待っていたのは声援だった。試合後、うなだれながら場内のあいさつに回る新潟の選手たちを、新潟サポーターは応援歌の大合唱で包んだ。選手バスがスタジアムを出るときも、多数のサポーターが拍手とエールで見守った。
「サポーターの気持ちに応えないと」。キャプテンの本間勲は声を振り絞った。後半44分、仙台・ウイルソンに決められたPK1本で敗れた。ペナルティーエリアに進入してきたウイルソンと接触した鈴木大輔のプレーが、ファウルと判定された。判定からPKまでの間に、本間と東口順昭に異議で警告が出された。先制された後はブルーノ・ロペスも異議でこの日2枚目のイエローカード。退場となった。10人になった新潟には、4分間のアディショナルタイムで追い付く力は残っていなかった。
それでも、サポーターがたたえたのは、勝利への意欲をプレーで表現していたから。前半から固いブロックと体を張った守備で仙台の攻撃を封じた。5分には、微妙なオフサイドの判定でノーゴールとなったが、コーナーキックのこぼれ球を石川直樹がゴールにたたき込んだ。ボールを奪ってからはカウンターも仕掛け、運動量を武器にした新潟のスタイルを開始から表現していた。
だが、そこに得点が不足していた。後半、サイドと中央を使い分けてきた仙台に押し込まれると、クリアで逃れるだけの時間帯が多くなった。攻撃は苦しまぎれに長いボールで裏を狙うだけ。相手にボールを持たれる分、ラインはじりじりと下がっていった。「いい守備はできていた。でも、得点しないと勝てない」。内田潤が言うように、守備の粘り強さが得点につながる流れにはならなかった。
仙台にとっては、会心の勝利ではなかった。それでも「したたかに、辛抱強く戦った」と手倉森誠監督が言うように、要所はきっちりと抑えた。
前半はブロックを作った新潟の守備とカウンターに苦しんだ。シュートはわずか1本。チャンスらしいチャンスを作られなかった。後半に入るとしっかりと修正した。タテの突破を織り交ぜながら、相手のサイドバックの裏を狙う。ラインが下がり始め、単調にロングボールを蹴り返すだけになった相手を、追い詰めるようにポゼッション。PKをゲットした攻撃もその流れからだった。
好調の赤嶺真吾を故障で欠き、代わってスタメンに起用されたウイルソンも、直前の練習で故障し万全な状態ではなかった。それでもきっちりと勝点3を手にするところが、首位チームの力強さ。アウェイで挙げた白星は大きな意味を持っていた。
仙台は自信を深めてゴールデンウイークの連戦に臨む。連敗した新潟だが、守備の堅さはこの試合でも実証された。課題はリーグ最少の4得点の攻撃。守備から攻撃に回ったときの精度アップが急務になる。
以上
2012.04.29 Reported by 斎藤慎一郎(ニューズ・ライン)















