スカパー!生中継 Ch183 後05:50〜
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元プロ野球の大選手にして、監督としても数多のタイトルを獲得した野村克也氏の名言にこういうものがある。「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」。野球とサッカーを一色単に考えることはできないが、それでも野村氏の言葉はあらゆる勝負事に当てはまるものと考えていいだろう。
前節G大阪と対戦した柏は、途中まで0−0の拮抗した勝負を繰り広げながら、味方のブロックによって相手のシュートが不規則な変化を起こし、そのままゴールへと吸い込まれ失点を喫した。その事象だけを抽出すれば、確かに“不運”だった面はある。だが前述の野村氏の言葉からすれば、敗戦には“不運”以外にもそれなりの理由がある。最近の柏は失点後に焦りのせいかバタつく傾向にある、あるいはガクッとメンタルが落ち、さらにそのトーンダウンしたところを相手に突かれ、失点を重ねる。前節のG大阪戦の敗戦だけでなく、第21節の磐田戦での大敗はその傾向が顕著だった。
チームの精神的支柱である北嶋秀朗、後方からチームを鼓舞する菅野孝憲、この2人を怪我で欠く中、とにかく柏に問われるのは何事にも屈しない強いメンタリティーを持ち続けられるかにある。栗澤僚一は「どれだけ強い気持ちを持って戦えるか。球際もセカンドボールの争いも、結局はその部分が大事になる」と常日頃から話している。もちろん失点しないに越したことはないが、仮に先制を許したとしても必ずチャンスは訪れる。だからこそ失点後もぶれずに戦う姿勢を貫きたい。
対する川崎Fは前節名古屋に敗れて6連敗と、苦しい状況下にある。楠神順平が先制直後に負傷し、その後追い打ちをかけるように田中裕介が退場となって1人少ない戦いを強いられるなど“不運”にも見舞われた。だが、連敗中という事実が生じさせる自信の喪失から「相手を怖がるところが少しあった」と相馬直樹監督が語った通り、柏同様メンタルの部分が試合の行方に影響を及ぼした感は否めない。
ただし、5月15日の第11節・鹿島戦から、6月25日の第18節・鹿島戦までの間、川崎Fは「8戦負けなし」という驚愕の成績を残している。柏との前回対戦においても矢島卓郎の圧倒的なフィジカル、山瀬功治のドリブル突破、小林悠のゴールへの嗅覚といった選手たちの高い能力が炸裂し、前半のうちに2点を奪った。しかも前回対戦時に欠場した中村憲剛が、今回は中盤で川崎Fの攻撃を掌る。怪我人が多い点は気になる部分でもあるが、それでも高いクオリティーを持った選手が多く、戦術的に見てもリーグ屈指の実力を持つチームだけに、6連敗中とはいえ絶対に侮ってはいけない。
このところメンタル面で波を感じさせる両者、したがって今回の一戦は通常の試合以上に先制点が大きな意味合いを持つことになるが、戦術的な部分ではサイドでの攻防に鍵があると思われる。例えば前回対戦では、柏の中盤ボックス型の脇に生じるスペースを山瀬や登里享平が有効に使い、決勝点となるPKへつながった場面も左サイドから小宮山尊信とジュニーニョが起点を作ったもの。柏も途中からレアンドロ ドミンゲスとジョルジ ワグネルをワイドに開かせ、右サイドバック酒井宏樹のアーリークロスが後半の2ゴールへ直結した。これらを踏まえ、やはりサイドのせめぎ合いは見どころのひとつだろう。
柏は田中順也が復帰し、今節はスタメンの可能性が出てきた。G大阪戦では遠藤保仁とのマッチアップで好プレーを見せた茨田陽生も、今度は中村憲剛との対峙を「楽しみにしています。良いプレーはどんどん吸収したい」と、まるでサッカー少年のように目を輝かせて日本代表MFとの対戦を心待ちにしている。
首位・G大阪との勝点差は3。柏が優勝争いに食らい付いていくためには、この夏場のように勝ちと負けと交互に繰り返すのではなく、今後どれだけ無敗を続けて勝点を積み重ねていけるかにある。6連敗中とはいえ、不気味なオーラを放つ川崎Fを相手に白星を挙げ、再び上昇気流へ乗りたい。
以上
2011.08.27 Reported by 鈴木潤













