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【第92回天皇杯 2回戦 山形 vs 前橋】プレビュー:プロとして負けられない山形に対し、tonan前橋はアマチュアとして堂々のチャレンジ!(12.09.07)

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カテゴリーにかかわらず、勝ち残るすべてのチームに日本一への道が開かれている天皇杯。2回戦、NDスタでは、J2・山形と群馬県代表・tonan前橋が対戦する。

山形はJ1でプレーした過去3年の天皇杯で、2大会前のベスト8が最高成績。4回戦ではリーグ戦で勝てなかった相手・川崎Fを延長PK戦の末に破り、準々決勝の清水戦でも延長PK戦まで持ち込み、あと一歩でクラブ史上初のベスト4というところまで迫っている。ただし、第89回大会では3回戦では明治大、前回大会でも3回戦で、のちに準優勝を果たすJ2・京都など、下のカテゴリーの相手に敗れる苦い経験も味わった。仮にこの試合で敗れることがあれば、現在4位、昇格争いのまっただ中のリーグ戦の士気にも影響する。すんなり勝ち上がり、金鳥スタで行われる3回戦に駒を進めたい。

奥野僚右監督は「一番フレッシュで一番効果的なメンバーでいきたい。もちろん、勝ちにいく」と話しているが、いまチーム内でもっともフレッシュなパワーを発散しているのが廣瀬智靖。第29節の愛媛戦では途中出場でアシストを記録。直近の徳島戦でも後半頭から出場し、サイドからの積極的な仕掛けで流れを呼び込むと、75分には今季初ゴールを挙げている。リーグ戦での活躍で、この試合での先発出場のチャンスも広がったが、「先発したら90分とか考えずに、最初からガンガン行きたいです。いい状態で天皇杯に臨んで、リーグ戦にもつなげたい」と意欲的だ。

なお、当日の午前中には、山形ユースとのトレーニングゲームが予定されている。公式戦当日にトレーニングゲームを設定するのは異例だが、メンバー入りする選手がトレーニングゲームとの掛け持ちをするわけではない。18人はしっかりと試合に向けて集中させる一方、ベンチ外となった選手も実戦を行うことでチーム内のコンディションのバラつきをなくし、連戦で再開されるリーグ戦に備えるのが最大の目的。相手に山形ユースを選んだのも、足りない分の選手を融通しやすいというのが大きな理由だ。

tonan前橋は関東社会人リーグ1部に昇格して3シーズン目で、過去2年はいずれも5位フィニッシュ。2チーム増えた今シーズンは10チーム中6位と中間層につけながら、JFL昇格を当面の目標に定めている。天皇杯では、「図南SC群馬」の名称で出場した第87回大会以来、5大会ぶり2度目の出場となる。これまでの4シーズンはJFL・アルテ高崎の壁を越えられなかったが、そのアルテ高崎が昨シーズン限りでチームを解散。今シーズンは天皇杯の県代表を決める「群馬県サッカー協会長杯」で、ザスパ草津U-23との決勝戦を2-1で制してチャンスをつかんだ。

その1週間後に行われた、山形県代表・日大山形高との対戦した1回戦、先発メンバーは「協会長杯」決勝からゴールキーパーを中村楽に代えただけの最小限の変更で臨んだ。もっとも難しい作業と言える先制点も、コーナーキックから開始7分でゲット。その後はシュート数28対4が示すとおりの圧倒的なボール支配を続けて5-0と完勝し、Jクラブ・山形への挑戦権を得た。

その山形を古巣とする選手が、tonan前橋には2人在籍している。大瀧直也は鶴岡市出身。秋葉勝に続く県出身高卒ルーキーとして帝京高から加入し、03・04年に在籍した。ドグラス ピレス デ ソウザは羽黒高3年時の06年に、アマチュア登録選手として在籍(当時の登録名は「ドゥグラス」)。ともに山形での出場機会は得られなかったが、大瀧は5度、ドグラスは2度の移籍を経て、今回、tonan前橋の一員として山形に挑むことになった。古巣との一戦を前に、大瀧は「憶えてくれてるサポーターもいるかもしれないし、そういう人たちの前でどれだけ成長した姿をみなさんに見せられるかなというのが楽しみのひとつ。格上の相手なので、自分たちがどこまでできるかというのも試してみたいし、チャレンジャーの気持ちで戦いたい」、ドグラスは「6年ぶりに会う人もいっぱいいるから、楽しみにしてます。山形戦はつなげる時間がないかもしれないので、本当に謙虚な気持ちで、勝てるように、みんなで頑張ります」と決意を語っている。

また、チームを率いる菅原宏監督は、02・03年に選手兼任監督としてザスパ草津でプレーした奥野監督とは浅からぬ関係がある。この2シーズンで群馬県1部リーグから関東2部リーグ、JFLへと一気に駆け上り、05年からのJ2参入を果たした草津に対し、図南SCは関東リーグから県リーグへ降格する対照的な道をたどっている。特に03年1月には両チームが入替戦で対戦し、延長PK戦の末草津に敗れ、以降、tonan前橋として再び関東リーグに戻るまで6シーズンを要している。1回戦終了後、菅原監督は「監督が奥野君で、永年ザスパでやってきた親交もありますので、ちょっと電話して『よろしく、胸貸して』って言おうと思ってます。チャレンジ精神で、思いっきり、あいつの胸を叩きに行きたいなと思います」と気合い十分。さらに、「うちのチームのポリシーが、社会人として胸を張って、仕事をしながらやろうっていうことでやってますので、アマチュアとしてのチャレンジをやっていきたいなと思います。日本全国、北海道から沖縄までそういうチームはたくさんあります。勝てれば最高ですけれども、いいゲームができて、地域リーグでも県リーグでも、そういう部分が社会人のなかでできるよというものを少しでも日本全国のサッカー仲間と共有したいなと思います」と、この試合に懸ける意気込みを語っている。

そのtonan前橋を牽引しているのが、コーチ兼任の氏家英行。Jでは横浜フリューゲルスや大宮、草津に在籍し、日本が準優勝した99年のワールドユースでは、山形・石川竜也とともにメンバーとして戦っている。「僕はどっちかと言うと選手に使われるタイプだったんですけど、今は味方を使うというかゲームメーカーみたいな感じになってる」とtonan前橋では4-3-3のインサイドハーフでプレー。アンカー・長沼恭平がバックラインからボールを引き出すが、そこから引き取って左右や縦に展開し勝負のスイッチを入れるのが氏家の役割で、セットプレーのキッカーも務めている。また、サイドにはたいたあとはゴール前に確実に詰めるシャドー的な動きも持ち味で、「協会長杯」決勝、本大会1回戦ともにゴールを挙げている。「仕事しながら、指導者をしながらプレーをして、自分が昔よりうまくなってるなと感じるときもあるし、昔より動けないな、体幹・コンディションを整えるのが難しいなと思うときもある。そういうときにJリーグのチームとやったらどれぐらいできるのかなという楽しみがあります。自分のストロングポイントがJのときとは違うので、どれぐらいJの選手相手にボールをキープできるか、それも楽しみです」と語っている。

山形としては、tonan前橋のキー・プレーヤーである氏家に仕事をさせないことが守備における最大のポイントとなる。「相手にスペースを与えてしまうとそれなりにできると思うので、コンパクトにプレッシャーを与え続ければ、簡単なミスもしてくれると思う」と西河翔吾。システム上、サイドに展開されると中盤のスライド距離が長くなるため、それを防ぐためにもしっかりと敵陣でプレッシャーを与え、プレーの空間・時間を与えない守備を続けたい。また、攻撃では「引いて守ってくるか、それとも前がかりに来るか、相手がどう出てくるかがわからない」(西河)部分もあるが、慎重な入りは、逆に相手に付け入る隙を与えることはこれまでのリーグ戦でも経験済み。「言ってしまえば格下の相手ですけど、本当に100%の力を出して上のチームに向かってくる相手に対して、自分たちが逆に叩きのめすぐらいの気持ちでやって、それをまた次のリーグ戦につなげたい」(小林亮)という貪欲さで立ち向かうことが、チームをさらなる成長へと導く方法論だ。

以上

2012.09.07 Reported by 佐藤円
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