前節の愛媛と岡山は、好対照なゲーム内容だった。まず岡山の方から振り返ると、湘南を相手に、前半で3点を奪っての快勝。一方の愛媛は東京Vに3得点を奪われての完敗だった。そして、両者の3得点と3失点という数字もさることながら、内容を振り返っても今季の愛媛と岡山の違いが出ていたように思う。確かに、岡山にとって前半の3得点は大きなアドバンテージだった。ただ、後半は多くの時間帯で湘南が攻勢に出た。一歩間違えば3点のリードがふいになりかねない展開だったが、GKの中林洋次を中心に湘南の反撃を1点に封じて勝点3をつかんだ。
押し込まれた時間帯をしのいだ岡山に対して、愛媛の東京V戦はミスから失点を重ねると、反撃に転じることもできずにタイムアップを迎えた。苦しい時間帯で踏ん張りがきかないところが、今の愛媛にとっては泥沼を抜け出せない要因のひとつ。東京V戦を含めて、シーズン後半戦は我慢しなければならない場面で失点を続けて、勝てた試合を引き分け、引き分けられた試合を落としてきた。特に愛媛は後半に勝負を決められる展開が目につく。確かに夏場は体力を消耗し、時間の経過とともにに集中力を欠いてしまう。後半にスコアが動くのは愛媛だけのことではないが、勝てないリーグ後半戦の13試合中、11試合で後半に得点を奪われて勝点を失っているという状況を断ち切らなければ、このトンネルを抜けることは難しい。
このチーム状況、そして後半の苦しくなった時間帯において、いかにしてチームを奮い立たせられるか。連敗脱出に向けた岡山戦は、そこが問われることになる。「1人や2人だけじゃなく、全員が関わらないと」と指摘するのは前野貴徳だが、愛媛はピッチに立つ全員が90分間戦い続けられるか。もちろん、勝ちたいと思っていない選手がいるはずはない。ただ、90分間の中には押し込まれてしまう時間帯があれば、折れそうになってしまう時間帯がある。また、今のように勝てない状況だと攻撃を焦る選手、守りたい選手など、思いがすれ違う時間帯もあるだろう。様々なシチュエーションでチームの一体感がなくなりそうになったときに、気がついた選手がそれを修正できるか。それは1人や2人の選手でできるはずはなく、より多くの選手が関わることで向かうベクトルをあわせなければならない。
それができて勝点3が得られれば、チームにとって大きな財産になる。8勝16敗(10分)と大きく負け越している愛媛にとっては、残り8試合を全勝したとしてもイーブンに持ち込むのがやっと。シーズンの勝ち越しはなくなってしまっているわけだが、その8試合をどう戦っていくかは来シーズンの戦いにおいても重要。昨シーズンのように、最終戦まで勝てない状況になってしまうようだと今シーズンの収穫が何も得られないといったことになりかねない。むしろ、このままの状況であれば収穫という以前に「降格」という最悪の事態すらちらつきかねない。18位という厳しい状況に立たされている愛媛の選手達はそれだけの危機感も持って、戦う必要があるだろう。
対する岡山は現在11位だが13勝9敗(12分)で白星先行、5位千葉と6位の東京Vまでの勝点差は6。まだまだプレーオフが狙える順位につけている。長いシーズンの中で7試合勝てなかった時期、4試合勝てなかった時期が2度あったが、立て直して今のポジションを獲得している。だからこそ、重要になるのが残り8試合。プレーオフ進出に絡み続けられれば、クラブの新しい歴史を刻むこともできる。まだJ1を経験したことのないクラブにとっては「成功体験」が上を目指すうえで必要になる。1試合を勝ち抜くこともそうだし、シーズンを勝ち抜いて過去の成績を超えることもそう。今現在、貴重な体験をしている岡山も、苦境に立たされている愛媛もそうした経験を重ねるために、まずは目の前の試合に全ての力を注いで、それぞれの前にある壁を乗り越えていきたい。
以上
2012.09.22 Reported by 近藤義博
J’s GOALニュース
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