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【J1:第8節 名古屋 vs 浦和】レポート:絵に描いたような真っ向勝負、“ミラーゲーム”に勝利したのは浦和。名古屋は粘り強さを見せるも一歩及ばず、ホーム無敗記録もストップ(12.04.29)

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周囲の期待をよそに、ストイコビッチ監督の秘策はなかった。5年目にして初めて行った非公開練習の理由は、このところ低調なチームに刺激を入れるためと、新戦術の確認のため。「バルセロナだってレアル・マドリーだって新聞に書かれたら勝つチャンスを減らす」と語った指揮官だったが、己のポリシーとして公言していたものを覆しただけの結果を得ることはできず、試合後にサポーターからブーイングを浴びる憂き目にあった。

名古屋は前節の広島戦から導入した3バックのシステムを今節でも継続。ゴール前にダニエル、田中マルクス闘莉王、増川隆洋という屈強の3人がスタートから並び、その前には掃除屋のダニルソンとゲームメイカーの藤本淳吾が並ぶ。両サイドには右に田中隼磨、左に小川佳純を配置。前線は永井謙佑を頂点に、いつものウイングではなく2シャドーの形で玉田圭司と金崎夢生が並んだ。ケネディの負傷欠場が長引き、サイド攻撃が大きな効力を発しない今、中央突破の威力を高める狙いもあるのだろう。またこのメンバー構成は、カウンターのスピードに優れるという利点も備えている。

同じ3−6−1のフォーメーションを敷く浦和が並べたメンバーの特徴は名古屋と瓜二つだった。坪井慶介、永田充、槙野智章の3バックの前にビルドアップに優れる阿部勇樹と掃除屋タイプの鈴木啓太、サイドもサイドバックタイプの平川忠亮と本来アタッカーの梅崎司が入り、俊足のポポの下にクリエイティブなMFのマルシオ・リシャルデスと柏木陽介がいるところまで同じである。同じ布陣に同じ特徴を持った選手たちの集団が相対することになった一戦は、文字通りの“真っ向勝負”あるいは“ミラーゲーム”となった。

試合開始から動いたのは名古屋だ。浦和のキックオフと同時に前線の3人がボールに襲い掛かり、激しいプレッシングでボールを追いかけまわした。全体的なラインを上げ、前でサッカーをする意識は明らかで、この布陣による戦い方は少なからず整理して臨んできたことはうかがえた。しかし肝心の攻撃に移ってからの動きが鈍く、なかなか決定的なチャンスを作ることができない。浦和も同様にパス回し自体はスムーズなのだが、前線にかける人数が少なく、名古屋の3バックとダニルソンに行く手を阻まれていた。

しかし両チームの持ち味はところどころで光を放つ。浦和はマルシオから加速するスピーディーな展開、そして名古屋は代名詞でもある高さだ。その持ち味が、前半の真ん中でそれぞれの得点につながった。まず23分、浦和は中盤の底から柏木がマルシオとのワンツーで抜け出し、左の梅崎にスルーパスを通す。タイミングの良いワンツーで名古屋はDFの増川を含む2人が置き去りにされており、この時点で数的不利になっていた。縦に突進した梅崎は余裕を持ってマルシオにマイナスのパスを送り、マルシオも冷静にDFをかわしてミドルシュートをゴール右隅へ。名手・楢崎正剛も届かない見事なシュートで先制点を挙げた。

だがその後の名古屋の反撃も素早かった。サイドチェンジを挟む大きな展開から、まずは右サイドでチャンスメイク。田中隼のクロスが流れたところを今度は小川が中へ送るも跳ね返されたが、浅いクリアボールを増川がゴール前に頭で送ると、オーバーラップしていた闘莉王がきっちり競り勝ちボールはゴール前へ。玉田がスルーしDFを引き付けると、飛びこんだ金崎がGKの手前で先に触り、ゴールへ流し込んだ。増川と闘莉王の高さを活かした攻撃は名古屋の真骨頂。3バックの利点を生かした2人のセンターバックの働きで、名古屋があっという間にビハインドを帳消しにした。前半のその後は一進一退、というよりは再びチャンスの作れない膠着した展開となり、1−1で折り返す。

迎えた後半、立ち上がりは名古屋が優勢に試合を進め、48分、50分、57分には決定機を作るなど押し込んだ。ここでひとつでもモノにできていれば試合は全く違うものになっていただろう。67分、この試合を決定づける痛恨のミスが名古屋に生まれてしまった。長めのFKを相手GK加藤順大にキャッチされると、素早く前線に展開され、あっという間にペナルティエリア横での1対1に持ち込まれた。梅崎と藤本のマッチアップは梅崎が難なく制し、クロスを送るとこれを田中隼が腕で止めてしまいPKを献上。後半開始間もなくにすでにイエローカードをもらっていた田中隼は退場、PKもマルシオにきっちり決められ、名古屋は残る約20分を10人での反撃を強いられることになった。

そこからの名古屋の猛攻は見事なものだったが、追いつき、逆転するまでは至らなかった。闘莉王を1トップに上げ、失点前からピッチに投入されていた阿部翔平のクロスを起点に何度もゴールに迫った。「あれだけ引っ張られて、よく頭を出したよ」とうなだれた闘莉王は、極限に近いハードマークの中でポストに当たる惜しいヘディングシュートを放つなど、本職のFW顔負けどころかストライカーとしても一流であるところを証明するかのような活躍を見せた。その印象は絶大で、存在感からすれば敗者ながら、彼がこの試合の主役だったといっても過言ではないほどだった。

名古屋がホームで負けるのは、実に昨年8月の仙台戦以来のこと。試合後は指揮官をはじめ判定への不満も多かったが、「負けて文句を言うほうがカッコ悪い」という闘莉王の言葉が一番の正論であることは、名古屋の面々も承知している。今日の試合に関して言えば、もともとが前がかりになりがちなチームが、3バックにしたことでDFまでもが高い位置をとることでリスクを増やしたことが敗因の一端だった。この3−6−1のフォーメーションは、選手たちの口ぶりからすれば今後も継続していく様子だが、その習熟にはまだ時間を要するだろう。次は中2日で韓国でのAFCアジアチャンピオンズリーグが待つ(5/1@炭川)が、ここで従来の4バックに戻すか、3バックを続けるかは見どころだ。城南一和との一戦は、グループリーグ1位突破をかけた重要な試合。その試合に慣れ親しんだ布陣で勝ちに行くか、新たな布陣へのチャレンジを継続しながら戦うか。今後の名古屋の方向性は、次戦で見えることになる。

以上

2012.04.29 Reported by 今井雄一朗
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