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【2011 Jユースカップ2回戦:京都 vs 福岡】レポート:白熱の好ゲーム。土壇場でのパワーで京都ユースに軍配(11.11.24)

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■2011 Jユースカップ:決勝トーナメント2回戦
11月23日(水・祝)
京都サンガF.C.U-18 3-2 アビスパ福岡U-18
得点者:39'三苫元太(福岡)、45+1'倉富裕也(福岡)、52'原川力(京都)、53'上原大明(京都)、90+1'国領一平(京都)
★2011 Jユースカップ特集ページ
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京都ユースと福岡ユース。対戦成績は2戦で1-0、1-1で京都の1勝1分。プレビューでも書いたように、総合力では京都が上回るが、この両チームの対戦は毎回非常に拮抗したものになる。この試合も同様だった。

「厳しい戦いになることは覚悟していた」
京都・本田将也監督のこの言葉通り、試合は前半から白熱したものとなった。前半の主役は福岡だった。
「相手は個々の能力が高いので、しっかりとブロックを作って、相手のサッカーをやらせないようにした」と財前恵一監督が語ったように、福岡はセンターバック倉富裕也、ボランチ牛之濱容という守備力の高いキーマンを配置し、京都のアタッカー陣のバイタルエリア侵入に蓋をした。
ポゼッションサッカーを得意とする京都は、徐々にバックパスが増え、DFラインでボールを回す時間が長くなる。けが人の影響でボランチから左サイドハーフに入った原川力や、右サイドハーフの上原大明の突破力を生かそうとするが、サイドを攻め込んでも、最後のクロスは福岡守備陣にことごとく弾き返され、チャンスらしいチャンスを作らせてもらえなかった。

開始から30分まではお互いがノーチャンスのがっぷり四つの戦いとなった。30分を過ぎると、徐々に福岡のショートカウンターが効力を発揮し始める。前線にスピードとフィジカルに長けたエースストライカーの三苫元太を置き、三島勇太、川上竜、石井大雅のスリーシャドーが流動的に動きながら、奪ったボールを素早くつないでいく。
「がちがちに守ってカウンターではなく、繋ぎながら崩すイメージ」(財前監督)を共有した福岡の選手たちは、ブロックディフェンスを敷きながらも、DFラインは京都よりも高く、ダブルボランチのビルドアップもスムーズで、中盤を常にコンパクトに保てたからこそ、前述した4人のショートカウンターがうまくはまった。

39分、倉富が左センターバックの中村崇修へパス。中村はドリブルで仕掛けると、DFラインの裏にタイミングよく飛び出した三苫へ絶妙のループパス。これを躊躇したGK杉本大地の隙を突いて、三苫が右足アウトサイドで合わせ、福岡が先制に成功する。これで勢いづいた福岡は、43分に左CKから石井のシュートのこぼれを、三苫がゴール手前2mの位置でシュート。これは左ポストを直撃したが、直後の前半アディショナルタイム、右寄り約25mの位置で得たFKを倉富が無回転シュート。不規則な軌道を描いたブレ球が、ゴール左上隅に突き刺さる。U-18日本代表のGK杉本大地が一歩も動けずに天を仰ぐほどのスーパーシュートが決まり、福岡が前半で2点のリードを奪う。

ここまで、財前監督のゲームプランを選手は完璧にの実行した。しかし、後半、たった2分間の出来事が、試合の行く方を変えてしまった。
後半、京都はボランチの国領一平を前に押し出して、一気に攻め手を強める。これに対しても福岡はうまく対処していたが、52分左サイドでボールを受けたU-18日本代表のMF原川が国領とのワンツーで中に入ると、そのままペナルティーエリア沿いをドリブル。相手DFラインを横断し、右寄りの位置で右足を一閃。ボールはゴール右隅に突き刺さった。
U-18日本代表でも中核を担う原川の圧巻のゴールが決まると、直後の53分、DFラインの裏に落ちた何でもないボールに、190cmの長身FW三根和起が迫る。この迫力にGKがバウンドしたボールの処理を誤った。追いついた三根と競り合い左手で慌てて掻き出すが、こぼれ球はMF上原大明の下へ。上原が思い切り蹴り込んで、京都があっという間に同点に追い付いた。

しかし、京都はここから福岡を切り崩せなかった。ミス絡みで2失点をしたにもかかわらず、福岡の選手たちはすぐに落ち着きを取り戻し、試合は前半と変わらない状況に戻った。京都は2-2にしながらも、前半同様に福岡のバイタルエリアでの強烈なプレスと、三苫を生かした高速アタックに苦しむ。79分、DF増田拓也のスルーパスに三苫が抜け出し、GKと1対1になるが、痛恨のシュートミスでゴールには至らない。

こう着状態のまま迎えた残り5分。この状況から京都がついに底力を見せる。フォーメーションを【4-4-2】から【4-1-4-1】にした京都は、原川、国領、FW田村亮介、上原が容赦なくバイタルエリアになだれ込んで圧力を強める。86分に上原がバー直撃のシュートを放ち、88分には三根がGKと1対1になり、三根のシュートがGKのファインセーブに阻まれたこぼれを田村が狙うが、これは枠の外。これで延長戦かと思われたが、京都の土壇場での執念はすさまじいものがあった。後半アディショナルタイム。右CKを得ると、そこからの展開でDF斉藤隆成が上げたボールを、ファーサイドでU-18日本代表DF高橋祐治が折り返し、最後は国領が地を這うようなシュートを突き刺した。
劇的な逆転弾が決まった。東城陽グラウンドに詰めかけた多くのサポーターの前でも劇的勝利。ゴールを決めた国領は真っ先にタッチライン沿いのサポーターのところへ駆け寄り、歓喜の輪が広がった。

福岡にとっては悪夢の瞬間であった。素晴らしい形で試合を進めながら、最後は相手のパワーに押し切られた。試合後、彼等は号泣したが、その気持ちが十分に理解できる素晴らしいパフォーマンスだった。
勝利した京都の選手も泣いていた。それを見ても、この試合がどれだけ苦しく、白熱したものだったかがわかる。中でもエース三根が号泣している姿が印象的だった。
90分間の熱闘は京都に軍配が上がった。この勝利で京都は波に乗れるのか。次こそ彼らの真価が問われる一戦になりそうだ。

以上
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