アウェイの広島が3−1のスコアで勝利。厚別競技場特有の強風に両チームが手こずった試合だったが、それでも臆することなくパスをつなぎ、決定機を着実にモノにした広島が勝点3を積んで首位・仙台に肉薄した。
序盤は札幌が走り回る。「ホームなので、立ち上がりから積極的に仕掛けていこうと思っていた」と古田寛幸が振り返ったように、相手ボール保持者へ積極的にアプローチを行い、札幌らしい高い位置からのプレッシングを披露した。対する広島は、持ち前のパスワークでこれをなんとかかいくぐっていたものの、そこから縦に仕掛けるタイミングでミスが出て、札幌にボールを渡してしまう場面が何度もあった。
ただし、残念ながら札幌はボールを奪ってからの攻撃にパワーが不足した。
広島のフォーメーションは3−6−1だが、守備時には山岸智、ミキッチの両ウイングバックも最終ラインまで下がって5バックを形成。その前のポジションでは青山敏弘、森崎和幸の守備的MFがワイパーのように守備に走る。さらに石原直樹、高萩洋次郎という攻撃的MFも札幌のサイドMFへのパスコースを見張る。攻から守へと転じた際の広島はそうしたポジションを素早く取り、その結果、札幌はボールを持ってもなかなか前へとボールを運ぶことができず、「横、後ろへと安全にプレーをしてしまった」(石崎信弘監督)のだ。
そうして広島が主導権を握り、21分には敵陣で奪ったボールを素早く回して佐藤寿人がゲット。27分には高萩の落としを山岸が豪快に蹴り込んで追加点。アウェイの広島が前半のうちに2点のリードを奪ってしまう。
後半に入り、その立ち上がりに内村圭宏が鋭いミドルシュートを決めて札幌が1点差に迫ると、その内村と古田のコンビネーションを生かして札幌が押し込む局面が増えてきた。だが、そこから同点とは至らない。
そこにはアタッキングサードでの動きの質に差があったと言っていいだろう。広島の攻撃陣は敵陣深くに入り込んでも、ミッドフィールドにいる時と変わらず冷静にプレーを選択してフィニッシュへと持ち込んでいた。それに対して札幌はペナルティエリア付近まで持ち込むと、突如として動きが固くなり、ラストパスあるいはシュートまで持っていけない場面が幾度もあった。これについては「個人の差を見せつけられた」という前貴之のコメントがピタリと馴染む。
そして83分、広島は途中出場の森崎浩司が直接FKを決めて勝負あり。広島が敵地での勝利を決定づけた。
こうして要所を振り返っていくと、個人能力や戦略など、あらゆる部分で広島が上回り、札幌には勝機がなかったようにも感じるかもしれない。だが、決してそんなことはない。
前述したように広島は、5バックを敷いた上で札幌のパスコースを消す戦いを徹底し、「パスの出しどころが見つけられなかった」とも古田が振り返っている。しかし、この日の札幌は開幕から1トップで起用され続けてきた前田俊介が負傷離脱したこともあって、身長184センチの大島秀夫を前線に配置していた。大島は体を張ってターゲットになるのが得意な選手なのだから、パスの出しどころがないのであれば、シンプルにロングボールを大島に当てるプレーを徹底しても良かったはずだ。前田が前線にいたときはグラウンダーのパスを前線へ送ることが戦術の重要なポイントだったため、この試合でもそのスタイルを継続したのかもしれない。しかしながら、そのときの状況に合わせてプレーに変化をつけることができるのが強いチームである。今シーズンここまで、ある程度の内容を演じながらも勝ち切れずにいた札幌のひとつの課題が、この部分にあるのかもしれない。
そして勝った広島のほうは、試合を重ねるごとにプレーの質を高めている印象だ。この試合でも裏への飛び出しが上手い佐藤を警戒した札幌の最終ラインが若干引いたと見るや、抜群のタイミングで高萩あるいは石原がポジションを下げてパスを引き出す。もしここに相手DFが食いついてきたならば、素早いパス交換でその背後を狙うという形がオートマティックに発揮されるようになってきた。なかでも今シーズンから加入の石原は体の強さがあり、強引な突破を図ることもできる。コンビネーションと個のアクセントがうまく絡み合ったが、バランスのよいサッカーが展開されている。次節の結果によっては、ついに首位の可能性があるところまでやってきた。
この試合を終え、リーグはつかの間の中断期間へと突入する。ことこの2チームについて言えば、札幌は再開後の最下位からの浮上を、広島は頂上への到達を目指して準備を行っていくことになる。次節、札幌は敵地で仙台と、広島は敵地でC大阪と対戦する。
以上
2012.05.27 Reported by 斉藤宏則
J’s GOALニュース
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