10月9日(日) 2011 ヤマザキナビスコカップ 準決勝
名古屋 1 - 2 鹿島 (13:00/瑞穂陸/8,562人)
得点者:10' 大迫勇也(鹿島)、80' 田中マルクス闘莉王(名古屋)、107' 柴崎岳(鹿島)
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苦しい試合だった。
開始10分で大迫勇也がゴールを奪った時は、2点、3点と楽に追加点が入りそうな雰囲気があった。それほど名古屋とは内容に差のあるサッカーをピッチ上で見せていたからだ。しかし、打てども、打てども、シュートは楢崎正剛の正面に飛んでしまい、ようやくその牙城を切り崩したかと思えば、ゴールラインに田中マルクス闘莉王が最後の壁として立ちふさがる。そして、追加点を奪えないまま時間が経過し、あと残り時間10分に迫ったところで、その闘莉王に得意のセットプレーからヘディングシュートを決められてしまう。若い選手を次々と投入した名古屋は動きも良く、田代有三の高さを生かそうとしてもセンターバックとボランチで挟み込むため、セカンドボールが拾えない。かといって、こちらのボランチが陣形を崩して前に出ればカウンターを受ける危険度が高まる。そこで、野沢拓也がなんとかしようと田代の近くを衛星のように動き回ったが、落下点にいるのはいつも名古屋の選手たちだった。
延長前半の15分を、ほとんどチャンスをつくれずに終えたときは、いつでも得点が奪えそうなイメージはすでに何試合も前の出来事のように感じられた。
しかし、オリヴェイラ監督は最後のカードを切るチャンスをうかがっていたという。そして、延長前半が終了したと同時に、その決断を下す。
「延長前半は失点をせずにできればと思っていましたが、そこがうまくできたので、残り15分で彼のフレッシュなひらめき、彼が持っている視野の広さ、パスの質を使おうと思いました」
本山雅志がピッチに立つと、状況はガラリと変化した。延長前半、ほとんどボールを保持できなかった鹿島が、再び試合を支配するようになる。そして、107分、1本のパスがゴールを呼び込んだ。
「『動け!』っていうイメージもありましたけど、ほぼ同時だったと思います。あれ以上タメるとオフサイドになったと思います」
ゴールのほぼ正面で右サイドの新井場徹からパスを受けた本山は、トラップした後に、一瞬だけ動きを止めた。そして、「動け!」と念じながらスルーパスを相手DFラインの裏へ通す。その思いが伝わるかどうかは、パスの受け手次第だったが19歳の若武者はそれを見事に感じ取っていた。
「前を向いたときに動き出せばパスは来ると信じていたので」
ゴール前に飛び出したのは柴崎岳。思い切り右足を振り抜くと、それまで神がかり的なセーブを見せていた楢崎正剛の頭上を射貫き、見事な決勝ゴールを叩き込んだ。
ゴールを決めた柴崎も冷静な判断が光ったが、ひとつのパスだけで状況をガラリと変えてしまう本山のセンスが素晴らしい。柴崎も「もう少し経てばスルーパスが来るかなとは思ってたんですけど、あのタイミングでまさか来るとは思ってなかった」と驚くパスであり、すでにベンチに下がっていた遠藤康ら味方の選手たちも「あれはモトさんにしか出せないよ」と大絶賛する、圧巻のスルーパスだった。
オリヴェイラ監督も、本山の能力を深く愛し、その燦めきには最大限の賛辞を贈った。
「決勝点というのは、決めたのは柴崎選手かもしれませんが、それを作り出したのは本山選手であって、それができる能力というのは、日本では天下一品、彼が持つ天性の資質ではないかと思います」
球際に強い小笠原満男のボール奪取から、パスを受けた大迫勇也が先制点を奪い、"天下一品"本山雅志のスルーパスから柴崎岳が決勝点を奪う。ヤキモキさせられる時間は長かったが、終わってみれば新旧のタレントが噛み合う理想的な展開で、鹿島が決勝進出を決めた。
以上
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2011.10.10 Reported by 田中滋















