前半12分、横浜FMのセットプレー。中村俊輔の蹴ったボールは槙野智章が跳ね返すが、その先にはフリーで待ち構えていた齋藤学がいた。浦和は平川忠亮と槙野が慌てて対応にいくが、齋藤が一枚上手だった。「浦和の選手の反応が少し遅れていたし、いいところに置けたのでタイミングを外したシュートを打てた。浦和の選手が少し飛び込んできたので、そこをかわしてからというイメージだった」。虚を突くタイミングで放ったシュートはGKも反応できないファインゴールだった。
「すべては先制点を取られたこと」と槙野智章が振り返ったように、浦和にとっては最近目立つ序盤での失点が大きな足かせとなった。浦和はいつものように後方からのビルドアップで試合の主導権を握ろうとした。横浜FMはそれに対して最初は前から取りにいく姿勢も見せたが、齋藤が「そこまで守備的に戦おうという意図はなかったが、うまい選手が多かったので引かざるを得ないというか、引いてカウンターという形になった」と語ったように、前からプレッシャーをかけてもかわされるだけだと悟ると、陣形をコンパクトにしてブロックを作って待ち構える形にシフトチェンジした。
これに浦和は手を焼いた。DFラインのところでは4ー2、あるいは5ー2の数的優位になるので簡単にボールを回せるが、縦にボールを入れようとすると、1トップ2シャドーと両ワイドの5人に対し、「4−4のブロックを作るなかでどう切るかをチャレンジした」(樋口靖洋監督)横浜FMの8人がケアしてくるので全くボールが前に収まらない。
「相手があれだけ引いているなかで、4人が並んで、中盤も最終ラインに入るような流れのなかで崩すのは非常に難しい。大宮戦もそうだけど、引いた相手に対してもう少し自分たちが工夫、アイデアを持ってやる必要がある」。槙野が唇を噛んだように、浦和は引いて守る相手に対してなかなか脅威を与えることができなかった。
さらに、ただでさえ苦しい状況のなかで、大黒柱の柏木陽介が本調子からほど遠いパフォーマンスだったことも痛手となった。ケガを押して強行出場したものの、「痛みもあるが、力が入らない状態」(ミハイロ・ペトロヴィッチ監督)ではさすがの柏木も普段通りのプレーはできなかった。
判断ミス、ファーストタッチのミスなどが目立ち、本人も「今まではミスをだいたい5回以内に抑えられていた感じだったけど、今日は前半だけで5、6回ミスしていた。足のせいとかじゃなくて、いろんな条件を含めて自分が出てしまったことは自分が悪い」と肩を落とす出来。監督の信頼に応えようと無理してピッチに立ったが、前半を終えた時点で自ら交代を進言するくらい、本来の力とはかけ離れたプレーしかできなかった。
横浜FMは低い位置での守備に比重を置くような戦い方をしていたので、ボールを奪っても相手ゴールまで遠く、なかなか迫力のある反撃は繰り出せなかったが、リードしているチームにとってはそれで問題なかった。前には齋藤、小野裕二とスピードのあるアタッカーがいるので、サイドにスペースがあれば彼らを生かした速攻を仕掛けるという試合運びをしていればよかった。
そんな横浜FMの守備をなかなか攻略できずにいた浦和だったが、それでも78分にこじ開けてみせる。阿部勇樹がボールを持ち運んで、梅崎司へパス。梅崎がマークを引きつけてマイナスに戻すと、槙野がドリブルでDFの間に割って入って右足を振り抜き、同点弾を叩き込んだ。
これで試合は活性化した。横浜FMが勝ち越し点を取ろうとそれまでより前がかりになったことでカウンターをかけ合うような展開となり、互いにゴール前での攻防が増えた。すると88分、横浜FMが中村俊輔のCKからマルキーニョスのヘッドで2ー1に。今季初のベンチ入りを果たしたばかりの助っ人がいきなり結果を出し、横浜FMが埼玉スタジアムでの浦和戦5連勝を飾った。
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2012.05.04 Reported by 神谷正明















