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【J2:第12節 横浜FC vs 岡山】レポート:現実に徹した岡山が、発展途上中の横浜FCから抜け目なく勝点3を奪う。岡山は8試合連続負け無し(12.05.04)

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世の中の多くの物事には「理想と現実のギャップ」という問題がある。サッカーにおいては、目指すべきサッカーのスタイルや戦術という「理想」を持たないと強いチームになることは難しく、一方で対戦相手を考えた戦いという「現実」を踏まえることは1戦1戦の勝利を引き寄せるためには重要となる。現実の結果が出ないと理想はぼやけてくる。そして、そのバランスがピッチに投影される。この試合の岡山の勝因は、理想を固めるべく発展途上中の横浜FCの勢いを把握しながら、現実に徹する岡山が細かい穴を我慢強く突くことで勝点3をもぎ取ったことにあった。

横浜FCは前節の町田戦の反省を生かし、自ら主導権を握るべく良い試合への入り方を見せる。岡山の攻撃において前線での起点となる川又堅碁を、この日センターバックに入った横浜FCのペ スンジンが押さえ込み、一方で田原豊が広く動きポゼッションのリズムを作ろうとする。川又が抑えられた岡山は、ワイドに展開することで活路を見いだし、特に左サイドの田所諒へのサイドチェンジで展開を図ろうとする。しかし、横浜FCも田所に展開された後のカバーリングで隙を作らず、試合は我慢比べの展開となる。ただ、岡山・影山雅永監督が「あの2人(田原、大久保哲哉)を止めるというのは苦しいものでして。それで押し込まれている時間、我慢している時間が長かった」と振り返ったように、横浜FCが一方的に押し込む時間が増える。ここで、岡山は現実的に5バック+4人のMFという9人でのブロックを構築。サイドに蓋をすることで効果的なクロスを上げさせないようにしつつ、横浜FCのツインタワーの力を削ぐことに徹する。そして、この現実に徹する岡山の戦い方が功を奏し、試合を0-0で折り返す。前半途中から時計に視線を移すことが何度かあった影山監督にとっては、してやったりの展開と言って良かった。

後半、岡山は金民均を投入。「意図のあるプレーをしてくれたので、リズムが変わってゴールにつながったと思う」と川又が振り返るように、前線にボールを入れるバリエーションを増やすことで相手陣地に押し込む場面を作り出せるようになってくる。相変わらず横浜FCが攻める時には9人でブロックを作るが、攻撃に転じたときの攻め手を増やすことに成功。そして、67分試合は動く。岡山のフリーキックで横浜FCのほぼ全員が自陣に帰陣している中で、クリアボールを大久保が失うと、そのボールを岡山がワイドに展開。そして左サイドでフリーになった田所が裏のスペースを狙った川又に絶妙の高速クロスを上げると、川又がピンポイントで合わてゴールゲット。クロスの質、ヘディングを受けたポイント、オフサイドラインとの駆け引きの全てにおいて、田所と川又のプレーが上回ったファインゴールだった。そして1点リードしてしまえば、再び岡山は現実に徹するだけ。この日粘りを見せた9人での守備ブロックは、12本のシュートと6本のコーナーキックに見事に耐えて、無失点で試合を終わらせることに成功した。横浜FCは最後まで攻め続けたが、理想とするポゼッションを確立中のチームは、裏のスペースを完全に封じる岡山の壁を打ち破るアイディアを出すことはできなかった。

勝利した岡山は、8試合連続負け無しで、そのうち5試合は無失点を達成。守備から大きな自信を掴んでいることがこの試合の勝点3に大きく繋がった。影山監督が「結果として好調と言われているだけで、1試合1試合、我々は勝つために準備と試合を必死になって戦っている」と述べているように、1人1人のプレーヤーが現実を見据えた戦術を全力で実行し結果が自信に繋がっているという点で、良いスパイラルが継続されていることは間違いない。この勢いを継続することが、岡山の次の理想へのベースとなる。

敗戦した横浜FCは、ポゼッションしながらも守備を固めたチームに一瞬の隙を突かれるという、J2でしばしば見られる、そして横浜FCがこれまでに数多く経験する形での敗戦となった。横浜FCのポゼッションは確実に良くなっており、この試合は無得点だったがその前の4試合は複数ゴールを挙げていることを考えると、チームの理想がもたらす現実的な弱点であることを理解した上で、その弱点が現れないようにするための今後の努力の糧にすべきだろう。それは、守備を固める相手の崩し方とカウンターの起点を作らせないこと。この連敗(対町田、岡山)で、その前の2連勝(対京都、岐阜)が無になったわけではない。全ての戦術には良い面と悪い面があるわけで、理想を現実に落とし込むためのレベルアップという新しい課題を得たと前向きに考えたい。

ゴールデンウィークの連戦後半ということで、躍動感あふれるところまではいかなかったが、両チームのサッカーの本質が見えたという点では意味のある試合だった。

以上

2012.05.04 Reported by 松尾真一郎
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