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震災による日程の変更で今季初対戦となる両チームは、ここ数試合の状況が非常によく似ている。天皇杯では３回戦に駒を進めたが、リーグ戦では９月11日以降は勝利に見放されおり、原因が得点力不足と同じ悩みを抱えている。また、順位は大分が11位で愛媛が13位、勝点差は１と拮抗しているだけに、今節は僅差の勝負となりそうだ。
前節の鳥取戦をスコアレスドローで終えた大分は、いい形で決定機をつくりながらも得点に結びつけていない。「最後の部分はサッカーで一番悩む難しい問題」と田坂和昭監督は頭を抱えているが、「ようやくこの問題に取り組めるようになった」と笑う。というのも、これまで守備や攻撃の組み立ての部分で手一杯といった感があったが、少しずつであるが改善されたこともあり、やっと辿り着けた難局を歓迎しているようにも見えたからだ。
最後の局面は、個の力に頼らざるを得ない部分は大きいが、「得点の確率を上げるために多くのクロスを上げ、多くのシュートを打って、そのなかでクロスに対しての中に入る動きの質などを追求したい」と、まずは攻撃の回数を増やすことが当面の課題となる。
その攻撃の中心と期待されるのが前田俊介である。今節から６試合の出場停止が解けるエースは、心身ともに充実して復帰する。前田は「試合に出られたら足を引っ張らないようにしたい。（出場停止については）反省している。多くの関係者の方からお叱りの言葉と励ましの言葉をもらった。チームの勝利のために、しっかり走りたい」と粛々と話したが、期するものは十分に感じた。ここ数週間は必死に練習する姿が見られ、若い選手に声をかけるなど、これまでにない前田の姿があった。「反省という言い方が適切かどうかわからないが、変わった姿を見せてくれると思う。それが表現できるのは本人だけだし、その自覚はある。コンディションも春より身体がキレている」と田坂監督は期待を寄せている。出場機会を得られるかどうかは定かではないが、得点力不足で低迷するチームの起爆剤になり得るのは確かだ。
一方の愛媛は、今季11得点を挙げている齋藤学がケガで出場が危ういが、前節に今季初ゴールを決めたベテラン福田健二、金信泳といった高さがありわずかなチャンスをものにできるFWがいる。前節の熊本戦の後半のようにサイドバックの前野貴徳が積極的にオーバラップを試み、精度の高いクロスを上げることができれば、得点力不足は解消されそうだ。ただ、前半のようにロングボールを蹴られ、前線で起点をつくられ、ディフェンスラインが下がるようなことになれば、中盤が間延びし、前線が孤立することになる。
大分の出方次第というのはあるが、リトリートして２列のブロックを築きカウンターを狙うのか、積極的にサイドを使って攻撃的なスタイルを貫くのか、そのあたりの選択が勝負を決めそうだ。
以上
2011.10.18 Reported by 柚野真也
