15節以降、今季最長となる5連敗中の鳥取と、同様に15節以降は未勝利の松本。J2昇格2年目ながら、ここまで20位と苦戦している「先輩」鳥取が、昇格1年目ながらも16位につける「後輩」松本をホームに迎える。
鳥取は前節、アウェイで千葉と対戦して1―3で敗戦。前々節までの4連敗は、いずれも前半のうちに先制されたが、この日も開始わずか40秒(公式記録は1分)で、自陣でのパスミスをきっかけに失点。27分に2点目を奪われると、今季失点を重ねている後半の立ち上がり、49分には3点目を決められ、その後にPKで1点を返したものの、流れを変えるには至らなかった。
昨季も7月から8月に5連敗があったが(クラブ最長は昨季末の7連敗)、このときのスコアは、2試合目以降はすべて0―1で、5試合での失点は6。一方、今季は5試合で18失点を喫しており、失点が減らない現状が結果に直結している。千葉戦の最初の失点がそうだったように、攻撃時の自分たちのミスから崩れていることが多く、守備の負担を減らすために取り組んでいるボールポゼッションを意識した攻めと、危険なボールの奪われ方を避けるリスク管理のバランスの見極めが、思うように進んでいない。
松本は、最近5試合は3分2敗と未勝利が続いているが、8節から10節まで熊本、千葉、町田に3連勝を飾るなど、4月までに勝点を伸ばしていたこともあり、16位に踏みとどまっている。前節は福岡とのホームゲームで、先制した後に逆転されたものの、後半に追い付いて2―2で引き分け。反町康治監督は試合後の会見で「今まではリードされたら、そのまま試合が終わってしまうことが多かった。次につながるゲームであることは間違いないと思う」と語り、粘り強さが出てきたチームに、確かな手応えをつかんでいる様子だ。
その松本で、昨年6月に解任されるまで指揮を執っていた現鳥取の吉澤英生監督は、今季の松本のストロングポイントを「堅守速攻。その形で一番多くチャンスを作っている」と分析し、その持ち味を出させないために必要なことを「しっかりフィニッシュまでいくこと。カウンターを受けないためには、それが一番」と語る。鳥取は前述の通り、攻撃時のミスからショート、あるいはロングカウンターで攻め込まれる場面が目立っているが、攻撃を良い形で締めくくれば、セットした状態で守備を始めることができ、守備の負担は軽くなる。
同様のことは松本にも言えるだろう。ここまで1トップの塩沢勝吾、2シャドーの船山貴之、木島徹也などが前線から粘り強くボールを追う守備が光り、完全に崩されるシーンは少ないものの、ミスが絡んでの失点が増えている。組み立ての途中でボールを奪われると苦しい守りを強いられるが、シュートまで持ち込む形を増やせば、主導権を握ることができそうだ。
もう一つ、ポイントになりそうなのは、中3日という状況を踏まえての選手起用。鳥取は前節、4月30日の11節以降、先発出場を続けていたベテランの岡野雅行が久しぶりに控えとなったほか、長年にわたって中盤の中心となっている実信憲明が、昨季のJ2昇格以降、初めて控えとなった。両者は後半に交代出場し、後半開始から出場した実信が入って、中盤のパスワークがスムーズになったプラス面もあっただけに、どう判断するか。前節、左サイドMFで先発した奥山泰裕は出場停止で、起用法には複数の可能性があるだけに、どんな顔ぶれになるか注目が集まる。
松本は前節、ボランチのユン ソンヨルが右足首を痛めてハーフタイムで交代し、6月15日時点で別メニュー調整となっている。欠場となれば大橋正博、あるいは小松憲太が代わりを務めそうだが、ユン ソンヨルが強行出場する可能性も含めて、チーム全体のパフォーマンスに、どこまで影響が及ぶか。
J2は前節終了時点で、19位・富山が鳥取と同じ勝点14で、その上の18位・熊本が勝点19と、下位4チームが取り残されつつある。勝点21の松本は、ここで敗れれば、その下位集団に近付く可能性もあるだけに、6試合ぶりの勝利で突き放したい。一方の鳥取は今季、ホーム開幕戦となった3節で、松本と同じJ2昇格1年目の町田に0―3で敗れており、「後輩」に2度もホームで敗れるわけにはいかない。チームの現状を考えれば、まずは連敗を止めることが重要だが、もちろん引き分けで満足はせず、6試合ぶりの勝利を目指す。
以上
2012.06.15 Reported by 石倉利英
J’s GOALニュース
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