ACLの出場権を獲得するためにも今大会こそ天皇杯のタイトルがほしい清水エスパルスと、和歌山からJリーグのチームを生み出そうと燃えるアルテリーヴォ和歌山。天皇杯でなければ実現しない対決だからこそ、下克上の可能性も含めて本当に何が起こるかわからない雰囲気がアウスタのピッチには漂うことだろう。
例年通り天皇杯の初戦をホームで迎える清水は、もちろん勝って3回戦に進むことが絶対条件だが、そのほかにも誰が出て、誰が活躍するかという楽しみがある。チームとしては先週末の札幌戦から8日間で3試合目ということもあり、次のリーグ戦に備えて休みをとらせたい選手も多い。
水曜日のヤマザキナビスコカップ準決勝・F東京戦(第1戦)で杉山浩太、高木俊幸、金賢聖らが負傷し(杉山と金は軽度、高木は診断中)、出場経験を積ませたい若手も多く、小野伸二や小林大悟など負傷からの復帰を目指すベテランもいる。そのため、大幅なスタメンの入れ替えが予想されている。ただ、高原直泰も準備万端なので、もし水曜日のF東京戦から11人全員を入れ替えたとしても、和歌山から見ればかなり豪華な顔ぶれになるだろう。
また、プロ初ゴールを狙う鍋田亜人夢や柴原誠、公式戦初出場を目指す柏瀬暁、前回(浦和戦)の雪辱を誓う犬飼智也など、ユース出身の若手選手にも大いにチャンスがある。もちろん本人たちも、「天皇杯には絶対出たいし、勝ちたいし、できれば点も取りたい。自分らしく良い動きをしていればチャンスは来ると思うので、あとは練習通りに落ち着いて決めたい」(鍋田)と意欲満々。当然、石毛秀樹にも出番はあるはずで、清水サポーターにとっては非常に楽しみな要素になりそうだ。
一方、天皇杯2回戦に進んだのが初めてで、公式戦でJリーグのクラブと戦うのも初体験となるアルテリーヴォ和歌山にとっては、これはチーム史に残る大きな一歩となる。クラブの公式ホームページを見ても、1回戦を突破したことに対して「悲願達成」、「夢の扉こじ開けた」といった見出しが並んでおり、この試合にかける熱い想いが伝わってくる。
2006年にNPO法人「和歌山からJリーグチームをつくる会」として発足し、チーム名を公募により「アルテリーヴォ和歌山」に決定。2007年に和歌山県の教育リーグからJへの挑戦をスタートして、毎年所属リーグをステップアップし、現在は関西1部リーグの4位。JFL昇格に向けて意欲的にチーム強化を図っている。
そんな右肩上がりのチームだけに、勢いは非常にあり、失うものは何もない。また和歌山の選手たちにとっては、アウスタはこれまでやってきた中でもっとも美しく、ボールがよく走るピッチのひとつだろう。観客の多さや清水サポーターのリズム感の良い応援も含めて、非常にやりがいのある環境と言えるはずだ。
昨年は筑波大学の一員として天皇杯で鹿島と戦った清水のMF八反田康平は、「公式戦で本気のプロとやれるなんて天皇杯ぐらいしかないので、自分もすごく気合も気持ちも入ったし、楽しみながら思い切ってやれました。たぶん和歌山の人たちも同じ気持ちだと思うので、その勢いをしっかり抑えて、プロは違うなというのを見せたい」と語る。
ゴトビ監督も、「練習試合では大学生やJFLのチームに負けたこともある。イージーな姿勢で臨んだら難しい試合になるし、われわれはプロのメンタリティーを持って試合に入らなければならないと選手たちには話しました」と、天皇杯独特の難しさを口にする。和歌山が良い入り方をするのは疑いないので、清水の選手たちがどれだけ強い気持ち、高い意識で試合に入れるかという部分が、試合序盤で最大の注目点となるだろう。
この時期の13時キックオフというのは、和歌山のほうが慣れているはずで、清水にとっては不利な要素。暑さの中での運動量という面も勝敗を左右する要素になるだけに、雨という予報もある天気がどうなるか、気になるところだ。
ただ、清水も若い選手が多いだけに、暑くても運動量で負けるわけにはいかない。パスを速いテンポで回して、相手を消耗させることも重要だ。また、押し込んで守りを固められたときにどう崩すかという部分もポイントになるだろう。
その意味では、このところ出番が増えてきた八反田も楽しみな存在だ。「ワンタッチで出して、自分が動いてまたもらってというイメージはあるし、そういうことを狭い中でもやって、相手の守備を崩せるようになりたい」(八反田)。彼の持ち味であるワンタッチパスにも注目したい。
というわけで、試合の見どころは十分すぎるほど。テレビ放送もないだけに、ぜひスタジアムに足を運んで見届けてほしい一戦だ。
以上
2012.09.07 Reported by 前島芳雄
J’s GOALニュース
一覧へ【第92回天皇杯 2回戦 清水 vs 和歌山】プレビュー:清水が格の違いを見せつけるか、和歌山がJの先輩に対して下克上を起こせるか(12.09.07)















