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【J2:第21節 北九州 vs 大分】レポート:強雨の攻防、大分がミスを突いて4連勝を飾る。北九州は決定機を生かせず無得点。(12.06.25)

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チームを長期的に強くしていくための戦略と、目前の勝点3を手にするための戦術は、必ずしも一致しない。昨夜は雨と風の試合だった。3連勝中の大分から勝点3を確実に得ようとするならば、悪条件下ではミスを招きやすいパスサッカーよりも、早めに前線に当てる長いボールでゲームを組み立てるべきだったかもしれない。それでも北九州はパスサッカーを選択した。「我々しかできないサッカーを我々は目指している」と三浦泰年監督。結果はもちろん大事だが、それだけを追いかけて、成長途上のチームがブレるわけにはいかない。

雨と風の試合と書いたが、もっと的確に言えば豪雨と強風の試合。「水はけがいい」(木村祐志)本城のピッチも、夜明け前から降り続けた雨には耐えきれず、ボールが走りやすくなっている場所と、全く逆に水たまりにボールが掴まるところが偏在した。これが大分の2点目に大きく関与するが、まずは試合を立ち上がりから振り返ろう。

大分は、相手のポゼッションを警戒し「しっかり中を締めて守備をして、攻撃しよう」(田坂和昭監督)という意図から、3−4−3ではなく3−5−2の布陣を選択。宮沢正史のワンボランチを中軸に、センターバックの阪田章裕、トップ下の村井慎二のラインが厳しいチェックで北九州の出足を遅らせると、攻撃面では2トップの西弘則と森島康仁がDFの間を突いてチャンスを拡大した。17分にCKのチャンスを獲得。石神が左から巻くように緩いボールを入れると、ファーサイドで三平和司がぴたりと頭で合わせて先制する。

北九州もパスサッカーには厳しいコンディションとはいえ、木村祐志、新井涼平のダブルボランチが落ち着いたボールコントロールを見せていた。大分と同じように北九州も安田晃大らの前線からのディフェンスも機能した。ただ、想定されたとはいえパスミスは多く、フィニッシュまではなかなか持ち込めなかった。

そして35分。雨に濡れそぼったピッチが思わぬかたちで大分に追加点をもたらす。
北九州のゴール前に水が溜まった場所があり、そこに北九州DFのバックパスがハマってしまう。止まったボールに対して大分の西と北九州のGK佐藤優也が走り込み、佐藤がかろうじてクリアするが、それを森島が拾ってゴールへと流し込んだ。
森島によれば、中途半端になったバックパスに対して西に「行ってくれ」と指示し、森島自身はクリアボールが飛びやすいコースに入った。「声を出してコミュニケーションが取れた」と森島。相手のミスを突くだけでなく、しっかりと得点に結びつけた大分が2点をリードする。

ハーフタイムに三浦監督は「ピッチがスリッピーだからもっとミドルシュートを狙うこと」などと指示を送る。その指示を受けた後半の北九州は少し早いタイミングからシュートを放ったほか、ピッチコンディションへの慣れもあり前半に比べてミスは減少。サイドに深く入り込んでクロスからもチャンスを作った。

60分に池元友樹のアーリークロスに端戸仁が飛び込んでシュートに持ち込むなど、決定的な場面は後半に何度も訪れる。この端戸のシュートは大分の守備陣が体を張ってゴールに向かった弾道を死守。また、85分には左サイドからのクロスをレオナルドと大分のGK清水圭介が競り、こぼれ球を池元が左足で振り抜いたほか、続く86分には木村祐志の縦パスに関光博が抜け出すと、ゴールラインのぎりぎりから折り返しゴール前に供給。しかしいずれもゴールネットを揺らすことはできなかった。アディショナルタイムには左サイドを崩し、最後はレオナルドが頭で合わせて一度はネットが揺れたがオフサイド判定で追撃点は奪えなかった。

一方の大分は後半、北九州に押し込まれる時間も長く3点目に繋がるチャンスは作れなかった。ただ、ここまで3試合連続で無失点ということからも分かる粘り強いディフェンスがこの試合でも発揮。「最後の最後でみんなが体を張って失点も0に抑えた」と田坂監督が評価するディフェンス面の踏ん張りが4連勝を呼び込んだ。

相手のパスサッカーに対応しつつ、ミスを突いて得点を重ね前半に試合を決定づけた大分。指揮官は「自分たちが意図するサイドを使ったり、中央を突破、背後を狙ったりというのがまだまだ足りない」と攻撃面での修正点を挙げるが、この試合の戦い方はしたたかだった。今季は今節第21節で半分を消化、大分は勝点40で前半戦を締めくくった。上位混戦で2位から5位までが横並びの状態だが、後半戦でのさらなる飛躍に向けて、十分な足掛かりは築けただろう。

北九州は4戦勝ちなしとなったが、ここでブレないことが何より重要だ。キャプテンの木村は「前を向けるところで向けなかったり、ミスも多すぎる。今年は波のある試合が多いので、波をなくしていければ勝つ確率は上がってくると思う」と前半戦を振り返る。その言葉の通り、求められるのは精度やスピードの向上によって波を静めることであって、戦術の転換ではない。何度も言うが北九州はブレてはならない。
「時間が経てば経つほど成長していくという形を作っていきたい」と三浦監督。難題への挑戦は続く。成長の軌跡が確かに刻まれていく様を、私たちこそが熱いハートで支え続けていたい。

以上

2012.06.25 Reported by 上田真之介
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