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東日本大震災による延期分が組み込まれたことで、短期間で消化する5連戦の『第4戦』となる7節の延期分、鳥取−熊本戦。9月18日のＪ2第28節ではホームの熊本が2−0、10月10日の天皇杯2回戦では、とりぎんバードスタジアムでの開催で、事実上のホームゲームだった鳥取が3‐0で勝っており、約40日間に今季3回目の対戦を迎える。
鳥取は前節、ホームで札幌に1‐0で勝利を収めた。前半のピンチをしのいで徐々に主導権を握ると、後半もボール支配率で上回って多くのチャンスを作り、78分に先制。終盤の反撃も封じ、Ｊ1昇格争いを繰り広げている相手に痛い黒星をつけた。これまでは、攻勢の時間帯に得点できず、逆に先制されてしまう試合が多かったが、この日はボールポゼッションとスペースへの展開を使い分けるなど、状況に応じた攻めを粘り強く続けて1点を奪い、守備陣も体を張って完封。チームに大きな勢いをもたらす可能性を秘める、これまでになかった形での勝利だった。
熊本も前節は、今後の上昇ムードにつながりそうな勝利をつかんだ。ホームで水戸と対戦し、31分に先制されたものの、終盤の78分にファビオ、84分に根占真伍が決めて逆転勝ち。栃木に0‐1で敗れた前々節を引きずったような、前半の低調な内容には課題を感じさせたものの、苦しみながらも劇的な勝利をつかんだことで、前向きに修正に取り組むことができるだろう。
今回の勝敗を占うにあたっては、過去2回の対戦が参考になる。まずは序盤に先制点が生まれるかどうか。最初の対戦では熊本の大迫希が11分に、2回目の対戦では鳥取のハメドが8分に先制点を決めており、そのまま勝利した。どんな対戦でも同様とはいえ、早い段階で先手を取れれば優位に立つことができる。また、守備陣のミスも2試合の共通点。最初の対戦では、40分の熊本陣内でのパス回しの際、鳥取にパスミスが出て、これを拾ったソン イニョンが2点目を決めた。2回目の対戦では75分に、鳥取陣内での熊本守備陣のミスから、キム ソンミンが2点目を決めており、同様のミスが出た方が苦しい展開を強いられることは間違いない。
鳥取の松田岳夫監督は、熊本を「縦に早く、前線の選手が基点になる。前からプレッシャーに来る。ボールを中心に、シンプルにプレーしてくるチーム」と評し、「ウチは、ボールの近くにいる選手はもちろん、それ以外の選手がどうかかわれるか、というところで対抗していきたい」と語った。攻撃面では、札幌戦で良い形を見せた、ボールポゼッションとスペースへのパスの使い分けなど、相手の出方に応じたプレーを繰り出せるかどうか。守備面では、相手の前線でターゲットとなる長沢駿、あるいはソン イニョンに対し、マイボールのときでも、しっかり準備して対応できるかが問われる。
熊本は天皇杯で敗れた際、高木琢也監督が試合後に「選手の自己判断の下でのプレーが非常にまずかった」と語っている。先制された後は押し気味だったにもかかわらず、あと一歩で得点を奪えなかったが、さらにパワーを持ってゴール前に入るなど、状況を打破するプレーを出せなかったことを指したコメントだった。前節の水戸戦の前半は、球際で競り負けることが多く、同様の状況になると苦しくなる。長沢の高さが前線のポストワークで有効であることは、ある程度想定できるだけに、そこに周囲の選手がより多く、より積極的に絡むことで、勝機を引き寄せることができるか。
鳥取は開幕前に掲げた『9位以内』、熊本はＪ1昇格が、いずれも現実的には厳しくなっているが、ここで勝点3を奪い、少しでも可能性をつなげたいところ。鳥取は中3日でホーム連戦、熊本は中2日でアウェイへの遠征と違いが大きいため、コンディショニングもカギを握りそうだ。
以上
2011.10.25 Reported by 石倉利英
