札幌に雪が降ったというニュースを見るたびに心配している。雪の中で行われるのか、冷たい雨が降るのか。ただ、どんな天候になってもこの試合は今年の国内U-18カテゴリーでクオリティの高い対戦のベスト3に入る一戦となりそうだ。ホームチームはJクラブのユースチームで今年一番の注目チームで、プレミアリーグEASTで首位を走るコンサドーレ札幌U-18。榊翔太、荒野拓馬、前貴之、小山内貴哉、奈良竜樹の5人のトップ昇格が発表されており、札幌育成部門の日々の積み重ねが大きな結果として表れたシーズン。すでに5人ともトップ登録され、天皇杯を含めたトップの試合を全員が経験している。まったく素晴らしい成果だ。J2リーグで札幌の試合後、選手のコメントを取るためにミックスゾーンに行くと高校生の彼らは学生服で現れるが、これが初々しくていい。リーグ戦終盤にCBでレギュラーを確保した奈良は若いだけに新陳代謝がいいのか、シャワーを浴びた後でも汗だくで記者の質問に答える。彼からは物凄く真面目な印象を受ける。ユースでは中盤もサイドバックもこなす前は、今年C大阪からボーフム（ブンデス2部）に移籍した乾貴士を思い出してしまうヤンチャな雰囲気がある野心的な選手。ユースのことを聞くと「みんな頻繁にトップの練習に参加して、その経験をユースに伝えている。去年からレギュラーで出ている選手が多いからコンビネーションもいい。トップを経験しているのでユースの試合では余裕を持ってプレーできるし、見えることも多くなった。Jユースカップはユース最後の大会なのでタイトルを取って終わりたい」と謙遜無しで自信を持って話してくれた。

札幌に乗り込むガンバ大阪ユースは二川孝広（G大阪）、平井将生（G大阪）、稲本潤一（川崎F）、家長昭博（マジョルカ）、宇佐美貴史（バイエルン）ら多くの選手を輩出している育成キング。ただ、近年はユースの監督交代が続き、昨年はプリンスリーグ関西2部で戦うという厳しいシーズンも経験している。プリンスリーグ関西2部はダントツで優勝して今年は1部に返り咲いたが、神戸とのデッドヒートの末に優勝を逃してタイトルには手が届かなかった。最近の関西はC大阪、京都、神戸が育成で成果を出し始めているのでG大阪の優位が揺らぎ始めていると感じている人も少なくないかもしれない。しかし、今年のプリンス関西1部を戦ったある有力高校の監督は「なんだかんだ言ってもG大阪ユースは超一流の選手が揃っている。選手の素材を見れば関西のJクラブの中で比べても一番だと思う。それだけに2年前の2部落ちが不思議」とG大阪が依然優位だと評価している。今年はU-18代表4人、トップに2種登録している選手が久保裕也をはじめ6人もいる京都や日本クラブユースサッカー選手権（U-18）準優勝だった神戸の評判が高いが、G大阪の力が相対的に低下しているわけではないようだ。その理由となる試合はプリンスリーグ関西1部の第13節（9月17日）、神戸対G大阪。第1クールは4−2で敗れたG大阪だが第2クールの対戦は2−1で勝利。Jユースカップの予選リーグIグループ（11月12日）でも神戸にアディショナルタイムのゴールで逆転勝ちしている。最後に意地を見せた形だ。この戦いができれば一つ上のカテゴリー・プレミアリーグEAST首位・札幌が相手でも充分に対抗できるはず。10番を背負う徳永裕大のボール捌きなど個の技術も見たいが、梅津博徳新監督の手腕と選手の意地がどう融合するかが最大の楽しみだ。

J1・J2ともに残り2試合。札幌はJ1昇格に向けて勝つしかない超正念場。石崎信弘監督は昇格予定のユース5人をJユースカップに出場させるのかどうか。水曜日は試合がないし、雪でトップが練習会場の確保に苦労しているのでJユースカップに出場したほうがいいという判断もあるだろう。U-18代表やトップ帯同でトップ昇格の5人が揃う試合がないだけにG大阪戦では5人が揃った試合を見てみたい。

以上

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■2回戦試合予定
11月23日（水・祝）
14：30　清水vs浦和／三保G
11：00　京都vs福岡／東城陽G
14：00　鹿島vs新潟／鹿島G
14：00　C大阪vs大分／JG堺1
15：00　名古屋vs神戸／トヨタS
17：00　柏vs千葉／柏
13：30　広島vs大宮／吉田
13：00　札幌vsG大阪／宮の沢
※全試合入場無料

★2011 Jユースカップ特集ページ

2011.11.22 Reported by 松尾潤