コンセプトが明確なチーム同士の対戦は、京都が北九州に競り勝って勝点3を積み上げた。
前節と同じメンバーで臨んだ京都。対する北九州は3バックに2ボランチ、ワイドに多田高行と関光博、そして、安田晃大をトップ下に配置する形でゲームに入った。
形を変えてきた北九州だが、京都は、開始早々から安藤淳が最終ラインの裏を取ってゴール前にクロスを送り、決定機につなげるなど攻め立てた。13分に、京都のクロスを、北九州DFが中央にこぼしてしまい、それをサヌが狙うなど、北九州側に弱気な部分も観え、ボールを前に運ぶ前に京都が奪うシーンが増える。そんな状況の中、京都が先制点を奪う。
37分、北九州DFのクリアボールが小さい所を、工藤浩平がダイレクトで前線のサヌに送ると、サヌが中村充孝に落とす。中村はDFを一人かわすと、エリアの外から、左足で相手ゴールの右サイドネットに流し込む。中村の今季4点目のゴールで京都が先制。そして、第一子が生まれたサヌを祝って、フィールドプレーヤー全員がセンターサークルでゆりかごパフォーマンスを披露。(訂正:プレビューでは「女の子」としていたが、クラブから「男の子」と正式発表がありました。ここに訂正いたします)
後半開始から、北九州が動く。渡大生から林祐征、宮本亨に代えてレオナルドを投入。金鐘必を最終ライン、安田をボランチに一つずつポジションを下げ、前線では林のワントップに、レオナルド、池元友樹の2シャドーの形を取る。この形が奏功し、北九州がボールを回し始める。特に、安田が一つ下がり、ゲームを安定させたのは大きいだろう。そこから、右サイドのスペースにレオナルドが入り込み、京都の左サイドを攻め立てた。
だが、決定機は京都の方が多かった。後半開始早々の49分には安藤のクロスに宮吉拓実がノーマークでダイレクトボレーを放ち、64分には福村貴幸から中村、中山博貴とつないでシュートを放ち。68分には中村から中山、そして、裏に走り込む中村と決定機を作った。
アディショナルタイムにレオナルドにシュートを打たれはしたが、危なげない試合運びで京都が勝利し、連勝を5に伸ばした。
前半は京都にほぼ完ぺきに抑え込まれた北九州。しかし、後半、「形は変えないものの、意識の中でマイボールになった時に大事にボールをつないでいくことを伝えました」(三浦泰年監督)と、選手の配置替えでチームを活性化させた手腕は見事だった。その肝は安田を一つ下げたことではないか。前半、ハーフウェーライン辺りから渡の裏への走り出しにパスを送った安田。ピッチ全体を見渡す能力を持つ選手だけに、少し低い位置から木村、安田でゲームを安定させることができたのは大きかった。
対する京都は、安定したゲーム運びだった。前半はほぼ完璧に主導権を握った。後半、北九州にサイド攻撃を受け、チョン ウヨンが福村の裏のカバーに入る時間帯もあったが、きちんと修正し、力強い攻防の見応えのあるゲームを演じた。
後半31分に右サイドで安藤が裏に抜け出すシーンを作ったが、互いにゴール前に早く送り込む攻撃が続いた後で、パス交換から相手の裏を取る、いわゆる「静(遅攻)」から「動(裏)」へ、の攻撃を繰り出したのは感服の一言だった。
その中で後半、中山が2枚の警告を受け退場した。上手く説明はできないのだが、中山や秋本倫孝が警告を受ける時、「責任を一身に背負った」という印象を受ける時がある。今回の2枚目の警告は攻撃陣の不用意な縦パスをカットされたのが要因だが、それを責める気にはなれない。たとえ「不用意」であっても、攻撃へのトライは認めるべきだと思うから。それに奪われた後、すぐに切り替えて追いかけていた様にも観えた。中山のプレーもギリギリの中でのもので、むしろ「よく頑張った」という印象の方が強い。
なぜ、警告を受ける様なプレー、それも、わずか5分の間に立て続けに起こるのか。それを考えた時、やはり「チームの流れが滞っていた」のではないか、と思ってしまうのだ。
その空気がどこかにプレーで表れる瞬間、それは、チームの責任を一身に背負うべき人に背負わされる。それが中山であり、秋本であるのではないか。単純に「警告に注意しよう」ではなく「やるべきことがやらないとこうなるぞ」と言われている様な気になるのである。
今節、気温が高く、給水をする選手も多かったが、その時、ベンチから原一樹が飛び出し、ボトルを仲間に手渡すシーンがあった。これも、素晴らしいチームプレーの一つである。こうした「チームのために」という意識が、今回の様な警告を一つでも減らす方向に(「フェアプレーを」という意味ではなく)向かえば、と思う。
以上
2012.05.27 Reported by 武田賢宗
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