「今日のゲーム、次のリーグ戦、両方勝利すべく考えて戦ったが、普通に考えて、大宮が休みで我々が連戦なので、メンバーを考えないといけない。レギュラーのほとんどが休んだからといって次の大宮戦に勝てるかといえば、それはわからないが、監督としては今日のゲーム、大宮戦の連戦を乗り切るためにこういう形で戦った」
浦和のミハイロ・ペトロヴィッチ監督は連戦、週末に迎える大宮との「さいたまダービー」に向けたコンディションを配慮し、レギュラー陣の多くを休ませ、小島秀仁、濱田水輝、矢島慎也などリーグ戦でまとまった出場時間を与えられない若手に経験の場を設けた。対するC大阪も前節の磐田戦とは異なり、柿谷曜一朗、黒木聖仁、播戸竜二など控え組にチャンスを与えた。
試合はいきなり動きを見せた。開始11分、こぼれ球を拾った清武弘嗣が遠目の位置から狙うと、クリアしようとした永田充に当たってコースの変わったボールがゴールマウスに。「キヨ君も言っていたけど、枠外のシュートがこっちの選手に当たって入ってしまった」(柏木陽介)という不運な失点で浦和はいきなりビハインドを背負った。
浦和はいつものようにDFラインのビルドアップから攻撃を組み立てようとするが、なかなかうまくいかなかった。C大阪の前からのプレッシャーをかわし切れず、バックパスを受けたGK加藤順大がロングキックという流れが何回か続いた。また、「今日は凡ミスが多くて、取られなくていいところで取られていた」と柏木が振り返ったように、何と言うこともない局面でのパスミスが目立った。
そんななかキラリと光るプレーを見せたのが小島秀仁。高精度のパスが持ち味の若き司令塔はこともなげにロングフィードを何度もウィングバックにピタリと通し、局面を前に進めた。ただ、パスそのものは素晴らしかったものの、なかなかチャンスにまでつながらなかった。
ビルドアップの際に中央のパス回しで相手選手をおびき寄せ、食いついてバランスが崩れたところで中から外という展開でチャンスを作るのが今季の浦和の攻め筋の1つだが、この一戦では後方のビルドアップで相手の陣形を揺さぶれないなかでサイドに展開していたため、ウィングバックにボールが通っても相手の守備組織は整っており、突破してチャンスを作るという形にはならなかった。
「中が閉められていてサイドが空いていたので出したけど、簡単にサイドにいきすぎたかなと思う。サイドに入った時の崩しが単調すぎたイメージがあったので、そこは改善しないといけない」と小島も反省していたが、今季のC大阪は守備組織が整備されているので、ゲームを作る段階でもう少し相手を揺さぶる工夫は必要だった。
それでも浦和は42分、濱田水輝のパスを受けた原口元気がドリブルでサイドを突破し、折り返しのボールを入れると、ゴール前に飛び込んでいた矢島慎也がプロ初ゴールを決めた。
しかしC大阪もその数分後、CKのこぼれ球を拾った清武がクロスを入れると、播戸竜二がヘッド。これはGK加藤が好セーブで阻んだものの、ルーズボールを藤本康太が押し込み、すぐさま突き放した。
後半開始時、浦和は永田、槙野智章を下げ、ボランチに柏木陽介、センターバックの位置に野田紘史を投入し、DFラインのレギュラー組を休ませた。すると後半開始わずか4分、清武がハーフウェイライン付近の左サイドからFKを蹴ると、浦和は簡単に裏を取られ、ブランキーニョがGKとの1対1を冷静に制してネットを揺らした。浦和の守備が集中を欠いていたのは確かだが、一方で清武のパス精度の高さが改めて示されたシーンだった。
浦和は柏木が入ったことで自陣でのパス回しが改善され、阿部勇樹がピッチに立つと状況はさらに好転した。2人が中央でパスワークの潤滑油となり、中からサイドという揺さぶりも出てきた。1トップに入った原口がフィニッシュに絡む場面が増え、得点の匂いを感じさせる攻撃を見せた。
だが、この日の浦和は清武の引き立て役に過ぎなかった。「前半から起点を作られていたし、やっていて異次元だと感じた」と矢島が感嘆したように、抜群のスキルで存在感を示していた背番号8がまたも違いを見せつけた。
81分、カウンターからボールを持った清武はゴール前でチャンスを窺っていた播戸にパスをピタリとつけ、播戸のゴールをアシスト。清武は全得点に絡むという圧巻のパフォーマンスで勝利の立役者となった。
「点差が開いて敗戦したが、点差ほどの差はなかったと思う」。ペトロヴィッチ監督がそう振り返ったように、両者のパフォーマンスに1−4の結果ほどの隔たりはなかった。互いにベストメンバーではなかったため、質を欠くシーンはあったが、どちらも意図が感じられるプレーを見せていた。決定的な仕事を確実に遂行できる選手の有無。明暗を分けたのはその差だった。
以上
2012.04.19 Reported by 神谷正明













