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【J1:第6節 清水 vs 磐田】プレビュー:両者が良い状態で臨む緊迫の静岡ダービー。大事な場面で試合を決める仕事をやり遂げ、ヒーローになるのは誰か(12.04.13)

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ホームの清水はすべて完封で公式戦3連勝中、アウスタでの10年ぶりの勝利に挑む磐田は今季公式戦負けなし。久しぶりに両チームとも好調な状況でぶつかり合う静岡ダービーは、本当に白熱必至。天気予報通り肌寒い雨模様になったとしても、観る者のハートは確実に熱くしてくれるはずだ。

清水のゴトビ監督は、今季「1試合平均で勝点2以上」というペースで勝点を重ねていくことを目指している。それができれば、確実に優勝争いに絡んでいけるからだ。現時点ではそのペースに1ポイント足りないが、この試合に勝てば6試合で勝点12となるため、目指すペースに乗せることができる。それだけでなく、ライバルの磐田に今季初黒星をつけ、順位も逆転することができる。それによって得られるサポーターの喜びと選手の自信は非常に大きく、チームの一体感と勢いを増すためにも、何としても勝ちたい一戦と言える。

そのための準備も、100%ではないが十分に整っている。完全ではないのは、小野伸二と高原直泰がケガにより出場微妙なところだが、仮に彼らが出場できなかったとしても、戦力不足を感じさせないのが、今の清水の強みでもある。
とくに中盤は、このところ小林大悟と枝村匠馬が非常に気の利いた働きを見せており、誰が出てもそれぞれの個性が出て楽しみな面がある。前節の神戸戦では、先発はアレックスと河井陽介で、途中から小林と枝村をセットで入れるというパターンも、非常に効果的だった。ここはゴトビ監督の戦略が楽しみな部分でもある。
センターフォワードに関しても、高原が不在であっても、ジミー フランサ、アレックス、伊藤翔と選択肢は十分。フランサはまだ十分にフィットしてはいないが、前節で初先発し、89分間プレー。「ジミーがオフサイドラインぎりぎりで駆け引きを続けたことで、相手のDFラインは下がらなければいけなくなった」とゴトビ監督は彼を使う効果を語っており、オフサイドの判定で幻の初ゴールとなった場面でも、ワンチャンスでの冷静さが光っていた。彼がDFラインを下げさせれば、中盤にスペースが増えてパスを回しやすくなるので、フランサが先発した場合には、そうした効果が表われるかどうかに注目したい。
守備に関しては、ここまで依然としてセットプレー以外の失点がなく、非常に堅実な守りができている。とくに、アンカーの村松大輔、センターバックの岩下敬輔とカルフィン ヨン ア ピン、GK林彰洋の4人が作る菱形はJ1でも屈指の強さを発揮している。今回は岩下が臀部の傷みで出場微妙だが、平岡康裕が出たとしても、そこの手堅さは揺るがないだろう。

対する磐田のほうは、リーグ戦では3勝2分の無敗で、得点7/失点4。勝った試合はすべて1点差という勝負強い戦いができている。森下仁志新監督の下で、まだ本来目指しているサッカーができているわけではないが、「みんなが相手よりも走るとか、献身的にやるという部分がすごく試合に出ていて、それが結果に表われているので、チームの自信にもつながっている」(山田大記)という状況にある。実際、ボールを奪われても素早く切り替えて守備の組織を整えるのが非常に早く、そこでのコンパクトでタフな守備から、ボールを奪ってカウンターという形もよく機能している。
さらに、限られたチャンスを生かせる選手がいるのも大きな強みだ。シュート総数は40本とJ1で2番目に少なく、多くのチャンスを作っているとは言えないが、その中で前田遼一と山本康裕が2得点ずつ。プロ2年目ながらキャプテンマークをつける山田も、チャンスメイクやアシストで大きな仕事を果たし、自らも1ゴールを決めている。前節の仙台戦でも見られたように、アウェイでかなり押される展開になったとしても、カウンターやセットプレーでゴールを決め、身体を張った守備で勝点に繋げることができるチームと言える。

清水も前線からの厳しいプレスが持ち味であることを考えると、お互いにハードワークできるチーム同士ということで、中盤では非常にガチガチとした激しい球際の競り合いが繰り広げられることだろう。そこでどちらが優位に立てるかという部分は、気持ちの強さが重要になるダービーマッチでは、もっとも大きな注目点と言える。
ただ、そこでホームの清水が主導権を握ったとしても、磐田には固い守備のブロックと鋭いカウンターがあるため、いつ試合が動くかわからないスリリングな展開が続くことは間違いない。0-0の状況が長く続いた場合は、セットプレーが勝敗を分ける可能性もある。
そのため、清水としては“熱さ”と同時に“冷静さ”も必要になる。そして、パスを回しながら相手のスキを見つけ出し、そこを突いて先制点を奪うことが、勝利のためには欠かせない要素だ。当然、清水のほうも限られたチャンスをしっかりと生かせなければ、勝つことは難しいだろう。
攻守両面において、本当に大事な場面で大きな仕事ができるのは、どちらのチームの誰になるのか。役者は十分に揃っているだけに、誰がヒーローになっても不思議ではなく、本当に目の離せない緊迫した戦いになるだろう。そんな静岡ダービーの醍醐味を存分に味わい尽くすには、やはりスタジアムに足を運んで、自分の目と肌で直接感じとるしかない。

以上

2012.04.13 Reported by 前島芳雄
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