3度目のファイナルへ一歩前進した。ヤマザキナビスコカップ準決勝第1戦が味の素スタジアムで行われ、F東京が清水に2−1の逆転勝利を収めた。ホームで先制される苦しい展開となったが、MF梶山陽平が同点ゴールを決めて、FWルーカスが勝ち越し点を奪った。この結果、10月にアウェイで行われる第2戦は、引き分け以上でF東京の決勝進出が決まる。
「うちの選手は、試合が始まってからも眠っていたようだ。まるでトレーニングマッチを戦うような立ち上がりだった」
ポポヴィッチ監督がそう言って頭を抱えるのも無理はない。F東京は試合開始から清水に押し込まれ、主導権を握られてしまう。「全体的に、今日は体が重い印象があった」とDF加賀健一。けが人続出で体調の良い選手を優先して起用する余裕などなく、疲労の色が濃い選手たちの出足は重かった。さらに、守備の陣形も懸念していた5バックでスタートしてしまう。両ウイングバックがサイドに張り出す相手の両ワイドをマークし、3バックが相手1トップに対応するというアンバランスな形をとってしまった。後ろに人数を掛けすぎて攻撃の人数が不足。序盤はパスが繋がらない事態に陥った。MF米本拓司は序盤の展開を「3バックに対して相手3トップが1枚1枚にくるからパスをつないでいなすことができなかった」と振り返った。パスコースを限定されてしまい、追い込まれた形でダブルボランチにボールが入っても清水の激しいプレスの餌食となって潰されてしまうばかりで反撃の糸口がつかめないまま、時間が過ぎていった。
そして前半23分、清水に先制点を奪われてしまう。DF李記帝が直接FKをファーサイドに蹴り込んでFW金賢聖が頭で折り返すと、それをDF徳永悠平が痛恨のオウンゴール。このまま、負けてもおかしくはなかった。
指揮官はこの最悪の流れを選手交代と、システム変更で断ち切った。田邉草民をピッチに送り、選手の並びを3-4-2-1から4-2-3-1へと変えた。苦労していた相手3トップのプレッシャーは4バックとボランチで交わし、田邉が相手DFの間に入ってパスの中継点をつくると、清水のプレスを掻い潜ってゴール前にボールを運ぶ回数も増えていく。これで重心が前に傾き、ゲーム展開は劇的に変わった。梶山が35分に石川直宏のクロスを合わせて同点に追いつくと、後半の80分に丸山祐市が獲得したPKをルーカスが決めて逆転。F東京が先勝して3度目のファイナルへ王手をかけた。
清水はベンチ入りを合わせた18人の選手の平均年齢は23.17歳と若いが、最後まで大崩れすることはなかった。ニューヒーロー賞の対象選手も多く、まだまだ今季中の成長も見込めるだろう。守備のバランスを保ちつつ、主体的にボールを奪ってショートカウンターから決定機もつくった。形があるチームだけに、アウェイゴールを奪って1点差で切り抜けたことは第2戦につながる結果だ。GK山本海人は「前向きにとらえたい」と言い、ホームでの第2戦へとすでに気持ちを切り替えていた。
F東京は、複数のシステムを操ることをしっかりと証明した。途中出場した田邉や、公式戦初の90分間フル出場を果たした丸山は、複数のポジションができるだけに今後もチームのシステム変更のキーマンになっていくだろう。負傷者も今月中に続々と復帰する予定だ。指揮官は、こうしよう、ああしようとその日のドレス選びに迷うことになる。「今日は何を見せてくれるんだ」と、スタンドに腰掛ける椅子から体を浮かせて待つ期待感はもっと膨らむはずだ。ただし、ゲーム中に選手たちが自らの手でシステムや、スタートポジションを修正できるようになれば、さらに面白さは増す。そんなトーキョー見たくありませんか?
以上
2012.09.06 Reported by 馬場康平















