先週、上位6チームへの挑戦権を懸けて熾烈なバトルを繰り広げたばかりの栃木と横浜FCが、今度は一発勝負のトーナメント、天皇杯に舞台を移して再び激突する。今季の対戦成績は1勝1敗。2試合で計11ゴールも生まれ、目が離せない攻防が最後まで繰り返された。三度目の対戦となる今回も観る者を惹きつけて止まない好カードになること必至だ。タイトルを付けるならば、「完全決着」。これに異論はないはずだ。
グリスタで3‐4と苦杯を舐め、前節そのリベンジを果たし、トップ6への挑戦権を獲得したのは栃木。雷雨でキックオフ時間が遅れる事態に見舞われても動じず、直接対決のプレッシャーをも跳ね除けての見事な快勝だった。思い通りの展開に持ち込めたのは、序盤に奪った先制点が大きかった。その先制点をもたらした杉本真は言う。
「どちらが先制点を先に取るかが、勝敗を大きく左右することになる」
結果としてはっきりと現れているように、この対戦では先制したチームが勝点3を掴んでいる。栃木は先手を取れれば、得意の堅守速攻の形にはめ込みやすくなる。現に前節は持ち味が遺憾なく発揮され、ゴールにこそ繋がらなかったものの、面白いようにカウンターを打ち込むことができた。
一方、横浜FCが先行すれば栃木はバランスを崩さざるを得ず、特長である縦パスが入りやすくなり、ギャップでボールを受けながら攻撃が組み立てられる。「前進する保持」が可能になれば、攻撃に特性を持つ選手が揃った横浜FCが主導権を握るのは言うまでもない。
両チームにとって先制点の比重は極めて大きいと言える。では、どうやって先制点を取ればいいのか。「やり難いと言えばやり難い」と栃木・松田浩監督が言うように、3度も顔を合わせれば互いの手の内はあらかた分かる。これまではスコアが激しく動いたが、今度は硬いゲームになるかもしれない。そうなれば、ひとつのミスが致命傷になる。
先週の対戦では、横浜FCが難しい局面でボールを繋ごうとした判断ミスを栃木は見逃さなかった。逆に、6月の対戦では栃木の守備体系の綻びを突いて横浜FCがゴールを挙げている。栃木は横浜FCに敗れてから自分達を見詰め直し、原点回帰した甲斐もあり6連勝を飾った。クラブの連勝記録を更新できたのは、守備の局面で100%集中できるようになったからだ。守備体系をしっかり組み、相手のミスを誘い、決定機を確実に物にする。磨いてきた自分達の最大の武器を使うことができれば、今回も勝機は手繰れるはずだ。
まだまだ昇格の可能性が残る栃木と横浜FCにとって、天皇杯の位置付けは難しい部分がある。当然ながら勝利は追求するが、その一方でリーグ戦の残り10試合に向けて色々とトライしておきたいはずだ。栃木はキャプテンのパウリーニョがリーグ戦2試合の出場停止が確定している(天皇杯は出場可能)。降りかかる“パウリーニョ問題”は難題だ。天皇杯で起用するとなると、その後のリーグ戦に備えてパウリーニョ不在の布陣が試せなくなる。天皇杯を回避すれば2試合+1試合の計3試合も実戦から遠ざかることになり、復帰戦となる大分との大一番に向けて不安が残る。果たして松田監督はどんな選択をするのだろうか。また、横浜FC・山口素弘監督も終盤戦に向けた戦力の見極めを考えているはずで、多様なプランを練っているに違いない。目の前の試合に勝つことを前提にしながら、その先にも思いを巡らせる両指揮官が揮う采配にも注目したい。
以上
2012.09.07 Reported by 大塚秀毅
J’s GOALニュース
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