派手さはないが、強い。今季の名古屋はあくまで地味に勝点を稼ぎ、上位をうかがっている。ここまでリーグ5戦で3勝1敗1分の7位、ACLでも3戦1勝2分と無敗をキープしており、出遅れた昨季に比べればまずまずの成績といったところだ。前節はJ1初昇格のシーズンで健闘を見せている鳥栖に、内容では圧倒されながらもしたたかに勝点3を手にしている。いまだ本調子とはいえない出来の反面、その状態でも着実に勝点を積み上げている現状は他チームにとっては不気味だろう。このチームがフィットした時、どのようなサッカーを見せてくれるか、という点では今後が楽しみにもなってくる。
そのような状況で、名古屋は2週連続で昇格組をホームで迎え撃つ。相手は4年ぶりの昇格となった札幌だ。ここまで公式戦7戦でわずか1勝、リーグ戦に限っては1分4敗と久々のJ1で苦戦が続いている。豪放磊落なキャラクターと戦略家の顔を併せ持つ石崎信弘監督は、しっかりとパスをつなぎ、組織で守る好チームを作ってきた。テクニシャンの前田俊介と内村圭宏、運動量とフィジカルに優れる近藤祐介らを軸としたアタッキングは躍動感にあふれるが、J1の守備組織をなかなか破れずにいるというのが目下の悩み。ヤマザキナビスコカップで活躍した大島秀夫や、前節はボランチでプレーした宮澤裕樹らを含めた前線の起用法には、そろそろ変化の一手が入れられるかもしれない。
この試合の注目点の第一は、古巣対決となる名古屋のダニルソンのプレーぶりだ。自分を日本に導いてくれた思い入れのあるクラブとの初対決に、コロンビアの怪物ボランチは高いモチベーションを持って臨んでいる。2010年の天皇杯での対戦機会は負傷で逃したため、その意気込みは相当のもの。「思い入れはあるけど、やるからには勝つ」と話す表情に、古巣へのリスペクトも滲ませていた。クラブスタッフ、選手のほとんどを知っているというが、それだけに札幌の特徴や抑え方は心得たもの。普段以上の激しいディフェンスとダイナミックな攻め上がりで、名古屋の攻守を活性化してくれそうだ。
試合展開を考えれば、札幌は自陣でのコンパクトな守備組織を敷いてくることから、必然的に名古屋がボールを保持する時間は長くなるだろう。そのため、正確なポゼッションと緩急をつけた前線での仕掛けが攻撃では重要になってくる。そこで朗報なのが、中村直志の復帰だ。今週から全体練習に合流したベテランが戻れば、藤本淳吾を本来の2列目で起用できる。突破とゲームメイクの両方をこなす攻撃的MFは玉田圭司との相性もよく、永井謙佑のスピードを活かすアイデアも豊富。前節に引き続きケネディの欠場は濃厚な情勢だが、その穴を埋めるだけの活躍は期待できる。背番号7の復帰がもたらす影響は、非常に大きいのである。もちろん、今季名古屋が見せている前に出る守備という点でも中村の存在は大きい。危機察知能力に優れ、攻撃力も備える万能MFの復活は望まれるところだ。
昇格組との対戦は難しいとは名古屋の誰もが口にすること。しかし指揮官を筆頭に勝者のプライドを持った選手たちは勝つことしか考えていない。前節・鳥栖戦後の玉田はこう言った。「J2から上がってきたチームに、去年の柏のように行かれたらいけない。そういうプライドを持ってやりたい」。J1、そして優勝候補という自負を持った名古屋は、全力で札幌の挑戦を受け、倒しにかかるつもりだ。
以上
2012.04.13 Reported by 今井雄一朗
J’s GOALニュース
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