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【J2:第4節 京都 vs 愛媛】レポート:粘る愛媛を崩しきれなかった京都。だが、次へ繋がるポイントが幾つも見つかる内容でもあった。(11.09.02)

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9月1日(木) 2011 J2リーグ戦 第4節
京都 0 - 0 愛媛 (19:04/西京極/2,386人)
スカパー!再放送 Ch185 9/2(金)後00:00〜
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台風の心配もされた、西京極での第4節は互いに決め切れずスコアレスドローとなった。攻める京都、守る愛媛という展開ながらシュートが少ないゲームとなり、京都にとっては無得点と重ねて指摘されても仕方のない部分となった。

試合は開始早々から京都が仕掛けた。前半6分に右サイド・伊藤優汰の突破から宮吉拓実が中央で合わせ決定機を演出し、攻撃姿勢に期待を持たせた。
前半20分に、チョン ウヨンが金信泳との接触プレーで負傷退場、代わって内藤洋平が入り、安藤淳がアンカーの位置につき、試合は進んでいく。38分には安藤から左の内藤とつなぎ、走り出す宮吉に合わせるシーンを作る。

後半8分、愛媛は金信泳、石井謙伍に代えて、福田健二、ジョジマールを投入。齋藤学が左サイドにはいり、前からのプレスとそこからの速攻を強く意識する。
しかし、直後の後半10分、右サイドの伊藤のクロスに久保裕也がダイレクトボレーを放つ。ポスト直撃となったが、今節、一番の見せ場となった。その後も京都は後半24分にドゥトラを、さらに終了間際に、移籍後初出場となる工藤浩平を投入し得点を狙いに行くが結局、無得点、無失点のままタイムアップとなった。

試合後の会見で、特に前半の消極的なプレーを嘆いた愛媛のバルバリッチ監督。それほど、京都がゲームを支配した印象の強いゲームとなった。それで無得点なのだから、引き分けとはいえ指摘されても仕方のないところ。

だが、内容については、大木武監督が試合後「やっていることがだんだん浸透してくる感じがします」と語った通り、目を見張る場面、非常に興味深い点に溢れていた。
まず、ゲーム運びはより京都らしさというのが出ていたのではないか。パスをつないで愛媛を押し込んだが、プレーと思考が止まらなかった。京都はパスをつなぎながらゲームを考えて行くが、これがより機能していた感があった。
例えば、G大阪では遠藤保仁がチームの頭脳となって、周りの良さを引き出す試合運びをみせる。頭脳の遠藤、手足の他の選手、という印象さえ感じる。これで素晴らしい攻撃を紡ぐが、京都は特定の頭脳という印象が薄い。全員が脳細胞みたいな感じで、それがパスで繋がり合い一つの頭脳となるイメージだ。頭脳からのアイデアが出る、というよりも誰かが強い信号を発し、それが瞬時に攻撃陣に伝わっていく感じである。そのため、パスを出しあい、動きあうプレーが肝要になるが、非常によく出来ていたのではないか。

それに合わせ、特筆すべきは前半38分の内藤から宮吉につないだシーン。サイドへ送って愛媛ディフェンスの重心を揺らし、サイドの内藤が中央を走り抜ける宮吉を見逃さずやや長めのパスを送った。チームとしてサイドを攻略し、相手ディフェンスの隙を作り、その隙を見出だした個人の走り出し、そして、それを見逃さなかったパス出し。それが重なりエリア内の侵入を実現させた。非常に狭く厳しいスペースだったが、宮吉が決めていればというシーンだった。こうした、選手が信号を出し、それを感じ取るというシーンが増えれば良いのだろう。
宮吉が徐々に自分のプレーを出し始めている点も見逃せない。走ろうとするところにボールが入る様になってきた。これは宮吉が、というよりも、周りの選手が彼のプレーを理解してきた様に感じる。今節、フル出場を果たしたが、それまで足がつる試合もあった。これは守備への貢献度が高いことが要因だろうが、その負担が少し減っていた様にも観え、これもチームの改善点だろうと感じさせた。

伊藤優汰、宮吉拓実、久保裕也。前線の3人にボールが入る回数は多かったはず。シュートには結び付けられなかったが、これは大きい。そこからどうするか。本当に、色々アイデアは出て来るだろう。シンプルに個で勝負しても良いだろうし、大木監督が会見でコメントした様に、縦パスのサポートを増やす、また、後ろから走り抜けるのも良いだろう。可能性は大いにある。後は、どういうプレーがしたいのか、仲間同士で信号を出し合い、プレーをつなぎ合うことなのだろう。

最後に、今節、無失点で終わらせたのは非常に収穫だと感じている。こういう攻めきれない試合では失点を受けることもよくある。札幌戦、またはアウェイの鳥栖戦もそうだろう。この「ポコっと失点」というのを防いだのは非常に大事なことではないか。ディフェンスの集中やゲーム運びなど複数の要因が絡まっての結果だが、評価されても良いはずだ。
この守備ができたから次は攻撃、というものではなく、守備も攻撃も相まって高まっていく、大木監督のサッカーはそういうサッカーの様に感じる。11人、だけではなく、チーム全員が意識を高めれば、ここから成長曲線をさらに上げることもできるはず。大いに楽しみに出来る。今節のゲームはそんな「高いジャンプの前の屈み」にも似た試合だったのではないか。

以上

2011.09.02 Reported by 武田賢宗
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