10月16日（日） 2011 J2リーグ戦 第31節
千葉 2 - 3 草津　（16:03／フクアリ／8,902人）
得点者：3' 深井正樹（千葉）、44' 後藤涼（草津）、56' 伊藤大介（千葉）、63' 小林竜樹（草津）、88' 萬代宏樹（草津）
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結果は１点差で草津の勝利。だが、スコアは僅差でも、両チームの試合内容には大きな開きがあった。サイドから仕掛けてクロスから得点機を作るという狙いを徹底し、練習の成果をゴールで見せた草津。一方、千葉もサイドから攻めるが、連動性の不足でフィニッシュまで持ちこめず、ボールは何度もディフェンスラインに戻った。時には苦し紛れのロングボールをＦＷ大島秀夫に入れる攻撃では、草津は「守りやすかった」（ＧＫ北一真）。

それでも、千葉はセットプレーでは強さを発揮した。３分、スローインを得るとＤＦマーク　ミリガンがロングスロー。ボールはＧＫ北の予想よりも遠くファーサイドへ飛び、フリーで北の背後に入った千葉のＦＷ深井正樹が、彼には珍しくヘディングシュートでゴールを奪った。だが、その後は前からのプレスでパスコースを封じにかかる草津に苦戦。14分にはＤＦ渡邊圭二がゴールポスト左横へのシュートを打つが、それは右サイドで突破を図った深井から、ＭＦ佐藤勇人、ＭＦ伊藤大介などが絡んで左サイドへボールが運ばれ、渡邊がドリブル突破から中央寄りに切り込んでシュートを打ったもの。この場面のパスは単なる横へのスライドで、相手の守備を崩すようなアイデアは乏しかった。

試合を通しても、千葉の攻撃には相手の背後のスペースを突くパスや動きの勇気あるチャレンジが少なかった。「３人目の動きがない」（佐藤勇）ため、得点機を作ったとしても個人能力を生かした単発的なものが多く、草津に脅威を与えたり、混乱をもたらしたりはできなかった。追加点の伊藤の直接ＦＫは素晴らしかったし、それ以外の追加点のチャンスには北の好守にも阻まれたものもあったが、草津の守備陣の予想の範囲内が多かった。

草津の選手は盛んに千葉のディフェンスラインの背後を狙った。千葉の守備の目から消える工夫のある動きにはスピードと距離があり、44分にヘディングシュートを決めたＦＷ後藤涼、88分に決勝点となるヘディングシュートを決めたＦＷ萬代宏樹はフリーになっていた。草津の攻撃には共通意識の狙いがあり、練習で連動性を練っているからこそ、ダブルボランチのＭＦの松下裕樹と熊林親吾のサイドチェンジのパスも面白いように通った。

また、草津の運動量の多さは守備でも目立った。大島にロングボールが入ったあとや中盤での競り合いでこぼれたボールは、出足の鋭い草津の選手が拾うことが多かった。ボールを拾うとすぐに前線の選手は呼応して動き、動いた先にパスが出て、パスがつながる。止まっている選手の足元へのパスが目立ち、終盤になってから疲れが出ている選手には追いつけないようなロングパスを出す千葉とは対照的だった。また、千葉が後半からスピードのあるＭＦ太田圭輔を入れると、戦況に応じて太田の対面の選手２人の交代を行ない、運動量を落とさずに千葉の反撃の芽を積んでいた副島博志監督の采配も見事だった。

ピンチの場面だけでなく、草津のダブルボランチを自由にプレーさせてしまうなど、守備でも運動量が不足した千葉。だが、『動かない』ことで千葉サポーターを最もガッカリさせたのは、逆転された直後かもしれない。失点のショックはあるにしても、自陣のゴールマウスに入ったままのボールを急いで拾ってセンターサークルに持って行く選手がいなかった。同点、そして逆転に持ちこむ時間はまだ残されているのにうなだれて、すぐにファイティングポーズをとらないのは敗戦を受け入れてしまったかのようだ。そういう意味では、２度も先行されながらも最後は逆転した草津に気持ちで負けていたのかもしれない。

千葉の攻守の連動性の無さは練習不足も影響しているだろう。だが、敗因は練習不足や試合への準備を含めた監督の采配だけではない。勝利を欲するがゆえの攻守での惜しみない動きと球際での執念、勇気と工夫のあるチャレンジの動きなくして、勝利は得られない。

以上

2011.10.17 Reported by 赤沼圭子