この勢いは本物か。前節、京都を破り最近５試合負けなしの３勝２分となった草津。今節はホームに鳥取を迎えて今季３度目の連勝、そして無敗記録更新を目指す。鳥取は現在６連敗中だが、草津にとって相手の状況は関係ない。草津がやるべきことは、目の前の相手を倒すだけだ。

勝点をじわじわと伸ばしている草津と、勝てない時間が続いている鳥取。現在のチーム状況は、対照的だ。周囲には、楽観的なムードも漂いがちだが、チーム内にはそんな雰囲気はない。今季出場停止１試合を除き19試合フル出場を続ける松下裕樹は「簡単に勝てるゲームなんて一つもない。相手が勝っていないからといって気を抜いたらすぐにやられてしまう」とそんなムードを一蹴する。

リーグ戦の厳しさ知り尽くす松下裕樹と熊林親吾のベテラン組は今週、チームに喝を入れた。前節京都戦で今季初ゴールを上げて勝利に貢献した遠藤敬佑は、彼らふたりに、気持ちの弛みを指摘されたという。遠藤敬佑は「ゴールを決めたことで安心した部分があって、それが練習に出てしまったと思う。マツさんとクマさんに言ってもらって、自分も気合いを入れ直すことができた」と反省した。初対戦となった昨季のホーム戦で鳥取に０対５で大敗した草津は、すべての慢心を排除して今ゲームへ向かう。

対する鳥取は、５月20日の15節徳島戦から黒星の連鎖を止めることができずに６連敗となっている。16節横浜FC戦、17節山形戦で５失点を喫するなど大量失点するゲームも目立ち、最近６試合の得失点は４得点19失点と大きくマイナスが先行している。対戦相手をみると上位陣や好調チームが多いだけに結果だけで判断はできない。草津FW小林竜樹は「鳥取は連敗中のうちと同じ状況。気持ちを入れて戦ってくることが予想されるので受け身になってはいけない」とフルファイトを誓う。

ちなみに鳥取の吉澤英生監督は群馬県出身。前橋商からホンダ（本田技研）へ進み０５、０６年にホンダで指揮を執った。08〜11年までは松本で監督と務め（11年途中まで）、今季鳥取の監督へ就任した。吉澤監督にとって今ゲームは地元凱旋となる。

最近５試合３勝２分と負けていない草津は、５試合連続無失点のクラブ記録を更新中（これまでは０９年の３試合連続が最長）だ。主将御厨貴文を中心としたチーム全体の高い守備意識が、今の草津を支えている。今節は21試合目となりリーグの折り返し地点となる。草津は昨季終盤に１０試合連続負けなしでシーズンフィニッシュするなど過去２年、リーグ終盤に強さを発揮している。今季の草津は、どこまで巻き返しを図ることができるか。「今の順位は１７位だが中位までの勝点は詰まっている。ここからが本当の勝負」（副島監督）。草津の猛攻はこの試合から始まる。

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2012.06.23 Reported by 伊藤寿学