10月8日(土) 第91回天皇杯 2回戦
栃木 2 - 1 ホンダロック (13:00/栃木グ/1,444人)
得点者:18' 崔 根植(栃木)、60' 前田 悠佑(ロック)、70' 河原 和寿(栃木)
★第91回天皇杯特集
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ホンダロックに2005年の天皇杯で敗れた借りを、栃木SCはきっちり返した。
リベンジに成功したとはいえ、2−1というスコアが示す通り、薄氷を踏む勝利だった。一歩間違えば、相手に金星を献上しかねないほど内容には乏しかった。それでも、勝ち切ったことは小さくない。今の栃木には萎れそうな花が養分を欲するように、どん底から蘇生するために勝利が絶対的に必要だったからだ。高木和正は勝利の意義を、こう話した。
「内容はあまりいいとは言えないけど、今の栃木は勝つことに意味がある。リーグ戦に弾みが付けられると思う」
リーグ戦7戦未勝利。どうしても掴みきれなかった勝利を、カテゴリーが下のホンダロックが相手とはいえ掴んだ。その事実は、失いかけていた自信を取り戻すのに十分な材料となるはずだ。
「なかなか手強い相手だった」という松田浩監督の言葉通り、JFL2位で天皇杯のシード権を獲得したホンダロックは難敵だった。ロングボールに頼り、自陣に引きこもってカウンターチャンスに懸けるのではなく、繋ぐべきところは繋いだ。中盤がダイヤモンド型の4−4−2の特性を活かし、トップ下はバイタルエリアに果敢に侵入した。確立された自分達のサッカーを序盤からピッチで表現したのはホンダロックだったが、先制したのは栃木だった。GK武田博行からのフィードをリカルド・ロボが競り、そのルーズボールに反応した崔根植がGKをひらりとかわしてゴール。「練習からやっていた形が出せた」と崔。スカウティング通り、相手の高いDFラインの裏を巧みに突いた先制弾だった。
一気にケリを付けたかった栃木は、先制後にも水沼宏太のフィードに崔が抜け出した。だが、冷静さを欠いてシュートは枠外へ。絶好機を逸すると、序盤から散見された球際の緩さに加え、安易なミスパスも重なってリズムを失う。先制したにもかかわらず主導権を握り切れない課題を残してしまった。
前半を1−0でリードして折り返した栃木だが、後半7分にリカルド・ロボの強烈なミドルシュートがポストに嫌われると、サポーターが奏でる軽快な「ホンダ・ホンダ・ロック」のリズムに乗ったホンダロックに同点とされる。左サイドからのクロスをファーサイドで前田悠佑がヘディングシュート。「ワイドに幅を使うこと」をハーフタイムに指示した城和憲監督の采配が見事にハマった。
連敗を喫していた時と同様、ワンチャンスをものにされた栃木。不穏な空気が漂い始めた中、交代出場の河原和寿が松田監督の期待に応えた。失点のお返しとばかりに、入江利和が上げた左からのアーリークロスを頭で叩き込んだ。クロス、ポジショニング、シュートと、いずれも完璧だった。河原の気持ちのこもったゴールで勝ち越した栃木は、アディショナルタイムに肝を冷やすようなシーンを作られたが耐え凌ぎ、3回戦へと駒を進めた。
「(次の試合も)出場時間をもらえたら結果を出したい。チームを勝利に導くことが僕の仕事なので」
ヒーローはようやく自らの責務を果たせたことに安堵の表情を浮かべた。ゴール裏から降り注ぐ「河原コール」に、いつものようにありったけの感謝の思いを込めて深々とお辞儀で応えた河原。あまり収穫がなかった試合で、河原に5月以来のゴールが生まれたことは、J2リーグ戦に戻って戦う次節・湘南戦(10/15@栃木グ)に向けて抱ける確かな希望だ。
昇格に向けた補強リストの最上位にランクされ、13ゴールを挙げた一昨年以上の活躍が期待された今季。思うようなプレーができずに苦悩の日々が続いた河原。シーズン終盤での2ゴール目は、自らが目標にしていたヘディングで決めた。ひとつ目標をクリアしたことで一皮むけたはずだ。
J1への昇格圏内となる3位・鳥栖との勝点差は7。残り10試合で逆転昇格を果たすには起爆剤が必要不可欠だ。河原のポテンシャルを持ってすれば救世主となりえる。団結力を持って戦えることは十分に証明されている。あとは個の力で他チームとの違いを作り出すしかない。河原にはゴールを最優先に考え、思う存分突き抜けてほしい。一度は栃木のエースとして君臨した男だ。できないはずがない。
以上
2011.10.09 Reported by 大塚秀毅
J’s GOALニュース
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