以上、今あるこの状況を受け入れて乗り切るしかない。誰に不満をぶちまけても、結果を悔やんでも、過ぎ去った時間を取り戻すことはできない。今ある現実を受け入れて、その苦境を乗り切るところに意識を集中させるしかない。チームワーストの6連敗を喫した川崎Fが問われているのは、それを乗り切る力強さを取り戻せるのかという点にある。チームの軸にブレはない。信じる道を突き進むしかない。

苦手の敵地・等々力でチームを勝利に導いた名古屋のストイコビッチ監督は、この勝ち星がよほどうれしかったのだろう。試合後の会見の冒頭で「今日は初めて等々力で勝ちました。ホントにうれしいです」との言葉を日本語で述べている。もちろん、相性の悪いスタジアムでの勝利に対する喜びと共に、それをもたらしたのが自身の交代采配だったことも自覚しているのだろう。いずれにしても、仙台戦の敗戦を払拭する逆転勝利は名古屋に自信をもたらすはず。そして優勝を狙う名古屋には油断もなさそうである。逆転ゴールをアシストした藤本は試合後に「残り10数試合、優勝するには全部勝つくらいの気持ちでいかないと。強いメンタルを出していきたい」と気を引き締めていた。中位でのシーズンが長く続き、中位力などといったありがたくないニックネームまでもらった名古屋は、昨季の優勝でそのメンタルを一新したようだ。勝者のメンタリティによって引き寄せた勝利をバネに、ここからまた快進撃が続くのかもしれない。

そのプレーが何であるかの議論はさておき、ひとつのプレーをきっかけに大きく動いた試合を見ていて、改めてサッカーの奥深さを感じざるを得なかった。

以上


2011.08.25 Reported by 江藤高志
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