「相手は『しっかり守備をすれば勝てる』という心理でこのゲームにのぞむはず。我々は相手のスタイルと心理をしっかり理解した上で、隙を突いていきたい」。仙台の手倉森誠監督は、8月最初の試合をホームで迎えるにあたっての心境をコメントした。
仙台は6月と7月のリーグ戦6試合を含む公式戦10試合を無敗で終え、J1の場では例年苦手としてきた夏場でも今季は安定した戦いを見せられることを証明している。しかしJ1第20節の対戦相手・横浜FMはリーグ戦だけで12戦連続無敗を記録中と、仙台以上に「負けない」印象を周囲に与える戦いぶりを見せている。冒頭の手倉森監督の言葉はその相手の心理を予測してのものである。
横浜FMの安定感は現在リーグ最少の15失点を記録しているように、守備力に支えられている。もともと中澤佑二と栗原勇蔵という日本代表経験者が成長著しい飯倉大樹とともにゴール前に堅い三角形を作る守備には定評があったが、今シーズンより加入したDF富澤清太郎を中盤の底に配置することで、中央の守りはより強固なものとなった。速さと勢いを有するマルキーニョスや大黒将志といった攻撃陣が安心して背後を任せて果敢に相手最終ラインの裏へ飛び出せるのも、堅固さに支えられる組織があるからといえる。ここに出場停止から戻ってくる中村俊輔を加え、攻撃の選択肢を加えることで、敵地でも手堅い試合運びをねらう。
この横浜FMを「守備の安定感が攻撃に厚みを加えることにもつながっている」と分析するのは、仙台の渡辺広大。仙台は上本大海・角田誠・富田晋伍といった中央線を守る選手達が負傷からの復帰を待つ状態が続いている。しかし、渡辺やボランチの田村直也、松下年宏といった選手たちが負傷者のぶんも奮闘。ここまでのリーグ戦での失点数は横浜FMに次ぐ16という結果を出している。
ただし、この堅守チームの対決は先制点が大きな意味を持つだけに、仙台としては気をつけたいことがある。それは7月25日のJリーグヤマザキナビスコカップF東京戦と28日のJ1第19節で喫したような、前半の失点だ。仙台がJ2で優勝した2009年の夏場にも立ち上がりの失点が続いて苦労した経験があるが、その時同様に課題をクリアするために、立ち上がりから集中力を見せて守備組織を機能させたいところだ。運動量は例年以上の時間、試合終盤まで発揮できているのだから。
「ウチのスタイルをしっかり発揮して、相手のバランスを崩す展開に持ちこみたい」と渡辺は続ける。夏の暑さの中で互いの隙を探る試合ではあるが、「我慢比べ」というよりはいかに自分たちにとって最適な攻守のバランスを見出し、逆に相手のバランスを崩すか、という「バランス比べ」という試合になりそうだ。
「一つのミスや隙を突いて、どんなチャンスでもものにできれば。先制点を取って、勢いに乗りたい」とは、対横浜FM戦4試合連続ゴール中の赤嶺真吾。彼のように、相手のバランスを崩す一手となり得る選手のはたらきも注目点だ。均衡した試合になるか、シーソーゲームになるか。いずれにせよ、天秤が左右に揺れるように、攻守が目まぐるしく変わる試合を期待したい。
以上
2012.08.03 Reported by 板垣晴朗
J’s GOALニュース
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