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【J2:第26節 栃木 vs 水戸】レポート:ライバル水戸からホーム初勝利。菊岡のワールドクラスのFKが、栃木の連覇の望みを繋いだ。(12.07.30)

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ヒーローを取材陣が取り囲む。その輪のすぐ外側をパウリーニョが通過する。値千金の一撃を叩き込んだ菊岡拓朗と、キャプテンの視線が交錯した。次の瞬間、パウリーニョは深々と頭を下げ、ジャパニーズスタイルで菊岡に感謝の意を示した。そのアクションに菊岡は満面の笑みを浮かべた。松田浩監督が「手でボールを扱うような」と評した正確無比なキックから生み出されたワールドクラスのFKが、栃木の北関東ダービー連覇への望みを繋いだ。

栃木に移籍して来るまでの2年間在籍した東京Vでは、古巣・水戸に対して3勝1分と無敗。3ゴールを奪い、相性は抜群だった。しかし、前回の水戸戦では1‐3と大敗。「次は絶対に勝たないといけない」。リベンジに燃えていた。ダービーでは負けられない、という思いに加え、好敵手の存在がキック精度と集中力をより一層高めた。菊岡は言う。
「幸司さん(本間)の能力が凄いのは分かっている。完璧なコースに行かないと入らない。そこで自分の集中力が増した」
針の穴を通す、という表現がピッタリくる芸術性の高いFKは、ゴール右上の絶妙なコースを捉えた。北関東を代表するGK本間でさえもタッチするのが精一杯だった。クラブ通算50勝目となる節目の勝利を、これまで一度もグリスタで勝てなかったライバルから奪ったことに大きな価値があった。栃木はまたひとつ、自らの力で壁を越えた。

戦前の予想通り似た者同士の試合はミラーゲームとなった。互いにロングボールを蹴り合い、その中で5分に迎えた絶好のチャンスを栃木が逃すと、その様相はより濃くなった。栃木も水戸も3ラインを形成し、網を敷いてカウンターを狙う構図。栃木は水戸のFK後、尾本の緩慢なパスミスをパウリーニョがカットしてのカウンター、水戸のDFラインでのパスミスに乗じてサビアがゴールに迫った。だが、肝心の精度にやや欠けた。

命拾いした水戸。鈴木隆行が中盤に引いて空けたスペースを岡本達也が上手く使い、間でボールを受けながら攻撃を組み立てた。しかし、形は作れたが崩しきるまでには至らず、「それほど仕事はされなかったし、やられても最後は粘り強く守ってくれた」とはGK武田博行。栃木のセンターバック2枚が粘り強く対応したことで水戸の進撃を阻んだ。

後半は開始早々から圧力を強めた水戸がペナルティエリア内に侵入するも、栃木は体を張った守備でチャンスの芽を摘み取った。守備から流れを引き戻し、僅かに出来た綻びを突いた。「いつか狙おうと思っていた」と大和田が狙いを定めていたのは、逆サイドのスペースだった。右サイドでショートパスを繋ぎながら、頃合いをみはからって一気にサイドチェンジ。左サイドでボールを受けた菅和範はサビアにクサビを打ち込み、ボールをキープしようとしたサビアが倒されて得たFKから決勝ゴールが生まれた。先制後も気を抜くことなく、むしろ相手の焦りを誘うように巧みにゲーム運び、栃木が逃げ切りに成功。水戸が繰り出したパワープレーは水泡に帰した。

「今日の内容ではどこにも勝てない」とGK本間が言えば、柱谷哲二監督も「今日はボケていた。パスのミスが多すぎる」、「今日のゲームは話にならない」と、本来の姿に程遠い内容に厳しい言葉を並べた。セカンドボールワークでは後手に回り、持ち味である切り替えの部分ではミスからピンチを招き過ぎた。福岡に前節4‐2で逆転勝ちした勢いと迫力は鳴りを潜めたままだった。累積警告により攻撃の核である鈴木隆は2試合出場停止。中位に埋もれないためにも、ここが正念場になる。今節は栃木に見事にはめられてしまったが、次節の山形戦(8/5(日)vs山形@Ksスタ)から続く上位との連戦では逆にはめられるように、自分達のリズムで試合を進められるようにしたい。

「危ないシーンがあってもDFは耐えてくれている。そういう後の姿を見て前も決めきる力を(つけないといけないし)、同じ責任感を感じてやらないといけない」(菊岡)
攻撃陣と守備陣の信頼関係は、勝利を積み重ねる度に密になっている。大和田は「0で我慢すれば必ず1点入る。それが集中力を維持できている要因」と話す。しかし、常に1‐0で勝てるとは限らないし、前半を無失点で折り返せるとも限らない。チャンスがあるならばそれを確実に決め切ることこそが、勝利をより確実なモノにする。雰囲気も、循環も悪くない。ただ、もっともっと良くなるはずだ。順位は変わらず8位だが、6位の背中はくっきりと見えて来た。その差は、僅かに3。勝って反省できる現状を有効利用し、さらに成長していきたい。まだまだ栃木は強くなる。今に、満足していられない。

以上

2012.07.30 Reported by 大塚秀毅
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